ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

2020年度からの大学入学共通テスト(英語民間検定の扱い首都圏の私立大学)

 受験生・保護者・高校の先生、9月18日から「英検2020 1day S-CBT」と「英検2020 2days S-interview」の予約開始です!(16時30分から)。ついに2021年度入試が実質スタートです。

 予約は先着順ではありませんが、メアドと予約金3,000円、S-interviewは合理的配慮を証明する診断書等の画像(お金いる (;´д`))が必要です。

 大学入試センターの「後出しじゃんけん」で、9月から成績提供が可能なのは4月~6月分です。9月18日は4月~7月分の予約申し込みなので、英検はここで予約し、2月9日(日)の本申し込みで都合のいい日をゲットする必要があります。

 この日は模擬試験も部活の試合もライブもデートも(/ω\)イヤン、キャンセルです。パソコンの前に座って指定された時間(お住いの地域で申し込み時間が違う模様)に英検のサーバーが壊れるまでリロードしてください。

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  9月16日付朝日新聞の一面に、入学共通テストの英語民間試験について「問題がある」と考える大学が65%。高校89%、という記事が載りました。TOEIC撤退、英検予約金3,000円以前のアンケートでこの状態です。

www.asahi.com

 

 ここまでは共通テスト必須で監督官庁に頭が(以下略)の国立大学を中心に新入試について考察してきましたが、日本の大学の5/7は私立大学です。そちらの動きも見逃せません。

 今回は前半で首都圏、後半で中京圏と関西圏の大規模私立大学の英語民間検定の扱いについてまとめます。

 9月16日現在の判明分(河合塾の9月12日のまとめ、眼に優しくない文部科学省ポータルサイト、各大学の発表)をベースにしています。受験生はこのブログをうのみにせず、大学の発表を参照してください。

 

河合塾

www.keinet.ne.jp

 

凡例

共通テストを入試で利用

 〇:する ×:しない

その利用方法

 利:旧センター利用 併:旧センター併用(センター+独自)

 ×:しない

成績提供システム(以下「システム」)利用(共通テスト・一般)

 注意!:学部によってする/しないがあるので必ず大学のHPで確認

 ●:利用する ▲:利用するがシステム以外の検定も可  ×:なし

 任意:提出任意でみなし得点や比較して高得点を使う 未定:未定

 

1 首都圏の大学…「早慶上理」「GMARCH」+ICU

 

大学 共通テスト利用 利用方式 成績提供システム利用 具体例 一般選抜 成績提供システム利用 具体例 推薦・総合型選抜での英語検定
慶應義塾 × × × ・英語外部検定試験は利用しない   ×    
国際基督教 × × ×   ・B方式(英語外部試験利用)で利用 不明(4技能 オフィシャルスコアに限る) IELTS TOEFL ケンブリッジ英検 GTEC-CBTの一定スコアを提出 ・総合型選抜(英語外部試験利用)はIELTS TOEFL 英検 ケンブリッジ英検 GTECのいずれかを提出
・ユニバーサルアドミッションズはIELTSかTOEFL
上智 利併 共通テスト利用型・併用型において、点数化して活用 ・TEAPスコア利用型:TEAPスコアを得点換算利用
・学部学科試験・共通テスト併用型:記述式を含む思考力を問う出題形式、英語外部試験を得点換算
・共通テスト利用型:英語外部試験をCEFRレベルごとに得点化し、共通テストの合計点に加点
・TEAPスコア利用型は2年間の成績可  
東京理科 利併 × ・A方式入学試験、C方式入学試験においては、「大学入学共通テスト」で実施する英語試験のみを利用   ・グローバル方式は成績提供システムの英語外部試験を利用(出願資格、加点)  
早稲田(文、文化構想) ・一般方式英語4技能テスト利用型で活用
・従来のセンター利用方式は廃止
・一般方式、一般方式共通テスト併用型、一般方式英語検定利用型 2年以内に受験したスコアを有効とする  
早稲田(教育) × × ×   独自入試のみ ×    
早稲田(国際教養) ○(一般入試で必須利用) 従来型は廃止 ・一般入試は、「共通テスト」「英語外部検定試験(スコア提出者に加点)」「学部独自試験(科目:英語)」の合計点による選抜 ・加点して活用。対象試験は、英検,TOEFL iBT,IELTS。出願開始年月から2年以内に受験した結果を有効とする  
早稲田(社会科学) ×   ・一般入試の科目変更(「政治・経済」の選択が不可になる) ×    
早稲田(法) ×   ・従来の入試から変更なし ×    
早稲田(政治経済) ○(一般入試は必須利用) × ・点数化して活用 ・一般方式は、「共通テスト」「英語外部検定試験(15点)」「学部独自試験」の合計点
従来のセンター方式は共通テスト利用入試として引き続き実施
・出願開始から2年以内に受験した検定が対象。英検を除き、大学入試英語成績提供システム経由でなくとも各試験実施機関から直接大学に提供される成績データに限り利用可  
早稲田(商) × × × ・従来のセンター利用入試の廃止 一般入試英語4技能テスト利用型」で出願資格および加点 出願資格:英検準1級以上またはTOEFL iBT 72点以上
加点:英検1級合格またTOEFL iBT95以上
出願開始から2年以内の検定
 
早稲田(3理工) × × ×   ・従来の入試から変更なし ×    
早稲田(スポーツ科学 ○(一般入試は必須利用) 利併 ×   ・共通テストと小論文、共通テストと競技証明書、共通テストのみの3区分 ×    
早稲田(人間科学) ×   ・一般方式(文系方式)の科目変更(「政治・経済」の選択が不可になる) ×   公募制学校推薦入試(FACT選抜)では出願2年以内の検定が必要
青山学院 利併 ●▲ ・共通テスト利用選抜では加点して活用
国際政治経済学部は出願資格(一部の方式を除く)
・加点利用の場合は大学入試英語成績提供システムからの提出に限る。出願資格の場合は、証明書の原本提出でも可
個別学部日程において共通テストを併用する(経済、文-英米文-B・C方式、理工-B方式を除く) 加点の利用は成績提供システムから、出願資格の利用は2年以内に取得したスコアの原本提出 ・一部学部は成績提供システムまたは原本の提出
学習院 ×     ・国際社会科学部のプラス試験で、検定の結果を英語の点数に換算 ・法、経済、文、国際社会科学部の公募推薦では出願資格として活用(2年以内)
中央 利併 ・共通テスト利用方式では、経済学部では点数化して加点、総合政策学部では出願資格(A2以上)として活用   ・英語外部検定試験利用入試で出願資格や点数化して活用する(学部により異なる)
・使える検定は未定
 
法政 ・出願資格として利用
理工学部機械工学科航空操縦学専攻
GIS(グローバル教養学部)はスコア原本提出も可。2年以内
TOEFL iBT、IELTS 英検の指定のスコア
GIS(グローバル教養学部)のT日程入試廃止 GISの英語外部試験利用入試は換算型に変更使えるスコアは共通テスト利用方式と同じ。   
明治 利併 × 全ての学部で活用しない 検討中 未定 現行では一部学部で検定を出願条件にする入試あり  
立教 ・共通テスト方式では共通テスト英語の得点に換算し高い方を採用
・2年以内のスコアが有効(成績提供システム以外からの提出も可)
・一般方式における本学独自の英語試験は実施しない(文学部のみ、独自の英語・国語・選択科目による試験日を設ける) ・一般選抜の全学部でスコアを点数化する
・2年以内のスコアが有効(成績提供システム以外からの提出も可)
 


 一般入試についてはもともと検定のスコアを使う入試方式があるので従来通り「出願前2年以内」の検定もOKになっている大学が多いです。 

 いちばんがっつり「成績提供システム」を使うのは上智大学です。上智大学は英検と共同で「TEAP」(アカデミックパーパスの4技能検定)を開発するなど、外部検定利用のパイオニアです。「成績提供システム」のあれとかはTEAPとは較べ(以下略)。

 これまでセンター試験を利用しなかったのに、2021年度の一般入試からは「共通テスト併用型」「共通テスト利用型」「TEAP型」になり、前のふたつは「成績提供システム」を経由した検定が必須です。TEAP型のみ2年前のスコアも有効です。

www.sophia.ac.jp

 

 国際基督教大学は、一般試験の英語検定方式は従来のIELTS、TOEFLに加えてケンブリッジ英検とGTEC-CBTが追加、総合選抜では加えて英検とGTEC4技能のいずれかが必須です(いつの検定が有効化は不明)。

 TEAP完無視です。上智さんと仲がお悪(以下略)。 

https://www.icu.ac.jp/admissions/undergraduate/images/A4_admi_裁ち落とし0531.pdf

 

 中央大学もけっこうがっつり「成績提供システム」を使いますが、学部によって扱いが違うので詳しくはこちら。

www.chuo-u.ac.jp

 

 青山学院大学は、加点方式は「成績提供システム」から、出願資格は2年前の検定も可と複雑なので、こちらを見てください。

www.aoyama.ac.jp

 

 共通テストを利用する入試については、慶應は昔にセンター利用を廃止、明治と学習院は「成績提供システム」を使わないとしています。早稲田も旧センター利用を継続する学部では「成績提供システム」は使わないとしています。 

 東京理科大学のグローバル方式、法政大学の航空操縦学専攻、中央大学の経済学部、総合政策学部、先述の上智大学の共通テスト利用方式は「成績提供システム」経由必須です、ただしすべての検定が使えるかどうかは未定のところもあります。

 ん? 英検S-CBTは使えますよね? GTECはCBT以外を書いてない大学時々見かけますから、CBT以外は不可だと高い金払ったのに出願できないとか( ;∀;)

 

 首都圏の大学の中で一番ぶっ飛んでいるのは立教大学で、文学部以外は個別試験の英語を廃止し、検定のスコア(「成績提供システム」以外も可)で代替します。

 その分全学入試の回数を増やして併願のチャンスを広げたそうですが、ひょっとして自前で英語のテストを作るのがめ(以下略)または専任の英語の先生をク(以下略)。

www.rikkyo.ac.jp

 

 早稲田大学は学部ごとに違いがあり、従来通りの学部と一般入試に共通テストを必須化する大学と両方あります。検定は出願2年前のものが有効で、GTECはCBTしか使えないので注意が必要です。

 なお別件ですが指定校推薦の生徒に共通テストを課すとのことです。

www.waseda.jp

 

まとめ

  

 首都圏はあらゆる英語検定が受験可能、2年前のスコアも可のところが多いですが、「成績提供システム」を必須とする入試方法もあります。またシステムの中でも使えない検定があります。よく調べてから検定を予約してください。

 ん? つまり私立大学も2021年度入試はこの9月から開始!Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン!

 

おわりに

 

 首都圏は私立王国で早くから外部検定を取り入れています。それをみて文科省の中の人は今回の制度を作ったのでしょうが、首都圏でできることが全国でもできると考えるのは勘違いです。そこが最初の「ボタンの掛け違い」です。

 冒頭の朝日新聞によると、文科省は依然「高校などへの丁寧な説明に努めつつ、実施団体や大学に要請を続け、受験生の不安を少しでも減らしていきたい」と、制度そのものの問題点はスルーです。いわゆる「官僚無謬説」(お上のやることに間違いはない、下々は言われたとおりにやればよい)です。

 制度や運営が特に地方にフィットしない、だから受験生は不安なのであって、いくら「説明」されても払拭されません。「中の人」は国家一種を突破したその知力を用いて受験生が気持ちよく受験できる「制度」を再構築してください。

 受験生を預かる立場からの切なるお願いです。

 

 と書いていたら、9月17日にNHKが「文部科学大臣が検定団に事前に受験を取りやめた場合には予約金を返金するよう要請したことを明らかにした」と報じました(制度は強行するつもり)。

    英検が予約金を会場代に突っ込むつもりなら返金に応じるとおそらく破産です。

 終わりの始まり?(続く)