ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

飛び出し看板もコンプライアンス?~3つのバージョン~

 先日滋賀県の回で飛び出し看板の話をして、思い出したことがあります。

 ある日ぶんぶんが出張先に向かう途中、道路が激しく渋滞していました。そこでわき道へ迂回しましたが、近くに文教施設があるため「飛び出し看板」がこれでもかと立っていました。

 アマゾンで買えます。

 安全興業は工事現場でよく見かける保安部品を取り扱っています。

www.anzenkogyo.com

 奥に置いてあるものはちょっと古びてます。あれ、ブルマー?!

 拡大すると(失礼)、新しいバージョンは色を継ぎ足してあります。

 女の子の逆側は男の子です。そちらも最初はショートパンツだったのがハーフパンツに変更されています。

旧バージョン

新バージョン

 さてこれは世界史のブログなのでブルマーの歴史についておさらい。

参考

こちらも

 アメリア・ジェンクス・ブルーマーは19世紀アメリカ合衆国の女性運動家で、同じく女性運動家のエリザベス・スミス・ミラーが考案した膝下まで丈があるズボンとショートドレスの組み合わせを『リリー』誌上で紹介し、大きな反響を呼びました。そのためこのスタイルは「ブルマー」と呼ばれるようになりました。

http://www.kvinfo.dk/kilde.php?kilde=253, Public Domain

 第一次世界大戦で女性が工場などに動員されるとズボンの着用が広がります。2024年放送のNHK映像の世紀 バタフライエフェクト』で男性が「君(女性)にはズボンを履いてほしくない」と嘆く様子が紹介されていました。(´・ω・`)

 第一次世界大戦後にはココ・シャネルが短いスカートを流行させるなど、女性の活動的な衣服は女性の社会進出のアイコンになりました。

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 日本では、「日本の女子体操教育の母」といわれる東京女子高等師範学校の井口阿くりがアメリカ留学から帰国後に女子体育教育の普及に尽力し、アメリカで体育着として着用されていたブルマーを日本に持ち込みました。

 井口が考案した平常服と運動服。原本:国光社『体育之理論及実際』(1906年刊)。著作権切れでパブリックドメイン。セーラー服を女子の制服に導入したのも井口の発案だそうです。ん?ブルマーにセー(以下略) ゴメソ(;>Д<)*┳┓o(`皿´メ)コラッ!

www.akt.co.jp

 いわゆる「ぴったりしたブルマー」が体操着となるのは、学生服のトンボのHPによると、1964年の東京オリンピックでバレーボール女子日本代表が金メダルを獲得した時、対戦した強豪のソヴィエト連邦ポーランドの選手のユニフォームがテレビを通じて広く知られたことがきっかけとのことです。

 ソ連との決勝戦。日本選手のブルマーはちょっとぶかぶかです。日本国内では著作権切れでパブリックドメイン

ソース    http://www.gettyimages.co.uk/detail/news-photo/sata-isobe-of-japan-spikes-the-ball-during-the-womens-news-photo/164485914

 これに目を付けた体育着メーカーが、従来のショートパンツに代わって、合繊メーカーと協力して合繊ニットのブルマーを開発し、中体連の協力の元で販売を始めました。

 1970年代からこの「ぴったりしたブルマー」は女子の体操着として学校現場で普及しますが、ぶんぶんが高校生の時からブルマーを嫌がる女子の声はあり、1990年代に「女性性(特に高校生)の商品化」が社会問題になるとそうした声が可視化されます。

*かつて「進歩的知識人」が愛読していた(現在は廃刊)『朝日ジャーナル』は、体制批判記事に紛れて東スポまがいの記事が載ることがありました。ある時ブルマーに関する記事があり(1980年代半ば)、「スカートめくり最終防衛ライン」「体操着を忘れた友だちに脱ぎたてのブルマーを貸す」といった内容で、大学の研究室で話題になりました。現物を残しておけば…。(*・ω・)/ハイ*┳┓o(`皿´メ)カッタノカ!

 こうしてブルマーは「女性性の商品化の象徴」とみなされるようになり、ぶんぶんの勤め先でもハーフパンツに置き換わりました。

*その結果、一部地域ではちんちくりんのスカートからハーフパンツがのぞく、世にいう「はにわスタイル」が爆誕しました。

参考 ブルマー普及の背後には体操着メーカーと中体連の深い関係があったと著者は指摘しています。

参考

www.tombow.gr.jp

 ただしブルマーを学校から退場させたからといって「女性性の商品化」自体が駆逐された訳ではありません。女子アスリートの盗撮被害も後を絶ちません。許すまじです。

弁護士ドットコム

www.bengo4.com

 さて別の日に運転していると、さらに違うバージョンを発見しました。

 こ、これはパ…もといアンダースコート?!牧れいや森永奈緒美がミニスカ・アンスコで敵にキックをお見舞いしていた1970~80年代の名残?

牧れい

 これはオーバーオール。「赤=ジェンダーバイアス」とも取れますが、飛び出し看板は目立つ方がいいです。とび太も暖色系です。

 ドライバーの皆さん、子どもの飛び出しにはくれぐれもお気を付けください。