ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

一年生7月 文理選択について考える(大学生アンケート 理系編)

文理選択について大学生に聞きました 後半は理系編です。

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一年生7月 文理選択について考える(大学生アンケート 文系編) - ぶんぶんの進路歳時記

*先輩の意見はあくまで個人の感想です。意見の一つとして読んでください。

 

 

大阪教育大学 教育学部 教育養成課程理科教育専攻中学校コース

 

大学で学んでいること
 「教員になる」ということを前提に科目を学んだり教師という仕事について考えたりしています。例えば物理に関しては中学校でするような実験を授業でやり、課題として「どのように実験を工夫すればわかりやすいか」といったレポートがあります。高校で専攻していたことを中心に班になって物理を高校で選択しなかった人も学べるようになっています。「教職入門」という授業では、実際に中学校へ行って先生という立場になる「観察実習」というものがあります(1回生)。

 

この学部・学科を選んだ動機
 一番身近な職が教師でした。また、人に教えて理解してもらうということが楽しそうだと思いました。このような理由で教師が目指すようになりました。自分は理学部に行き深い知識をつけて教員になるか、教育学部で教えることを学ぶかで迷っていました。その時自分が尊敬する先生が教育学部だったということで教育学部を選びました。

 

文理選択のポイント
 将来の夢があるならそれを目指すためには何を学べばいいかを考えれば文理選択は簡単です。決められない時は、文系と理系について調べ、興味が出た方を選べばいいと思います。「文系だから数学は不必要だ」「理系だから国語はできなくていい」ということはないと思います。ネガティブな決め方よりポジティブな選択、やりたいからやるというのが大事だと思います。

 

科目選びのポイント
 受験に必要な科目を選ぶのが大切です。また理系なら物理・地理が志望校の選択肢が多いと思います。物理は個人的にすごく面白いと思います。でも「物理は全くダメだ」という人が多いのは残念です。是非学んでみて面白さを知ってみてはどうでしょうか。

 

 

三重大学工学部分子素材工学科

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大学で学んでいること

 有機化学無機化学、物理化学、高分子化学など幅広く「化学」を学んでいます。一年生では英語などの一般教養を学び、二年、三年では専門科目が全般を占め実験も入り、専門知識を身につけ四年生では研究室に配属されます。

 

この学部・学科を選んだ動機

 医学部を目指していましたが学力的に及ばないと判断しました。そこで人工臓器のように多くの医療製機器は高分子でできていることを知り、身の回りの素材に興味が出てきたので分子素材工学科を目指しました。

 

文理選択のポイント

 私は元々理科と数学が好きだったので理系を選びました。○○が好きだからと選ぶのももちろんいいと思いますが、文理選択で行ける大学も慣れる職業も変わってくるという自覚を持ち、将来のことを考えた上で選ぶべきだと思います。

 

科目選びのポイント

 理系であれば一番大学の範囲を広げられるのは物理・地理と言われていると思いますが、1教科でも足を引っ張ってしまうと苦労するので自分のできそうな教科を一番に優先すべきだと思います。

 

 

三重大学医学部看護学

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大学で学んでいること

 看護学について、英語、第二言語(中国語)、一般教養。今は看護の専門よりも一般教養や語学を中心に学んでいます。

 

この学部・学科を選んだ動機

 看護師の資格を取りたかったから。国際的なことに興味があり三重大学看護学科は海外研修や異文化看護学など国際的なことにも力を入れていたから。

 

文理選択のポイント

 私は数Ⅲや化学をやりたくないという理由だけで文系を選択したけど、国語がとても苦手で高2の冬に文系の学部ではなく理系の学部に進路を変えて、受験の時に理科の専門を勉強していなかったので基礎だけで行ける大学に進路の選択が限られたので、文理選択をする時に、自分は文系にしか行かないなどと決めつけるのではなく、模試や定期テストとかで自分がどの教科が得意かなどしっかり見極めてから文理選択した方がいいと思う。

 

科目選びのポイント

 自分が好きな教科かどうか。覚えやすいかどうか。

 

 

三重大学医学部看護学

 

大学で学んでいること

 専門は医療科学概論、基礎看護論、生化学、人体構造機能学などを学んでいます。医療の倫理的な内容や看護とは何か、対象は誰かについて事例を基に考え、学びます。また人の体内の物質や化学反応、人体の構造をマクロ、ミクロの両方の世界を学びます。人体解剖の見学もありました。

 

この学部・学科を選んだ動機

 「需要のある職業に就きたい」と思い、看護師になろうと決めました。三重大学には付属病院があり、教育環境が整っている、家から通えるという理由でこの大学の学部・学科を選びました。

 

文理選択のポイント

 自分の将来就きたい職業が決まっている人はそれに合わせる。志望大学も決まっている人は受験科目を確認する。何も決まっていない人は得意・好きな方を。私は一年生の頃夢や志望大学はなかったので、「歴史は好きじゃない、理科が好き、物理と生物は点数は同じくらいだけど生物の方が面白い」という理由で理系生物を選択しました。文理で大変さや勉強量に大きな差はないと思います。

 

科目選びのポイント

 夢や志望大学が決まっている人は大学で学ぶ科目、大学の受験科目を確認する。看護は理系生物が一番いいと思います。後は自分の得意、好きなものを。理系は物理の方が大学の選択の幅が広がるといわれたけど、自分は物理が苦手で生物の方が好きだったので生物にしました。一般的に「こっちの方がよい」とか「こっちは大変だ」とかよく聞きましたが関係ありません。得意なもの、好きなもの、少しでも興味のあるものを選ぶ方が受験にうまくつながると思います。

 

 

鈴鹿医療科学大学保健衛生学部放射線技術科

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大学で学んでいること

 放射線技師になるための専門科目や数学や英語などの基礎科目を学んでいます。他にも他の学科の人たちと一緒にチーム医療について学んでいます。

 

この学部・学科を選んだ動機

 診療放射線技師になりたかったからです。

 

文理選択のポイント

 就きたい職業が決まっていたのでその職業に必要なものはどちらか考えて選びました。

 

科目選びのポイント

 行きたい学部・学科の試験にはどのような科目が必要かを考えて選びました。

 

 

京都女子大学 家政学部 食物栄養学科

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大学で学んでいること

 管理栄養士国家試験に向けた授業を主に学んでいます。学問的には栄養学、食品衛生学、食品加工学など食が中心なものや、臨床学のように病気について学ぶ授業もあります。


この学部・学科を選んだ動機

 管理栄養士を目指していたから。

 

文理選択のポイント

 なりたい職業や学びたい学問が決まっているのであれば、それに合わせて文理を決めるべきだと思います。もしまだ決まっていなければ好きな授業で選ぶのもありだと思います。

 私は文理選択をする際に何の学問を学びたいかまだ決めておらず適当に文系を選んでしまい、あまり好きでない授業ばかりで苦痛を感じていたからです。好きな授業なら勉強もしやすいと思います。

 

科目選びのポイント

 この学科に進むには少なからず専門+基礎の理科が1科目は必要だったので3年で専門生物の授業を取りました。私立志望だったので数学は特に受験では必要なかったのですが、得意であり好きな教科だったので楽しみのひとつとして受けていました。

 栄養系の学科は私立なら専門理科を受けていれば文系から行くことも可能です。しかし入ってから専門の生物と化学の両方を勉強します。これらを習っている前提で先生が話すこともあるため、理系でこの2科目を学んだ方が大学に入ってからは楽だと思います。

 

その他意見

 

文理選択のポイント 

・自分のやりたいこと、興味のあること、また今の自分の学力とも判断して決める(三重・機械工)

・一般的に理系の方が就職率がいいと聞いていたが、そんなのは気にせずに自分が学びたいことを学んでいけばいいと思う(三重・分子素材工)

・目指している大学を考えて(畿央・健康栄養)

・得意科目がある方を選ぶとよい(鈴鹿医療科学・医療栄養)

・看護師は文理どちらでも大丈夫だけど大学で勉強する内容を考えた上で選択することが大事だと思います(三重県立看護・看護)

 

科目選択のポイント

・得意な方(畿央・健康栄養)

・大学でよく使う方を選ぶ! 栄養系は絶対生物を選んだ方が良い!(鈴鹿医療科学・医療栄養)

・迷っていたときに先生に「物理の方が将来の選択肢が増える」と言ってもらったので物理にした(三重・看護)

 

 

まとめ

 資格系の学部は、なりたい仕事→大学選び→その大学入試調べ→文理選択という流れになります。看護師、管理栄養士は文理どちらからでも受験は可能ですが、大学では理系の勉強が多いです。

 工学部は必ず学科単位の募集なので、機械が好き、化学が好き、など興味あることや得意な教科から学科を選ぶことが必要です。

 理系の場合は化学がマストで物理と生物のどちらかが入試で必要になります。先輩の話では「得意な方」あるいは「選択肢が広い方」の両方です。

 私が昔取材した農学部の卒業生はバイオ系に進むけど得意な方の物理を選びましたし、理学部の女子生徒は生物が得意なのに「女子で物理を敬遠する人を少しでもなくすために教員になる」と苦手な物理を選択しました。「その科目とつきあっていけるか」が選択の鍵になります。

  文理選択も科目選択も「○○が苦手だから」という消去法でなく、「得意だ」「やりたい」とポジティブに考えることが一番だと思います。

 

協力してくれた卒業生の皆さん、ありがとうございました。