ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

どこよりも早い共通テストの基礎知識(共通IDの取得)

はじめに(常連向け 初心者は1へ) 

 最近やっと大手メディアが大学入学共通テストの英語外部試験について、その混乱ぶりを報じはじめました。

www.asahi.com

 

新潟日報

https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20190921496398.html

 

www9.nhk.or.jp

 

 やや踏み込みが甘いものもありますが、制度の欠陥や現場の混乱を報じ「延期すべき」と論じる社説や、検定業者が対策本を販売している(利益相反行為ことを問題視する意見もあります。 

 文部科学大臣は「やめると混乱するから予定通り実施」と態度を変えませんが(「サイレントマジョリティーは賛成」はやめた模様)、やめて混乱するのは入試改革を「ビジネスチャンス」と捉えている私企業ぐらいでしょう。

 入試の主役である受験生は、志望が決まっていない段階から検定を予約したり、三年生の土日の部活や行事がある中で検定を受けたり(僻地は泊必要)がなくなって、学校生活に集中できます。

 教員も検定対策に気を取られず授業ができるし、保護者は検定代(僻地は交通費と宿泊費も)だけでなく対策教材を買わされたり練習用検定を受けなくても済むので負担が軽減されるし、いいことずくめです。(`・ω・´)

*私立中高校連合会は、全国高等学校校長会に対抗して「準備している生徒もいるから延期しないで」と要望書を文科省に出しましたが、困っている生徒がいるのに「私立の子どもは得をする」みたいな言い方は教育者として不適切。もし誰かに言わされているなら、「子どもをダシに使う」は恥ずべき行為です。これが私立高校の総意みたいに報道されるのは関係者にとって迷惑でしょう。

参考

togetter.com

 

 さて9月から来年度の英検の予約が開始、「共通ID」の申し込みも迫っています。

 文科省ですら検定団体や大学の様子が把握できていない中、多くの保護者が「三年生の検定の予約を二年生でするの?」「共通IDってなにそれ美味しいの?」状態なのは無理もないです。

https://twitter.com/bunnymummy4696/status/1176676844617125889

 

 本日は高校二年生が申し込む「共通ID」発行手順について、センターの発表をもとに解説します。

 初めての方を意識した構成にしていますので、過去ログと重複する内容も含みます。高校の先生は個人のブログに頼らず自分で調べましょう。(´・ω・`)

 

引用元。画像は基本ここから

www.dnc.ac.jp

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文科省とその関連のものは二次著作権が発生しない限り加工して使ってよいとのことなので、不安払拭のために使います。(`・ω・´)

 

1 入試改革と英語外部試験

  • 2020年度高校三年生からセンター試験が大学入学共通テストになる。
  • 共通テストは国公立大学の一次試験。私立大学も参加している。
  • 国公立大学の約7割は一般試験で共通テストの英語に加えて「文科省が参加要件を満たしていると確認した英語外部試験」(以下「検定」)を必須、つまり「検定」を受けてないと受験できない
  • 私立大学の大半は「検定」を受けていなくても受験可能だが、首都圏の私立大学には「検定」を必須とする入試方式がある。
  • 2019年9月現在、約3割の大学が「検定」の活用を明らかにしていない。共通テストを入試に利用する予定の生徒は「検定」を受検した方が無難。


2 文科省が参加要件を満たしていると確認した英語外部試験

  • 一覧

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  • 従来型英検や学校で実施するGTECは不可。TOEICは撤退。
  • 表のうち47都道府県で実施予定なのは「英検2020 1 day S-CBT」と「GTEC core~advanced」で、「英検2020 2days S-interview」は合理的配慮対象者のみ。
  • 表の検定から自分で任意のものを受検し、3年生の4月から12月に受験した成績のうち最大2回を大学受験に利用できる。2年生の検定は無効
  • 表の検定は用途も難易度もスコアの出し方もすべて違う。このままでは比較できない=入試に使えないので、そのスコアを「CEFR(ヨーロッパ共通言語参照枠)だとこのスコアはこれぐらい」と各検定団体が自己申告したものを、センターがそのまま合体させて一覧表にしている。
  • CEFRの段階はA1・A2・B1・B2・C1・C2の6つ。英検だとA1~B2が3級・準2級・2級・準1級に該当。なおこの6段階はヨーロッパでは旧バージョン。
  • 各大学はアドミッションポリシーにもとづき、この「業者自己申告CEFR」を出願資格にしたり、点数化して加点したりする。
  • 検定を利用しない、学校長の成績証明書で代替する、提出任意の大学もある。
  • 表の中にあるが大学によっては使えない検定もある。

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参考:国公立大学英語検定利用状況 主に西日本 *末尾のリンク2

1 一定のスコアを取っていることが出願要件

 A2:滋賀、大阪、神戸

 A1(中学卒業程度):金沢(一部A2)、福井、滋賀県立、高知

2 一定スコアが出願要件だが、受検していなくても学校長の英語能力証明書で代替可能

 A2以上:東京、名古屋、大阪市立、大阪府立、奈良教育、奈良女子

3 受験必須、スコアに応じた段階的な点数を加点

 岐阜薬科、静岡、静岡県立、名古屋工業、大阪教育

 三重(C1以上に一律加点)、三重県立看護(A2以上に一律加点)

 広島(条件を満たすと共通テストの英語は満点扱い)

4 提出は任意、提出があれば活用

 共通テスト英語と高得点の方を採用高得点:筑波、富山、神戸市外国語

 出願できるが加点なし:信州(教育英語以外)

5 利用しない

 北海道、東北、岐阜県立看護、京都工芸繊維、奈良県立、岡山県立 

 
3 「英語成績提供システム」と「共通ID」

  •  検定結果は個人で大学に送るのではなく、検定団体が大学入試センターを介して各大学に送る。そのためのシステムが「英語成績提供システム」。
  •  このシステムで検定の成績を管理するときに使うのが「共通ID」で、これを高校二年生のうちに取得しておく必要がある。(図の①②)
  • 手順

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  1. 検定を申し込む時に「共通ID」を登録する③。たくさん受けて一番よい回を後から申告するのではない。
  2. 検定の結果は業者から個人に通知される④。
  3. 生徒が大学を受験すると⑤、大学は大学入試センターにその成績を請求し⑥、センターは大学へ成績を送付する⑦。

 

4「共通ID」の申し込み

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  • とりあえず指示のとおりに書く(高校コードは冊子の後ろにあり)。
  • 濁点はひとマス、姓と名の間は空ける(ローマ字も)、ローマ字の名前表記はまあそれなりで(例は「タロウ」が "taro" )。
  • 住所の「チェック欄」は現役生はチェックを入れて下は空白。
  • 「受検料減免の配慮」を希望する場合はチェックを入れる。なお減免のシステムは検定によって違うので検定申込時に要確認。
  • 減免を希望する場合、個人申し込みの場合は課税証明書の提出等が必要だが、学校一括申し込みの場合、学校が把握していれば課税証明書の提出は必要ない。おそらく事務室で「授業料減免申請」を行っていれば一度は提出しているはず(一度も出したことがないなら担任に提出)。
  • 担任が回収して、進路指導部が連番を入れて、学校長が一括証明して郵送する。コピーを取っておく。
  • 集中発行申込期間は2019年11月1日(金)~11月14日(木)、追加申込期間は2020年1月27日(月)~9月10日(木)。
  • 2019年度高校三年生は特例で学校経由も可能(原則は個人申し込み。できるかは学校判断)。集中申込期間は2019年12月2日~12月10日。この場合住民票や減免のための課税証明書は不要。

 

5 確認はがき

  • 11月の集中申込期間内に申し込んだ場合は翌年の1月中旬、追加申込の場合は30日以内に「共通ID通知はがき」が届く。高校二年生(通信制除く)は高校へ、それ以外は申込書に書いた住所に届く。
  • 表示内容に誤りがないか確認する。
  • 登録内容を修正する場合は、「英語受験状況確認システム」から「マイページ」にアクセスして行う。「マイページ」に入るには、はがきにある共通IDと初期パスワード、メールアドレスの登録が必要。
  • 「マイページ」からは自分が共通IDを使って申し込んだ検定の名前、受験日、成績提供日が確認できる。

 

第2面(第1面は住所とか)

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 共通IDがライバルにバレて、替え玉がそのIDで2回とも「CEFRなし」のスコアを出せば、大阪大学には出願できません(´・ω・`)。そんな暇人はいないと思いますが管理は厳重に。

 

第3面

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 真ん中は共通テストを課さないのに「英語外部試験」だけは課すという大学用です。琉球大学の総合型選抜にあります(直電して確認しました)。首都圏の私立大学にもあります。

 一番下を共通テストの受験届に貼ると、共通テストの受験番号と共通IDがリンクするみたいです。

 

おわりに

 とりあえず共通IDの取得の手順は以上です。保護者の方は生徒と一緒に冊子を確認してください。

 

もう少し知りたくなった人はこちら

 

1:新制度の概略

www.keinet.ne.jp

2:各大学の予告リンク集

www.keinet.ne.jp

 

3:国公立大学の検定活用一覧

Keinavi契約している高校はそっちのサイトにexcelファイルあり。

https://www.keinet.ne.jp/dnj/21/eigo_nintei/21eigo_nintei.pdf

 

4:一応公式

www.mext.go.jp

5:検定を使わなくても受験できそうな国公立大学

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

6:首都圏の私立では使えない検定もある

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

7:成績提供システムの過去回

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

8:制度の問題点

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

 9:貴重な資料が満載

kouzouzu.web.fc2.com