ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

私立大学で年内入試の比率が半分以上ってマジ?(関西編)

はじめに

 このところ報道をやめて広報に鞍替えしたメディア各社は「年内入試の比率が高まった」と報じています。

参考 旺文社『大学の真の実力情報公開BOOK 2024年度用』より

国立大学82校495学部の入学方式別の入学者

私立大学604校1699学部の入学方式別の入学者

Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン 入学者の6割は年内で決定?!

私立大学学校推薦の内訳

Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン 3/4は学科試験なし?!

 知り合いの塾経営者が集客のための会議に出席したところ、ある回は「私立大学の受験者囲い込みを見越して、塾も総合型・学校推薦を新たなビジネスにしましょう」という話だったとのこと。「年内入試」を煽るニュースは報道ではなく塾のマーケティングの片棒担ぎ?

 今回は旺文社編『2024年度用(つまり2023年度卒業生用)大学の真の実力 情報公開BOOK』のデータを著作権法の範囲内(ひとつのブロックで1/2以上引用しない)で活用し、ぶんぶんが裏どりしながら、気になる私立大学を中心に「年内入試増加」の実態に迫ります。

こちら

目次

1 関西難関総合大学 ー一般試験中心も指定校や付属校多しー

1)データ編

表中の「-」はデータなし。

スポ健=スポーツ健康科学 グロコミ=グローバル・コミュニケーション グロ地=グローバル地域文化 グロ教=グローバル教養 シス理工=システム理工

    定員 志願者 合格者 入学者 一般 総合型 公募 指定校 付属 一般%
同志社 63 413 144 66 37 - 20 0 9 0 56%
705 5331 2003 667 449 - 20 8 92 8 67%
社会 442 4518 1196 450 275 - 32 36 97 10 61%
893 6029 2445 922 472 - 8 222 209 11 51%
経済 893 7546 2848 931 484 - 14 289 127 17 52%
893 5624 1645 838 349 10 - 274 155 50 42%
政策 420 2236 1036 478 257 - - 122 91 8 54%
文化情報 294 2133 955 332 150 14 8 114 45 1 45%
理工 756 11843 5133 813 484 - 8 199 116 6 60%
生命医科 265 2601 1126 272 129 1 - 101 39 2 47%
スポ健 221 1893 651 220 128 3 0 0 29 60 58%
心理 158 1560 441 158 81 - 2 26 46 3 51%
グロコ 158 917 409 158 60 - 30 14 22 32 38%
グロ地 190 1620 491 196 122 - 18 17 36 3 62%
合計 6351 54264 20523 6501 3477 28 160 1422 1113 211 53%
立命館 720 7633 2908 734 430 - - 93 146 65 59%
産業社会 810 7571 2712 851 566 41 - 88 114 42 67%
国際関係 360 2415 1008 299 132 51 - 31 58 27 44%
1035 9837 3633 1073 612 100 - 124 124 113 57%
映像 160 2213 415 170 91 15 - 6 37 21 54%
経営 795 10439 3613 953 553 25 - 101 189 85 58%
政策科 410 3479 1263 411 261 9 - 32 90 19 64%
総合心理 280 3291 939 315 188 12 - 30 65 20 60%
グロ教養 100 107 76 43 - 33 - 3 - 7 -
経済 750 9316 4150 837 544 21 - 109 98 65 65%
スポ健 235 2773 784 245 142 15 - 8 42 38 58%
食マネ 320 2940 1015 327 186 24 - 28 61 28 57%
理工 959 18657 8046 1086 791 33 - 111 86 65 73%
情報理工 475 6297 1989 499 272 52 - 29 115 31 55%
生命科 325 7891 3265 322 208 4 - 37 44 29 65%
薬・薬 100 1540 760 127 84 - - 20 23 - 66%
薬・創薬 60 805 530 85 64 1 - 16 4 0 75%
合計 7894 97204 37106 8377 5124 436   866 1296 655 61%
関西 715 8777 2010 656 293 32 - 221 83 27 45%
770 9917 2771 763 426 21 - 143 92 82 56%
経済 726 10126 2479 730 356 19 - 212 98 45 49%
726 7163 1804 733 372 18 15 168 92 68 51%
社会 792 8311 2428 829 462 20 - 225 98 24 56%
政策創造 350 3821 1091 363 157 11 - 136 43 16 43%
外国語 165 2181 663 188 128 3 - 38 13 6 68%
人間健康 330 3996 938 335 188 36 - 72 22 17 56%
総合情報 500 5925 1192 498 186 30 - 188 64 30 37%
社会安全 275 3213 732 282 115 10 - 123 20 14 41%
シス理工 501 8496 2930 535 340 2 15 118 31 29 64%
環境都市工 325 4721 1606 310 171 9 11 68 23 28 55%
化学生命工 347 5465 1996 364 204 6 20 85 21 28 56%
合計 6522 82112 22640 6586 3398 217 61 1797 700 414 52%
関西学院 30 187 83 29 17 8 0 3 1 0 59%
770 5582 2532 814 431 38 0 251 83 11 53%
社会 650 4499 1806 665 342 41 0 153 125 4 51%
680 4532 2277 700 359 39 1 185 110 6 51%
経済 680 4983 2362 708 411 43 0 119 125 10 58%
650 4385 1808 701 356 54 0 140 149 2 51%
人間福祉 300 1960 793 303 148 40 0 54 57 4 49%
国際 300 1735 557 288 61 59 0 71 78 19 21%
教育 350 2583 1390 371 210 58 0 67 34 2 57%
総合政策 495 4205 1648 488 273 40 0 109 30 36 56%
180 2834 1373 184 113 4 0 50 14 3 61%
265 4418 1850 268 145 5 0 71 38 9 54%
生命環境 228 3362 1733 252 147 11 0 54 30 10 58%
建築 132 2265 857 129 79 9 0 11 28 2 61%
合計 5710 47530 21069 5900 3092 449 1 1338 902 118 52%

概況

  一般 公募 指定校 付属 総合型
同志社 53% 2% 22% 17% 0% 3%
立命館 61% 0% 10% 15% 5% 8%
関西 52% 1% 27% 11% 3% 6%
関西学院 52% 0% 23% 15% 8% 2%

2)コメント

 関西私立大学のトップ4は私立専願生の目標かつ準難関・難関国公立の併願先(練習または前哨戦)の役割も担います。後述する「産近甲龍」のような「試験による併願公募制」はありません。

 ぶんぶんはこれら大学・学部の複数のスタッフと懇談していますが、「国立不合格で入学してくる学生は大歓迎」とのことです。そうしたことから4大学とも一般試験による入学者の割合は5割を超えています。

*表ではカットしましたが「水増し率」(合格者数÷入学者数)は理系が700%以上と文系の2倍以上あります。それだけ国立または他大学に抜けるということです。

 立命館大学は一般試験の入学割合が多いです。4大学ではもっとも共通テスト利用が充実していて(私立向け3科目から国公立マークミス確認用の7科目まで)、国立全落ち(または不本意合格)で立命館という生徒をぶんぶんは多数知っています。

 一方立命館大学以外は指定校の割合が高いです。ただしこれら大学は一般で学生を取りたいので指定校を無尽蔵にばらまいたりはしません。つまり「結果として応募する生徒の多い」ということです。「ブランド力」のなせる業です。

 たしかに受験勉強の始動が遅く、国立を目指しているものの成績が伸び悩む受験生にとって、教室に掲示された関関同立の指定校は魅力でしょう。

 とはいえぶんぶんの経験上、偏差値上位校の指定校推薦の配分は一般入試で当該大学にどれだけ合格者を出しているかによります。指定校の枠がない、あっても不人気学部ばかりの高校はそういう「位置づけ」ということです。

*発展

 たまにネットで「スーパー進学校を回避して二番手校に進学し、指定校をゲットする方が得」という趣旨の書き込みを見ますが、進学したものの意中の指定校がない場合もあり得るので、中学三年生のうちから楽することばかり考えてはいけません。

 総合型は同志社大学以外で人気です。ぶんぶんは担任の生徒の関西大学文学部のAO入試の指導をしましたが(一応全勝)、2000字の志望理由書に活動報告書が必要で「勉強が嫌いだから総合型で潜り込みたい」みたいな人の出る幕ではありません。総合型の準備に追われて一般試験の準備に支障が出る可能性が大です。

2 関西中堅総合大学 -試験あり併願型公募制が人気-

学部別

マネ=マネジメント創造 フロ:フロンティアサイエンス

    定員 志願者 合格者 入学者 一般 総合型 公募 指定校 付属 一般%
京都産業 経済 625 8319 2515 623 282 23 187 66 61 4 45%
経営 670 8649 2291 701 318 25 200 81 69 8 45%
595 7066 2303 598 263 23 183 74 53 2 44%
現代社 450 7162 1800 461 213 27 130 34 45 12 46%
国際関係 200 2072 852 190 86 9 53 25 15 2 45%
外国語 425 4037 1607 402 195 19 148 24 15 1 49%
文化 320 3735 1318 321 151 13 120 25 11 1 47%
135 3589 1031 137 77 1 44 4 10 1 56%
情報理工 160 4884 886 156 87 4 36 14 14 1 56%
生命科学 150 3454 983 150 71 9 49 8 11 2 47%
合計 3730 52967 15586 3739 1743 153 1150 355 304 34 47%
龍谷 心理 255 5654 1198 260 158 8 58 14 16 6 61%
880 16467 4741 906 503 45 228 89 28 13 56%
経済 600 11137 2716 579 285 - 101 140 39 14 49%
経営 519 9781 2083 502 268 - 61 118 34 21 53%
445 7803 1981 411 239 - 63 84 22 3 58%
政策 308 7006 1735 309 169 2 57 49 21 11 55%
国際 507 3180 2342 482 258 13 74 84 31 22 54%
先進理工 628 8140 3620 611 282 4 163 115 37 10 46%
社会 558 9913 3180 583 246 2 175 111 32 17 42%
438 6364 2933 491 267 2 97 79 15 31 54%
合計 5138 85445 26529 5134 2675 76 1077 883 275 148 52%
近畿 500 9659 1975 473 178 - 39 107 104 45 38%
経済 760 25721 4913 778 351 - 115 144 138 30 45%
経営 1180 36370 5423 1004 474 - 90 144 202 94 47%
経営夜 160 151 150 149 0 - 0 0 0 149 0%
理工 1040 31842 8871 1050 597 - 246 89 104 14 57%
建築 280 8811 1418 312 163 - 76 20 49 4 52%
薬・薬 150 3869 744 151 77 - 31 16 24 3 51%
薬・創薬 40 1132 284 41 24 - 11 3 2 1 59%
文芸 515 12845 2774 523 258 8 124 25 87 21 49%
総合社会 510 16578 3328 538 245 - 116 62 93 22 46%
国際 500 7730 2774 544 214 22 184 41 76 7 39%
情報 330 12672 1298 323 155 5 43 65 48 7 48%
680 13853 4754 714 348 - 225 44 83 14 49%
95 4082 264 111 67 - 15 5 7 17 60%
生物理工 485 6614 3751 483 239 - 124 84 24 12 49%
545 8896 4886 579 240 29 94 69 24 23 41%
産業理工 420 4128 2155 423 242 16 36 71 43 15 57%
合計 8190 204953 49762 8196 3872 80 1569 989 1108 478 47%
甲南 405 4643 1587 474 239 70 14 144 6 1 50%
経済 345 3185 991 409 185 36 15 152 18 2 45%
345 2789 1137 387 203 25 13 143 3 0 52%
経営 345 3325 1008 418 189 46 15 126 31 11 45%
マネ 180 2040 476 199 64 63 2 51 18 1 32%
理工 155 1969 958 181 110 31 0 38 2 0 61%
知能 120 1608 458 130 63 27 3 32 5 0 48%
フロ 45 556 279 58 28 20 0 10 0 0 48%
合計 1940 20115 6894 2256 1081 318 62 696 83 15 48%

概況

  一般 公募 指定校 付属 総合型
京都産業 47% 31% 9% 8% 4% 1%
龍谷 52% 21% 17% 5% 1% 3%
近畿 47% 19% 12% 14% 1% 6%
甲南 48% 3% 31% 4% 14% 1%

2)コメント

 「公募制推薦入試」というと人物重視で小論文・面接を課すような気がしますが、関西圏では11月から12月にかけての「併願の公募制推薦」は「教科試験ありのプレ一般入試」が基本です。関関同立がこのタイプの入試を行わないので、「産近甲龍」(甲南大学は「入学を強く希望する者」対象で定員が小さく趣がやや違う)が「生態系の長」になります。

 文系は国語と英語、理系は英語と数学または理科の2科目の基礎学力試験に評定平均値を何倍かにした点数を加算する方式と、学力試験のみの方式があります(近大は後者のみ)。

*公募制推薦には専門学科枠も含まれます(上述のデータにも含まれています)。こちらは学力試験に代えて面接と小論文ですが、募集人員は少なく倍率も一割台です。

 近畿大学の英語の問題を解いたところ、構成・難易度とも旧センター試験レベルです(ただし10%ほど難しい問題あり)。つまり「合格には11月の段階でセンター試験で2教科8割とれるほどに仕上がっている」必要があります。「2教科で年内に決まるからラッキー」という浅はかな考えでは合格はおぼつきません。

 京都産業大学は公募制での入学者が多く、指定校は少ないです。年内で入試を終わらせたいけど指定校には出さないということでしょうか。

 龍谷大学は文系学部の一般入学割合が高く(特に心理)、私立上位校や国公立との併願関係をうかがわせます。また指定校推薦で決める生徒が多めで、私立志向の進学校から人気と推察できます。

 近畿大学龍谷大学とは逆に理系学部の一般入学割合が高く、地方国立の理系学部との併願関係を感じます。付属、連携校推薦が多いのは組織が大きいからでしょう。とはいえ「大阪のユニバ」でない3学部(和歌山・広島・福岡)は人気薄です。

 甲南大学は総合選抜と指定校を使う生徒が多いことから、第一志望の人が決め打ちする「愛され大学」と思われます。

 これらの大学は(甲南大学はやや立ち位置が異なりますが)、数字上は年内入試の比率がやや高いものの、学力勝負で年内に決めたい、または一般に向けて併願を公募で押さえておきたい受験生に好まれていると考えられます。

3 「産近甲龍」の併願先大学

1)データ編

学部別

ビジ:ビジネスデザイン リハ:総合リハビリテーション 

    定員 志願者 合格者 入学者 一般 総合型 公募 指定校 付属 一般%
追手門学院 180 3841 1234 191 41 9 86 49 5 1 21%
国際 150 1912 923 154 47 6 74 13 2 12 31%
心理 220 4900 694 208 58 13 72 54 10 1 28%
社会 350 5203 1491 350 49 8 167 110 7 9 14%
230 3661 1572 229 66 4 105 49 3 1 29%
経済 400 4962 1829 420 92 6 172 139 6 5 22%
経営 443 8996 2304 458 81 14 173 171 14 5 18%
地域創造 230 3644 1316 232 46 7 66 102 8 3 20%
合計 2203 37119 11363 2242 480 67 915 687 55 37 21%
摂南 280 2726 1589 317 78 13 135 39 10 42 25%
国際 250 2209 1495 254 42 22 117 57 11 5 17%
経済 280 3809 1854 305 65 12 171 40 5 12 21%
経営 280 3987 1562 327 108 41 99 50 17 12 33%
現代社 250 3246 1477 292 53 42 126 53 18 0 18%
理工 585 7315 3734 559 190 9 297 57 0 5 34%
220 2638 1260 229 55 10 133 19 10 2 24%
看護 100 2372 627 118 31 3 46 29 9 0 26%
340 3833 2177 333 70 22 184 48 6 3 21%
合計 2585 32135 15775 2734 692 174 1308 392 86 81 25%
桃山学院 ビジ 200 769 655 173 49 39 36 47 1 1 28%
経営 295 1995 889 359 41 50 49 173 2 44 11%
経済 360 2559 1534 378 80 63 75 124 2 34 21%
社会 360 2125 1462 391 66 64 76 144 1 40 17%
国際教養 275 1252 1105 242 50 50 59 72 0 11 21%
200 1203 1030 209 67 27 51 54 2 8 32%
合計 1690 9903 6675 1752 353 293 346 614 8 138 20%
神戸学院 450 3037 1710 484 176 36 113 146 12 1 36%
経済 340 2779 1946 294 155 - 133 92 11 3 53%
経営 340 4440 1667 407 152 - 123 125 5 2 37%
人文 300 1663 1419 287 110 18 85 67 7 0 38%
心理 150 1245 523 162 29 19 69 42 3 0 18%
現代社 220 2214 1026 239 76 - 77 72 13 1 32%
グロコミ 180 1335 1030 193 58 35 60 21 2 17 30%
リハ 170 996 572 155 36 15 5 45 4 0 23%
栄養 160 804 576 155 37 - 8 32 8 0 24%
250 1557 1001 236 71 - 94 62 9 0 30%
合計 2560 20070 11470 2612 900 123 767 704 74 24 34%

概況

  一般 公募 指定校 付属 総合型
追手門学院 21% 41% 31% 2% 3% 2%
摂南 25% 48% 14% 3% 6% 3%
桃山学院 20% 20% 35% 0% 17% 8%
神戸学院 34% 29% 27% 3% 5% 1%

2)コメント

 関西圏では「摂神追桃」などと呼ばれる総合大学群で、私立志向の進学校の生徒が産近甲龍の併願校として選びます。産近甲龍と同じく併願の公募制推薦を実施します。

 このカテゴリーは年内入試で定員のかなりの部分を確保しています。桃山学院はスポーツや文化活動で頑張った生徒を評価する校風で、指定校と総合型で生徒を確保しているのはその表れです。

4 その他の大学

1)データ編

  一般 公募 指定校 付属 総合型 定員 志願者 合格者 入学者
大阪工業 37% 32% 25% 4% 2% 1% 1780 15243 6939 1844
京都外国語 10% 18% 31% 5% 26% 9% 940 3586 2812 958
関西外国語 29% 42% - - - 28% 2255 14754 7201 2392
京都女子 38% 22% 25% 9% 6% 0% 1440 7645 4143 1468
同志社女子 35% 31% 23% 3% 4% 3% 1450 9259 3381 1547
京都橘 27% 32% 20% 4% 14% 0% 1631 21354 7860 1775

2)コメント

 大阪工業大学近畿大学の併願に選ばれることが多いため一般での入学者が先述の「摂神追桃」より多めです。

 京都外国語大学は多くの言語専攻を持つ外国語系の老舗です。総合型の枠が大きく、公募制推薦に併願と専願が選べるなど、第一志望の生徒が年内に入学を決めてしまうので、一般入試の入学者は少なめです。

 同じく老舗である関西外国語大学は併願の公募制推薦の定員が多いことで関係者の間では有名です。第一志望の生徒は合格して終了(指定校は未掲載ですが存在します)、関西大学の外国語学部(こちらの方が伝統は浅い)狙いの受験生が公募で押さえておくのも鉄板です。

 女子大不人気と言われる中、健在な京都女子大学同志社女子大学は年内入試で定員を確保しながら、人気の現代社会学部や国立の併願が見込まれる家政学部や薬学部(同志社女子のみ)は一般の入学者が多めです。枠を確保してあるいうことです。

 京都橘大学は女子大から四年制に鞍替えし、畿央大学の成功の後資格系の学部を立ち上げました。資格系に陰りが見え始めた現在はトレンドの学部を次々と新設しています。総合型→(指定校)→公募制推薦→一般、と何度もチャレンジできる設定で、入試ごとの手続きの数から次の入試で何人合格者を出すかを計算しています。これも資格系大学の鉄板パターンです。

5 まとめ

  • 偏差値上位校ほど(偏差値は大学の価値とは必ずしも一致しない。念のため)一般入試の割合が高い
  • 難関私立の総合型選抜はそれなりの実績やそれをもとに何ができるか明確な目標がある人向け。「年内入試が増えている」というメディアの宣伝に踊らされて総合型に入れ込むと「二兎を追う者は一兎をも得ず」になる危険がある
  • 偏差値帯第二グループは見た目は年内入試の割合が高いが、関西圏に限っては年内の公募制推薦は教科の試験を課す大学が多数派で学力必要
  • 定員割れせず競争が存在する私立大学を第一志望とする場合は、入試内容をよく見てその方式が自分にフィットするのであれば、年内からチャレンジするのは問題なし
  • 定員割れの大学はさらに年内入試の割合が高い。ちゃんと勉強すれば一般試験で合格できるかも
  • 先立つものは勉強