ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

2020年度からの大学入学共通テスト(公立大学の英語検定活用2019年12月)

はじめに

 文科省が「2020年度(2021年度入学者選抜)には『英語成績提供システム』を使わない」と発表する一方、「各大学で個別試験で検定を使うかどうか、2019年12月13日までに公表するように」と求めました。

 公立大学はごく一部を除いて一般試験での英語検定利用をとりやめました。

 

 そもそも「入試で民間検定を課せば生徒のスピーキング力が上がる」は事実誤認です。進学率は5割、残りの人の英語力は眼中にないのでしょうか。

 文科省が本気で生徒のスピーキング力をつけたいのなら、機械に向かって一方的に喋る検定ではなく、授業を少人数講座にする、そのための教員配置でしょう。街の英会話教室で40人教室なんてありえません。

 また入試選抜は「大学でやっていけるか」を公平に測るもの、二次がリーディングとライティング中心になるのは当然です。

 スピーキングは公平性の観点から入試選抜には不向きです。学校でスピーキングをちゃんと勉強しているかは代替問題(会話文完成や自由英作文)で判定可能、大学で育ててあげてください。

 なお英語関連学科では出願資格やみなし満点がありますが、これは学科のアドミッションポリシーの基づいているので、「どの検定使うの?」「どう点数化するの?」には注意が必要ですが、特技を評価することには問題はありません。

 

 12月13日現在の様子を取り急ぎまとめました。

 河合塾のリンク集は、一部ページを移動する必要がありますが、ほぼ新しい予告にたどり着くことができます。参考にしました。

www.keinet.ne.jp

 

*表の凡例:

11月以前

 ●:必須

 ▲:出願資格…理由書など代替可 点数化…提出があれば加点

 ×:提出…提出しない 空欄は提出原則必要(裏技あり)

11月29日時点

 ×:利用しない

 △:提出があれば加点や見なし得点として利用

 ◇:一部学部で必須

 〇:必須

 ☆:総合選抜や学校選抜の一部で利用 空欄は利用しない

 ?:HPでは確認できず

    11月以前 12月13日時点
  大学名 提出 成績提供システム 出願資格   点数化 一般試験 総合推薦 備考
1 釧路公立 任意       ×    調査書等の情報と合わせて活用(提出は任意)
2 公立千歳科学技術       ×    
3 公立はこだて未来 ×         ×    
4 札幌医科           ×    
5 札幌市立   A2   ×    
6 名寄市         ×    
7 青森県立保健   A1 ×    
8 青森公立       ×    
9 岩手県 × ×       ×    
10 宮城       ×    
11 秋田県 任意     ×    
12 秋田公立美術 任意     ×    
13 国際教養 任意     一般は共通テスト英語必須に変更。任意提出で一定のスコアでみなし満点
14 山形県立保健医療           ×    
15 山形県立米沢栄養       ×    
16 会津 ×         ×    
17 福島県立医科       ×    
18 茨城県立医療       ×    
19 群馬県立県民健康科学 任意     ×    
20 群馬県立女子   A2 × 国際コミュの推薦、総合で試験結果を提出書類の一部として評価。検定の種類は問わない 
21 高崎経済       ×    
22 前橋工          
23 埼玉県立       ×    
24 千葉県立保健医療       ×    
25 東京都立       × 「多様な選抜」で利用
26 神奈川県立保健福祉 ×         ×    
27 横浜市         × 2020 年度入学者選抜で英語資格試験を活用する選抜については出願要件等として活用
28 長岡造形 任意     ×    
29 新潟県     × 国際経済学部の総合型選抜の出願要件の「高度な資格・技能」を証明する資料のひとつとして利用
30 新潟県立看護 ×         ×    
31 富山県 ×         ×    
32 石川県立       ×    
33 石川県立看護         ×    
34 金沢美術工芸       ×    
35 公立小松       ×    
36 敦賀市立看護 × ×       ×    
37 福井県   A1   ×    
38 都留文科       ☆  英文、国際教育で利用 
39 山梨県   A1A2   ×    
40 公立諏訪東京理科         ×    
41 長野       ×    
42 長野県看護 ×         ×    
43 長野県立   ●      ●  × ☆  グローバルマネジメント、健康発達の推薦で利用 
44 岐阜県立看護 ×         ×    
45 岐阜薬科       ×    
46 静岡県       ×    
47 静岡文化芸術       × 国際文化学科、英語重点型公募制
48 愛知県立 任意     × 国語学部の推薦。英検、TOEIC(L&R)(公開テスト)、TOEFL を出願資格として利用できる
49 愛知県立芸術 ×         ×    
50 名古屋市 任意     × 国際文化学科の推薦。TOEIC公開テスト(L & R)580点以上、実用英語検定2級以上
51 三重県立看護       ×    
52 滋賀県   A1   ×    
53 京都市立芸術 任意     ×    
54 京都府       ×    
55 京都府立医科   A2   ×    
56 福知山公立         ×    
57 大阪市  

A2

  ×   経済学部後期のユニーク入試の特技の一例に利用できる
58 大阪府   A2   × 工学域機械系学類海洋システム工学課程総合型選抜 英検指定
59 神戸市外国語 任意     × 推薦
60 神戸市看護   A2 ×    
61 兵庫県   A2   国際商経-グローバルビジネスは一般試験で受験資格
62 奈良県 ×         ×    
63 奈良県立医科   A2   ×    
64 和歌山県立医科   A2   ×    
65 公立鳥取環境       ×    
66 島根県立(総合政策)           ×    
67 岡山県 × ×       ×    
68 新見公立 × ×       ×    
69 尾道市立(経済情報)   A1A2   ×    
70 県立広島       × 地域創生学部地域創生学科地域文化コースにおける学校推薦型選抜の異文化体験枠 出願資格
71 広島市       ×    
72 福山市 任意     ×    
73 山陽小野田市立山口東京理科   A1   ×    
74 下関市       ×    
75 山口県   - ×    
76 香川県立保健医療   A1   ×    
77 愛媛県立医療技術   A1   ×    
78 高知県       ×    
79 高知工科 任意     × 総合選抜英語区分、英検、TOEIC(IPテストは除く)、TOEFL
80 北九州市       ×   地域創生学群、活動・資格等実績申告書における英語の資格で検定試験の利用
81 九州歯科         ×    
82 福岡県立         × 推薦で利用
83 岡女           × 総合型選抜で利用
84 長崎県   A2 × 国際社会、国際経営の英語選抜区分の推薦・総合型で利用
85 熊本県 任意     × 文学部英語英米文学科の推薦 英検2 級以上 
86 大分県立看護科学       ×   推薦、主体性評価の一部として評価
87 宮崎県立看護       ×    
88 宮崎公立     A1   × 推薦、外国語(英語)の評定平均値が4.3以上または実検準2級以上
89 沖縄県立看護   A2   ×    
90 沖縄県立芸術       ×    
91 名桜 ×         ×   調査書等において評価(提出は任意)

 

 一般入試で活用するのは、第一学年全寮制、英語授業、全員留学必須という「英語教養教育」のパイオニアである国際教養大学、最近経営学部を改組した兵庫県立大学の国際商経学部、文系中期の老舗都留文科大学です。もともと英語が得意を求めている大学です。

 

国際教養大学

web.aiu.ac.jp

国際教養大学では、文部科学省が2020(令和2)年度からの英語民間試験活用のための大学入試英語成績提供システムの導入見送りを決定したことに伴い、今後の方針について以下1.2.のとおりとします。

1.英語民間試験の活用

 これまでどおり、学校推薦型入試(現在の推薦入試)、総合選抜型入試(現在のAO・IB・高校留学生入試等)において出願要件として、また一般選抜試験において英語資格等保持者への特例措置として以下の英語民間試験を採用します(①および②)。

国際教養大学が現在採用している試験

TOEFL(iBT)、TOEFL(PBT)、TOEIC(LR+SW)、英検(従来型)、GTEC(CBT)、TEAP、IELTS

文部科学省が共通テスト実施を前提として定めた試験

 TOEFL(iBT)、英検(CBT)、英検(1-day S-CBT)、

英検(2-days S-interview) GTEC(Advanced)、GTEC(CBT)、

TEAP、TEAP(CBT)、IELTS(アカデミックモジュール) ケンブリッジ英検

出願要件を満たすスコアまたは等級は現状どおりとします。詳細は今年度中に本学のホームページに掲載いたします。

試験のスコアまたは等級の有効期限は、試験実施団体が定める有効期限のものとし、かつ出願期間最終日から2年以内とします。

上記試験のスコアまたは等級は、原則として出願者または試験実施団体を通じて本学が直接入手するものとします。

2.一般選抜試験における英語民間試験の併用の廃止とこれに伴う出願者の共通テストの 受験の義務化
 出願者の共通テストの英語科目の得点、または大学入試センターより提供される英語民間試験のスコアまたは等級を証明する書類をもとに、本学が設定した得点(満点)の高いほうを採用する制度を見送ります。
 これに伴い、これまでどおり、出願者による共通テストの英語科目の受験を必須にします。また、英語資格等保持者への特例措置は継続します。対象となる英語民間試験は上記1.のとおりです。

  あれ?英語には一家言ある国際教養大学さん、英検は共通テスト版ですが、GTECの四技能版は「共通テスト実施を前提として定めた」仕様のものは来年は実施されず、従来型(高校で教員が問題を仕分けして監督する)ですよ?

 

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国際教養大学 マスコットキャラクター「ONE(ワン)」® HPによると「モチーフは秋田犬。名前の由来は「最先端、一番である」ことと、犬の鳴き声の組み合わせ」とのことです。卒業生提供。

 

兵庫県立大学

www.u-hyogo.ac.jp

【一般入試(一般選抜) 】

〇 国際商経学部 経済学コース・経営学コース

・ 民間の英語資格・検定試験結果を出願資格として設定しません。

・ 後期日程では、2020 年度(令和2年度)入学者選抜と同様、個別学力検査において民間の英語資格・検定試験結果を活用します。

〇 国際商経学部 グローバルビジネスコース

・ 2020 年度(令和2年度)入学者選抜と同様、民間の英語資格・検定試験結果を出願資格として設定し、CEFRレベルB1以上を求めます。

・ 2020 年度(令和2年度)入学者選抜と同様、個別学力検査において民間の英語資格・検定試 験結果を活用します。

〇 社会情報科学部・工学部・理学部・環境人間学部看護学部

・ 民間の英語資格・検定試験結果を出願資格として設定しません。

 

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国際商経学部 グローバルビジネスコース 一般入試の出願資格と加点

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追加 長野県立大学 12月16日の発表で一般での活用を取りやめました。

http://www.u-nagano.ac.jp/docs/kouhyou4.pdf

1 一般選抜について

中期日程のグローバルマネジメント学部では、CEFR 対照表の「B1」以上を段階的に評価し、点数化して、大学入学共通テストの英語試験の得点とは別に加点すると予告していましたが、英語認定試験は活用しないこととしました。

2 学校推薦型選抜

(1) グローバルマネジメント学部では、CEFR 対照表の「A2」以上を出願要件とすると予告していましたが、英語認定試験は活用しないこととしました。 出願要件は「英語の評定平均値 4.0 以上」に変更いたします。

(2) グローバルマネジメント学部及び健康発達学部(食健康学科・こども学科)では、CEFR 対照表の「B1」以上を段階的に評価し、点数化して、学校推薦型選抜試験の得点に加点すると予告していましたが、CEFR対照表は利用せず、現行の学校長推薦選抜と同様、本学が指定する民間の資格・検定試験(以下「英語民間試験」といいます)の級・スコアにより点数化して、学校推薦型選抜試験の得点に加点いたします。なお英語民間試験の受検時期については問いません。 点数化の基準となる各英語民間試験の級・スコアの詳細については入学者選抜要項で公表いたします。

3 総合型選抜

グローバルマネジメント学部では、CEFR 対照表の「A2」以上を出願要件とすると予告していましたが、英語認定試験は活用しないこととしました。 出願要件は「英語の評定平均値 4.0 以上」に変更いたします。

 

都留文科大学 これも変わるかも

https://www.tsuru.ac.jp/fs/3/6/2/7/3/_/2021___________0806__.pdf

【文学部 英文学科】

■ 前期 中期

出願要件ではないが、CEFR のA2 以上あるいはそれに相当する英語の能力を有する者が望ましい。

*外部試験活用の方法として、CEFR の B2 以上あるいはそれに相当する英語の能力を有している場合 は、大学入学共通テストの英語の得点を満点とみなす。

 

■ 総合型選抜

〈エントリー資格〉 [資格評価型]

1)実用英語技能検定試験(英検)の 2級以上を取得している。準1級以上の場合、実技試験 は免除されます。

2)TOEIC で490 点以上を得点している。730点以上の場合、実技は免除される。(推薦入試 とは異なり、IPテストの Score Reportは認められません。)

3)TOEIC Bridgeで155 点以上を得点している。(推薦入試とは異なり、IPテストのScore Reportは認められません。)

4)TOEFLで次の条件を満たしている。iBT(インターネット版)で48点以上。79 点以上の場 合、実技は免除される。(推薦入試とは異なり、ITPのスコアは認められません。)

 

【文学部 国際教育学科】

■ 前期  中期

外国語の「英語」に関しては、英語の民間資格・検定試験の結果を参考として活用しま す。英語外部試験では、文科省が認めたすべての団体が利用できます。

 

■ 学校推薦型選抜Ⅰ、Ⅱ(一般推薦入学試験)

出願資格は、CEFR の A2(英検準2級レベル)以上の英語能力を有する者とする

 

■ 大学入学共通テスト利用学校推薦型選抜

*CEFR の B2(準1級)以上の英語の能力を有している場合は、大学入学共通テストの英語 の得点を満点として換算する。

10) 出願資格として CEFR の A2(英検準2級レベル)以上の英語能力を有する者とする。

 

■総合選抜

出願資格  CEFR の A2(英検準2級レベル)以上の英語能力を有する者

 以下の者は、小論文は満点と見なす。 英検準1級以上、TOEIC730 点以上(ただしIP テストのScore Report は認めない)、 TOEFL iBT (インターネット版)で79 点以上 

 一般は前期・中期ともB2(英検準1級)以上でみなし満点、推薦・総合型はA2またはB1が出願資格です。一番下の「英検準1級で小論文が満点」ってのがちょっと謎です。

 

まとめ

 公立大学は、通常の学部は一般試験では検定を使わない、すでに英語民間検定を活用している英語関連学科の一般入試、および特技を生かす学校推薦・総合型選抜では活用するところもある、となりました。

 

キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!

 

 不安払拭、安心して受験に臨んでください。

 なお、これはネットの情報ですから鵜呑みにせず、受験校の詳細についてはリンク先から各自でご確認ください。