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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

外国籍生徒の交流会に参加する

 私の生活している地域は住民に対する外国籍の人の割合が県内1位、学校にもたくさん外国籍の児童・生徒が通っています。

 先日、外国籍の生徒たちの交流会があったので参加しました。

 

ペルー紹介の様子

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 この会は12年前に外国籍の高校生から「違う学校に行って会う機会が減った仲間と交流したい」という声が上がり、人権担当の先生の支援を得て立ち上がりました。

 外国籍の生徒が中心になって実行委員会を組織し、会を運営します。交流会には日本籍や外国籍の高校生・中学生が参加し、母国の紹介やゲームで楽しんだ後、分散会で日頃の悩みについて話し合います。

 2年前から先輩の講演が始まりました。この日は初期の参加者である柿内ディアナさんに来ていただきました。非常に考えさせられる話でしたので、本人の了解の上紹介します。

 

 

講演の内容

 

 ディアナさんは16年前、小学校6年生の時に来日しました。来日当時は全く日本語がわからない上に学校でスペイン語がわかるのは小2にひとりだけという状態でした。

 

 ディアナさんは日本とペルーの文化の違いに戸惑います。給食の和食が食べられない、お箸が使えない、ペルーでは小6の卒業時にパーティーや旅行があるのに日本にはないのでがっかりし、逆に卒業文集の意味がわからず適当なことを書いてしまいます。

 中学校で弁当にペルー料理を入れてもらったとき、その独特の臭いでからかわれます。話を聞いた保護者が中学校を訪れますが、それがきっかけで外国の料理をみんなで体験しようイベントが生まれ、現在でも続いているそうです。

 

 ディアナさんは勉強して日本語も上手になります。高校受験に挑みますが、テストとなると日本語のニュアンスや漢字が難しく、最終的には定時制に進学することになります。


 2年生の時に市役所の通訳の職を得ます。自分と同じように困っている人(特に日本語が分からないと年金、保険、税金が理解できず、日常生活に支障が出る)と関わる中で、もっとみんなの力になりたいと思うようになります。

 そこでディアナさんは大学進学を目指すのですが、彼女の置かれている状況ではかなりのハードルです。当時同じクラスで外国人はディアナさんひとり。分からないことはとにかく同級生や先生に聞きまくります。

 

 努力の甲斐あってディアナさんは合格し、大学で英語とスペイン語を学びます。卒業後は企業の通訳としてメキシコで働いた経験もあるそうです。現在は日本で仕事をしていますが、4月からはまた海外で働くそうです。

 

 

 この後会場との質問応答がありました。

 

 「日本語の勉強はどうしたのですか」という質問がありましたが、中学校の宿題が少ないので先生に「もっとください!」と直談判したそうです。家では他の人よりプラス2時間勉強し、母親からは「毎日漢字を5個覚える」というノルマがあったそうです。「間違ってもいいから使う」「本を読む」を心がけたそうです。

 

 ディアナさんは高校入試で第一志望は残念ながら不合格だったのですが、最初から「無理」とあきらめずにチャレンジしました。ディアナさんは「今を頑張れば後で楽になる」ということをこの時に学んだそうです。

  NPOで通訳のボランティアをしていたとき、救命救急講習の通訳を頼まれ、ディアナさんも一緒に講習を受けました。その後家族が急に倒れたとき、救急車がくるまで覚えたての心臓マッサージを続けて、家族は一命を取り留めたそうです。

  今、色々なことにチャレンジすることで可能性が広がる。マイナスの状態から始まってもいつかはプラスになります。「『できない』と他人から言われたことが『できた』に変わるとどれだけ快感か」とディアナさんは会場の笑いを誘っていました。

 

 

感想とまとめ

 

 入管法が改正されて日系人が労働者として来日するようになってすでに20年が経過しました。ディアナさんの頃とは違い、実行委員の高校生は日本生まれで日本語は堪能です。

 実行委員のひとりは祖父が中国人で「広島生まれのペルー人」と自己紹介していました。彼のように三つのアイデンティティをしっかり持っている人もいれば、この日参加した中学生の中には来日して日が浅く、日本語がほぼ分からない生徒もいました。保護者の日本語力を含め、ひとりひとり事情が違います。

 

 ディアナさんが前向きに生きてきたのは性格も多分にありますが(小学校の頃蹴ってきた男の子を蹴り返したそうです。後で話し合うと、男の子は「友だちになりたいのに言葉が通じないからとりあえず蹴ってみた」そうです)、彼女がしっかりヘルプを出し、周りがそれに答えたからでもあります。

 いくらチャレンジしたくても、言葉が通じない、周りが冷たいと問題を自分ひとりで抱え込んでしまいます。その結果コミュニティーの中で孤立し、育児支援生活保護など必要な保護が受けられない、それがまた「あそこの外国人さんは…」と新たな偏見の種になる可能性があります。

 

 外国籍の方に限らず、色々としんどいことを抱えている人すべてが「ヘルプ」を出しやすい環境(行政のシステムと住民の意識)を作ることは、私たちが「それは自分にも起こりうること」と思って行動できるかに懸かっています。

    分散会では日本語がわからない中学生に対し、実行委員は英語を使うなど彼がコミュニケーションしやすい方法を試行錯誤していました。ディアナさんも中学生の保護者の悩み相談に即席で応じていました。誰もがこうした配慮をできるようになれば、「チャレンジ精神」をみんなが発揮できる世の中になります。

 

    ですから私もまず職場で話しやすい雰囲気を作ります(笑)。

 

 会を運営した実行委員と人権サークルの皆さん、協力していただいたNPO法人伊賀の伝丸さん、どうもありがとうございました。