2020年度(2021年度大学入学者選抜)の共通テストと「英語成績提供システム」を使うかもしれない私立大学、前回は私立王国である首都圏の大規模校(早慶上理・GMARCH)を紹介しました。
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今回は中京圏と関西圏の大規模私立大学についてまとめます。
9月16日現在の判明分(河合塾の9月12日のまとめ、文部科学省のポータルサイト、各大学の発表)をベースにしています。受験生はこのブログをうのみにせず、大学の発表を参照してください。
本当は全地域の私立大学を紹介したいのですが、私立は数が多く私の能力にも限界があるので(笑)、その動向が他大学に影響する大規模校に絞らせていただきます。当面はこれでご容赦ください。
大学 | 共通テスト利用 | 利用方式 | 成績提供システム利用 | 具体例 | 一般選抜 | 成績提供システム利用 | 具体例 | 推薦・総合型選抜での英語検定 |
南山 | ○ | 利併 | × | すべての受験生に一律課すことはしない。 | 任意 | 従来から実施している英語外部資格・試験の活用(みなし満点)を継続(出願要件ではない) | ||
愛知 | ○ | 利併 | 任意 | 出願要件ではなく、認定試験の受験は任意 | × | |||
愛知学院 | ○ | 利併 | × | 任意 | ・「みなし満点」制度を前期試験A、前期試験B、センタープラス試験で導入 | |||
中京 | ○ | 利併 | 任意 | 英検準1級相当の能力を有している場合は、共通テストの英語を満点とする | 資格・検定試験のスコア等の詳細については、改めて公表予定 | 任意 | 英検準1級相当の能力を有している場合は、外国語を満点とする | |
名城 | ○ | 利併 | 任意 | 出願要件ではなく、認定試験の受験は任意 | × |
中京圏では南山大学の文系(外国語学部は老舗中の老舗)が一歩抜け出していて、いくつかの総合大学がしのぎを削る構造です(名城は理系が強い、愛愛中は文系メイン)。
中京圏の大学は「よそがやるとうちも」という傾向が強く、一時期は教育や看護が流行しましたが、最近は外国語、国際教養系統の学部が新設されています。
新しい入試では、各大学共通テスト利用・一般選抜とも従来の「必須とはしない、提出すればセンター英語(または個別試験の英語)のみなし得点にする」タイプです。「eポートフォリオは使わない」も各大学ほぼ足並みが揃っています。
南山大学の予告
https://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/news/2018/pdf/181206_senbatsu.pdf
したがって私立専願の生徒は英語検定を気にしすぎる必要はないですが、中京圏の進学校は「国立至上主義」なので、何らかの検定を受けることにはなります。(´・ω・`)
大学 | 共通テスト利用 | 利用方式 | 成績提供システム利用 | 具体例 | 一般選抜 | 成績提供システム利用 | 具体例 | 推薦・総合型選抜での英語検定 |
同志社 | ○ | 利 | 未定 | 英語認定試験及び共通テストの英語試験の双方を利用した大学入学者選抜を実施。具体的な活用方法等は引き続き検討 | × | |||
立命館 | ○ | 利併 | × | ・共通テスト方式で、従来通り一定水準以上のスコア保持者の共通テスト「英語」を満点に換算する。出願資格とはしない | × | |||
関西 | ○ | 利併 | × | ・教科・科目は現行入試踏襲 ・一般方式の後期日程廃止 |
任意 | ・一般方式で、出願条件とする方式や外国語を満点とみなす方式を実施する | ||
関西学院 | ○ | 利併 | 任意 | 共通テスト英語に加点して利用。加点後の得点と、共通テストのみの得点のうち、高得点の方を利用(認定試験の受験は任意) | ・全日程の国語で表現力を問う記述式問題を実施 ・主体性の評価を得点化して利用(総点と主体性評価を加点した圧縮点の高得点を採用) |
任意 | ・個別試験「英語」に加点して利用。加点後の得点と、個別試験「英語」のみの得点のうち高得点を利用(英語外部試験の受験は任意) | ・総合型選抜において、出願資格として活用(文系学部:B1、理工系学部:A2) ※国際学部は未定 |
京都産業 | ○ | 利併 | 任意 | 現行入試に準じた形式(センター利用前期 英検準1級以上で外国語満点扱い) | × | |||
龍谷 | ○ | 利併 | 任意 | 現在のセンター利用を踏襲(英検準1級以上でセンター英語満点扱い) | ・教科・科目の変更なし | × | ||
近畿 | ○ | 利併 | × | × | ||||
甲南 | ○ | 利 | × | ・一般選抜(後期)で大学入学共通テストの受験を必須とする(外部検定は利用しない) | ▲ | ・一般選抜(前期)において出願資格として活用 ・採用する英語外部試験は、認定試験と同様2019年1月以降のもの |
関西圏はこの8大学が大規模総合大学で、私立大学志望者の目標および国公立大学志望者の「受け皿」的存在です。
関西学院大学と甲南大学が独自性を打ち出していますが、他大学は従来の制度から大きな変化はありません。eポートフォリオも使わないみたいです。
*関西圏はネット出願が普及しているので、そのシステムを使えば生徒の志望理由書や活動報告を取り込むことは可能です。
関西学院大学は高大接続改革に熱心なようで、基本的に言われていることはすべてやっていますが、よーく見るとセンター利用も一般試験も共通テストや個別の英語がちゃんと出来れば合格するようにはなっています。
関西学院大学 神戸三田キャンパス 超郊外です。
甲南大学は大胆にも一般入試前期で外部検定を出願資格にしていますが、「成績提供システム」経由でなくても大丈夫です。
後期は共通テストの受験が必須で私立決め打ちお断りですが、関西圏は旧帝大から地方国立・地元公立まで個性的な国公立大学が偏差値帯別に隙間なく揃っていて、国公立の併願に私立を考える受験生がが多く、共通テストはたいてい受験します。
ということは外部検定も何かは受けることになります。(´・ω・`)
まとめ
中京圏、関西圏の私立大学は従来から英語外部検定を利用する入試があるので、一般入試や旧センター利用にまで拡大しない方針のところが多数派です。
まあ最終的には何らかの英語外部試験を受けざるを得ないとは思いますが、検定に必要以上にエネルギーを注ぐ必要はないです。
なおこの地域は名古屋、京都工芸繊維、大阪市立、大阪府立、奈良教育、奈良県立と検定不要の国公立が多いです(立てついているのではなく、ちゃんと自前で英語教育をやっている自負がある)。
検定に振り回されている受験生の皆さん、くたびれてきたら首都圏を脱出しましょう!また監督官庁の顔色ばかりうかがう国立以外に私立も視野に入れましょう。
*ネットの情報は鵜呑みにせず、必ずご自分で裏を取ってください。
おわりに
関西学院大学からの帰りに京田辺市付近を通ったら人権標語が貼ってありました。本当に受験生を混乱させる「悪質タックル」は今すぐやめてほしいです。