ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

センター試験 世界史Bの傾向と対策(2 出題パターン年号編)

 大学入試センター試験世界史Bの過去問を元に、どのような聞き方をされるか、解答するためにはどのようなトレーニングをするか考えます。

 後編は年号問題、整序問題、資料問題についてです。

 前回

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 センター試験の問題は二次著作権が発生する図版以外は公共財なので、著作権法の範囲内でスクショします。

 

4 年号問題…何はいつ起こったものか


例4 2012年 下線部①は前2世紀後半 

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ポイント

・張騫→武帝→「いよいよ武帝の時代」→前141年→前2世紀後半

・仏図澄→五胡十六国時代→「サイン無視して晋滅ぶ」→316年→4世紀

・西遼→靖康の変→「いい風呂に入ってふにゃけた」→1126~27年→12世紀

・班超→後漢光武帝→「にこっと復活」→25年→1世紀

というように、文中のキーワードから王朝の成立や滅亡年、重要事件にたどりついて、何世紀のことかを推理します。

 

レーニング方法

 センター試験では「○○世紀のことはどれか」と聞かれますが、すべての事項の世紀を覚えるのではなく、画期となる年号を記憶し、その前後関係から「この出来事は何世紀ぐらい」と言えるようにします

 例えば「ジャックリーの乱は百年戦争(1339年開始)中のフランスで起きたので14世紀」は最も単純なものです。

 製紙法や印刷術もよく出題されますが、グーテンベルクの印刷術は、フスは情報が発信できずに焚刑にされた→1414年 ルターは情報を発信したから教皇に対抗できた→1517年 から15世紀の半ばぐらいと推理できます。

 このように重要年号(王朝の成立と滅亡、重要事件)の記憶前後関係の正確な把握センター試験高得点の鍵です。

 私はこの「軸年号」だけを集めた「世界史語呂合わせプリント」を作って生徒に渡しています。世界史で高得点が取れるようになった卒業生は、毎年発行する「卒業生の学習方法紹介」で「このプリントに助けられた」と書いてくれます(宣伝です(笑))。

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ブログにあげました。

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

5 流れ整理問題…通史のダレ、イツ、ドコ、ナニの判別 順番の整序

例5の1 2012年

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例5の2 2012年

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 例5の3 2013年

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ポイント

 例5の1は、単元のストーリーがわかっていれば年号を知らなくても解答できます。この場合はベトナム戦争終結カンボジアポルポト政権→ベトナムカンボジア侵攻→中越戦争という流れです。

 例5の2は、朝鮮王朝→明、遼→五代・北宋、陳朝→元と変換すれば、中国王朝の順番から答えは明らかです。

 例5の3は、cとaは王朝の順番から類推できますが、キエフ公国→ノルマン人→カール大帝が死んだ後→9世紀という年号の知識が必要です。4と5の複合問題です。

 これと似た出題でペトラルカ、エラスムスセルバンテスを並び替える問題がありましたが、ペトラルカ→ダンテ→中世、エラスムス→ルター→1517、セルバンテスレパントの海戦→1571と変換します。

 

レーニング方法

 「流れ問題」は事件毎の細かい年号を知らなくてもストーリーが理解できていたり、その出来事がいつの王朝のことかが判別できれば解けるものが大半です。

 教科書を読んでサブノートを完成させる時、機械的に穴埋めをしないことです。5の1の場合は「せっかくベトナムが統一されたのに、カンボジアに介入してまた戦争~?」(『秘密のケンミンshow』の「東はるみ」風に)とコメントを入れながら記憶します。5の2の場合は「どこかのページにも文字のこと出てたっけ」と「戻り学習」をすることがマストです。

 ただし5の3のように年号の知識が必要な問題もありますから、重要年号は確実に記憶しましょう。

 

*年号・整序問題 大事なことは2度言いますね!

  1. 王朝、国王・皇帝・大統領の順番を覚えましょう。
  2. 画期となる年号、王朝の成立・滅亡・重要事件を覚えましょう。
  3. 1と2をつなぎ合わせて、年号を覚えていない事件も時代を推理しましょう。

 

6 資料問題…都市の位置と説明、絵画・建築物と説明の照合

 例6 2012年 下線部④はポルトガル

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バタヴィア-a ②バタヴィア-b ③マカオ-a ④マカオ-b

 

ポイント

 都市は名前・場所をピンポイントで答えるのではなく、例題のようにリード文に適した名前と場所を答える場合が大半です。都市以外では、ローマの最大領域のようなエリアを問う問題、トルコ人の移動経路を聞く問題がありました。

 なおこの問題、「②バタヴィア-b」も組み合わせはあっていますが、「ポルトガル」という指定を満たしていません。本番でよく起きるケアレスミスなので問題文をよく読みましょう。 

 

レーニング方法

 とにかくサブノート(たぶん地図がある)と資料集(白地図が付属しているものもあり)で都市位置や王権のエリアをひたすら復習しましょう

 覚えるべきは、都市では古代オリエント、古代インド、中国(古代~20世紀の日中戦争まで)、イスラーム、中世ヨーロッパ、大航海時代以降の各国(カルカッタとかポンディシェリとか受験生泣かせ)の拠点です。

 エリアではローマ(共和政~帝政)、中国(特に周辺諸地域)、イスラームの諸王朝、ゲルマン人の移動、アメリカ合衆国の発展、バルカン半島、アフリカや西アジアの分割などです。勉強の休憩時間は資料集で息抜きしましょう

 絵画や建築物は教科書に載っているものはすべて名前、場所、どういう内容かを記憶しましょう。

 

まとめ

 世界史は三年生の2学期まで完成しませんが、完成は待たずにどんどんシャッフルトレーニングをしましょう。最初はセンターの過去問を章別、単元別にまとめてある問題集をやって抜け漏れをつぶし、マーク模試の復習で徐々に完成させましょう。

 

 次回は実践編、間違いどころの疑い方について考えます(続く)。