ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

今さら聞けない大学入学共通テストの基礎知識2022(出願編)

これは旧課程の記事です。新課程の記事はこちら↓

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はじめに

 7月9日、大学入学センターのHPに2022(令和4)年度の大学入学共通テスト(以下共通テスト)の受験案内がアップされました。現物は、現役生は9月初旬に担任から配付されます(過年度生はお近くの大学で入手が早い)。

 受験生は9月中に共通テストの志願票を完成させます。夏休み中に共通テストとは何なのか、予習しておきましょう。

 さて入試改革の三本柱であった不公平な英語民間検定利用、採点できない国語と数学の記述式、使えないJAPAN e-Portfolioは2019~20年に次々と破綻しました。

 2021年度の共通テストも問題山積でした。

  • 読む分量が増えた上に複数ページを行ったり来たりする必要があり、それが苦手な(学習障害等の)生徒にはつらい仕様だった数学
  • 「民間検定の必須化」を前提としてリーディングとリスニングだけになった「バランス」を欠いた英語
  • 「バランスよく」にこだわって配点を100点にしたら試験時間30分に収まらなくなって、突如第3問から1回読みになったリスニング
  • 記述式廃止と出題者の利益相反疑惑のため「実用的文章」はどこかに行き、複数テキスト読解も「お飾り程度」になった国語
  • 「特例追試」は共通テストの問題が弾切れでセンター試験の問題を使用。しかも国語はセンター過去問の焼き直し

*発展

 ところが大学入試センターの問題評価・分析委員会の報告書を読むと、国語について高校教員は絶賛の嵐でした。一方日本国語教育学会は新傾向問題について「生徒が自主的に作るノート,という設定にも無理があると感じた」「問題のための問題になってはいないか」と手厳しい意見でした。

問題評価・分析委員会報告書|大学入試センター

 まあ『レインボーマン』のED曲に「お金も欲しいさ、名も欲しい」とあるし、ぶんぶんも頼まれたらわんわん(以下略) (、´・ω・)▄︻┻┳═一 ・∵.・∵. ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ 

 

表紙 大学入試センターのHPよりスクリーンショット 

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出典 大学入試センター

www.dnc.ac.jp

 

目次

 

1 基本編

 ①「大学入試共通テスト」とは?

 高等学校の段階における基礎的な学習の到達度を判定する目的で行われる試験のことです。毎年1月13日以降の最初の土曜日及び翌日の日曜日に全国で一斉に行われます。会場は各都道府県の大学などを使用します。

 2021年度は第一日程→2週間後に第二日程(第一日程の追試を兼ねる)→2週間後に特例追試(第二日程の追試でセンター試験の問題)でしたが、今年は本試と2週間後の追試験、という第一日程・第二日程に反対した人たちが提唱した段取りです。

 

②共通テストの主な特徴

(1)国公立大学を受験する人はマスト

 すべての国公立大学が一次試験として利用します。大学ごとの個別試験(二次試験)と組み合わせて合否判定を行います

 東京工業大学のように「一次カット」のみに使う大学、都留文科大学琉球大学のように日程のいずれかを共通テストのみで判定する大学もあります。 

(2) 私立大学も入学試験として利用できる

 現在ほとんどの私立大学が、自校で作成した問題による試験以外に、共通テストを利用する受験方式を採用しています。

 「利用方式」は共通テストの成績のみで合否を判定します。「併用方式」は一般試験と共通テストを組み合わせて合否を決定します。

(3)入試として課す科目・配点は各大学に任されている

  共通テストで用意されている6教科30科目のうち、受験生にどの教科・科目を課すのか、配点をどうするかについては、すべて各大学の裁量に任されています。

a)教科・科目

 国公立大学の大半は国語、外国語(英語はリスニング含む)、数学①・数学②が必須で、それに加えて文系は地歴・公民から2、理科の基礎科目2を、理系は地歴または公民から1、理科専門科目から2、の計5教科(7or8科目)を課すのが一般的です

 「アラカルト方式」は任意の教科・科目を点数化することです。例えば東京都立大学の法学部は私立文系と同じ科目で受験可能です(詳しくは募集要項を参照)。

b)配点

 三重大学の工学部は、二次試験で英語の試験がない代わりに一次の英語の配点を高くするなど教科間の「傾斜配点」を実施しています。最難関の国立大学は共通テストの点数を圧縮して二次試験重視のところが大半です。

c)私立大学の共通テスト利用方式

 一般試験と同じ2~3教科が主流です。難関国立の併願先にあたる私立では5教科を判定に使う方式もあります。

 首都圏では早稲田大学上智大学青山学院大学などで一般試験で共通テスト受験が必須の方式や学部があります。

 また早稲田大学龍谷大学指定校推薦の志願者は共通テスト必須の学部があるので先生の話を聞いてください。

(4) 全問マークセンス方式

 選択肢から正解と思われるものを選び、マークを鉛筆で塗りつぶしていく「マークセンス方式」で実施され、採点はコンピュータによって行われます。頓挫した記述式は今後もありません。

(5) 出題は教科書の範囲内

 基本は教科書の範囲から出題されます。難易度は、センター試験は平均6割、試行調査は5割目標でしたが、第1回の共通テストはセンター試験と大差ありませんでした。

(6) 受験生本人には年度内に得点が通知されない

 受験生に点数が開示されるのは翌年の4月以降(出願時に申請)、出願時には自分の持ち点がわからないので、受験生は解答を記録し、発表された正解をみて自己採点し、それをもとに受験する大学を決めます。

 当然「自分の持ち点」でどの大学に合格しそうかはわかりませんから、受験産業の「自己採点サービス」を利用します。

(7) 試験時間

 2日間実施されます。『受験案内』7頁。

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2 出願編

 

①出願時の基本的な注意事項 

(1)当日の受験教科をすべて申告する

 何を受験するか出願時に申告する必要があります。

 国公立大学を考えている人は原則5教科フル受験、私立専願の人は必要な教科を申請します。

 数学は受験科目数に関係なくA「受験する」×「受験しない」のいずれか選びます。地歴・公民と理科は後述します。『受験案内』22頁のスクリーンショット

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(2)オプション科目が必要なら申告する

 数学②で簿記・会計などを受験する場合、外国語で英語以外を選択する場合は申告します。申告した生徒にのみ本冊子に加えて申し込んだ別冊子も準備されます。当日気が変わって本冊子の問題を解答してもかまいません。

 なお英語はリーディング、リスニング各100点、英語以外は筆記200点で、後者を選んだ受験生はリスニング不要です。

(3)成績開示通知を希望するかどうか申告する

 1の②の(6)参照

(4)受験料を計算して郵便局等で振り込み、領収書を願書に貼る

 3教科以上18,000円、2教科以下12,000円で、開示を希望するとプラス800円必要です。郵便局等で必ず指定の振込用紙を使って窓口で支払い「D振替払込請求書兼受領証」と「E検定料受付証明書」をもらってください。

 ATMを使うとこの2枚に判が押されない=支払いが証明できない=出願受理されない、ので絶対やめてください

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 金額を間違うと(特に3教科なのに2教科の料金しか支払わないと)煩雑な訂正手続きがあるのでやめてください

 保護者が振り込む場合でも「支払人欄」は受験者本人の住所と名前にしてください。保護者の名前で振り込むと大騒動になります,フリガナも必要です。

*上記のことをやらかすと、必要な金額を再度振り込み、先に振り込んだ分を返還請求する、という段取りになります。(´・ω・`)

 支払いを終えたら「E検定料受付証明書」を願書に糊付けします。

(5)イヤホンが入るかどうかチェックする

 おそらく進路指導室にリスニングのイヤホン(耳の穴にぶち込むカナルタイプ)があるはずです。学校で必ず耳の穴に入るか試してください。

 灰色が従来、白色が新バージョン。サイズは同じでやや形状が違います。

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 「入らない!」という人は「イヤホン不適合措置申請書」をHPからダウンロードして、必要事項を記入し、お近くの共通テスト参加大学へ志願者本人が出向いて確認のサインをもらい、願書の所定の欄に貼り付けて出願します。

 こうすると当日試験会場の大学がヘッドホンを用意してくれます。最寄り大学が遠方の人は担任に一言伝えて早引きさせてもらいましょう。

(6)ハンディキャップがある人への配慮

 まず担任と進路の先生に相談してください。次に「受験上の配慮案内」をHPからダウンロードまたは郵送で入手し、必要事項を記入し、医師の診断書をつけて学校経由で願書と共に大学入試センターに申請します。「視覚障がい」から「トイレが近い」まで幅広く対応しています(イヤホン不適合は先述のようにこの段取り外)。

 審査の上、出願の「確認はがき」が帰ってくる頃に「○○の配慮をします」等の審査結果が来ます。

 「かなり複雑な配慮が必要?」と思う場合は「出願前申請」も可能です。

 また出願完了した後に配慮が必要になった場合、例えば事故にあったとか、試験が近づいてきて急におなかの調子が悪くなったなどは、まず受験票に記載されている「問い合わせ大学」に本人または代理人が電話連絡した上で、受験票と医師の診断書を持参して申請してください。

 なお新型コロナウイルス感染症の影響で2021年度と同様、試験会場ではマスクの常時着用が求められます。病気・負傷や障害等によりマスクを着用することが困難で,試験時間中にマスクを着用せずに受験することを希望する場合は、「受験上の配慮申請」が必要になります

必要な申請書類(「受験上の配慮案内」にとじ込み)

① 受験上の配慮申請書

  裏面「㉗その他の希望配慮事項等」欄にマスクを着用せず受験したい旨を記入

② 診断書(病気・負傷や障害等の区分に対応した様式)

  マスクが着用できない具体的な理由を医師が記入

 許可された場合、「試験時間中にマスクを着用しないこと」「別室(少人数の試験室)の設定」という配慮がされます。

 試験当日にマスクの着用が困難であることを申し出た場合は,マスクを着用せずに受験することはできないため、追試験の受験を申請してもらうことになります

(7)担任に提出し、チェック後、学校が一括して送付する

 現役生については、校長がその在籍を一括証明して、全員分を学校からまとめて送ります。

    受験案内には封筒が入っていますが、過年度生(浪人生)用です。現役生がこれを使って自分で送る(保護者が気を利かせて送ってしまう)と大騒動に発展しますから、絶対やめてください。

*過年度生は学校で卒業証明書などを発行してもらって、封筒に必要な書類を入れて自分で送ります。

 なお担任に提出する前に志願票のコピー(表裏)をとります。センターはデータ入力後に確認はがきを学校へ送ります。はがきが到着したらコピーと照合して、入力ミスがないか確かめます。 

 

②共通テスト出願時の重大注意事項

(1) 地歴と公民は何科目受けるか出願時に申告する

 地歴と公民は「ひとつの教科」として扱い、同じ試験時間帯で実施します。

 1科目受験は60分で解答、2科目受験は130分(10分は回収時間)の中で2科目を解答します。ただし開始60分後に「第一解答科目」を回収します。

 センター試験の出願時に、地歴・公民については

A「1科目受験」

B「2科目受験」

×「受験しない」

 を申告します。この申告を元に受験教室が指定されます(同パターン同教室)。

 このため、2科目受ける人は20分前入室+130分試験と、150分は教室から出られません!(トイレ休憩はありません)。(+_+)

 したがって2科目受験で申し込みながら、その後志望変更で1科目でよくなったとしても、試験の途中で退出したり、途中から入ることはできません

 国立文系は通常2科目を登録します。地歴と公民はまとめて1教科扱いなので、「2科目受験」と申請しておけば、当日地歴を2つ、地歴と公民を1ずつ、どちらも受験可能です。なお公民2科目を認める国公立大学はごく少数ですからやめましょう。

 理系は1科目必須かつ「第一解答科目」のみ得点化なので、基本1科目登録です。

 地歴・公民と発展理科の「第一解答科目」「第二解答科目」については別回を参照してください。

HPよりスクリーンショット

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(3) 理科の基礎科目と発展科目の組み合わせを出願時に申告

 理科は出願時に次のどれで受験するか申告する必要があります。

A 理科①(基礎科目。科目に「基礎」がつく)を2科目

 (理科基礎1科目だけ受験は不可)。

B 理科②(発展科目。「物理」「化学」など)を1科目

C 理科①(基礎)2科目、理科②(発展)1科目

D 理科②(発展)2科目

× 受験しない

 文系はA、理系はDが基本で、たぶんこれでどの大学も受験できるはずです。

 Bはアラカルト型の公立や中堅私立理系に狙いを絞っている人向けです。

 Cパターンは、看護系の学部に「基礎2または発展1」というところがあるので、このパターンを使う人もいます。基礎2と発展1は別時間割なので、両方受験したら高得点を採用する場合が大半です。詳細は募集要項で確認してください。

  このように共通テストの出願時(9月下旬)に「どの大学を受験」するかほぼ決めた上で、必要な科目(地歴・公民と理科は科目数)を申告する必要があります。

 願書を書く時に、自分が受験する可能性のあるすべての大学について受験科目を調べ、すべてに当てはまるような科目・科目数の申告をしてください。

 科目調べは河合塾の『栄冠目指してvol.2』などを参考にし、念のため各大学のHPに掲載されている募集要項を確認してください。

 

おわりに

 

 共通テストに出願する時点から受験は始まっています。「自分がどの大学・学部を受験するのか」、「第一志望が難しいときの押さえはどうするか」をシミュレーションしておきましょう。

 各学校で共通テストの受験について考え方が違いますので、受験生は必ず担任と進路指導部の指導に従ってください。

リンク集

出願したら

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 直前準備(12月に改訂します)

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