はじめに
2021年1月の大学入学共通テスト、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、首都圏は緊急事態宣言を要請、近畿や東海の自治体も追随する模様です。
同時に共通テストの追試が混沌としてきたので、追試験だけ集中解説します。
本丸
bunbunshinrosaijki.hatenablog.com
Twitterでの詳しいやりとりはこちら。
目次
- はじめに
- 1 2020年12月 大学入試センター(DNC)「受験上の注意」
- 2 2021年1月8日(金)大学入試センターHP
- 3 2021年1月9日(土)大学入試センターHP
- 4 2021年1月12日(火)
- おわりに
1 2020年12月 大学入試センター(DNC)「受験上の注意」
①追試験について
1)申請方法
本人または代理人が「問い合わせ大学」に電話し、その後申請する。
疾病・負傷→「受験票」「診断書」持参で申請する。申請受付時間は次の通り。
本試験前→9:00~17:00(2021年度入試では1月12日~15日)
第1日目→7:30~18:10
第2日目→7:30~17:50
試験場に向かう途中の事故またはやむを得ない事由による場合は「受験票」「事故または事由が確認できる証明書」を受験票に記載されている「問い合わせ大学」に持参して申請する。受付時間は以下の通り。
試験当日の事故→その日の試験終了時刻まで
やむを得ない事由→
本試験前:9:00~17:00
第1日目:7:30~18:10
第2日目:7:30~17:50
2)追試の単位
「試験の受験申請に関し、従来、1日目又は2日目において,一つの教科・科目でも受験した者については、当該試験日を追試験の対象としないこととしていたが、令和3年度共通テストにおいては、一つの教科・科目でも受験した者についても、当該試験日に体調不良を申し出た場合(監督者が判断して受験を中断した場合を含む)、体調不良の申出があった時点で終了していない試験時間以降の教科・科目を対象として追試験の受験申請ができることとする
②新型コロナウイルス感染症関係
新型コロナウイルス感染症に罹患していて療養中→受験不可。追試
受験生が「濃厚接触者に該当する」と保健所が判断した場合→検査結果が判明するまでは受験不可。追試
濃厚接触者でも無症状なら、以下の条件をすべて満たせば受験可
③コメント
つまりこの時点では
- 追試を申請する場合は医師の診断書が必要
- 会場で気分が悪くなり、医務室の医師が「チェックリストに抵触する」と判断した場合には追試に誘導される。その場合は診断書なし
これに対してTwitter界隈で「市中感染が広がる中でも受験生は優先的に診てもらえて、診断書発行してもらえて、DNCの指定する時間までに手続きできるのか」「そもそも病院で診てもらえるのか」という疑問が発生しました。
この疑問の声が野党議員に届いて事態が急変しました(詳しくは「知の泉」さんのブログ参照)。
2 2021年1月8日(金)大学入試センターHP
①理事長のメッセージ
大学入試センターでは、受験者のみなさんが安心して試験に臨めるよう、文部科学省や試験を実施する各大学と 緊密な連携を図りながら、感染予防対策を徹底した上で、大学入学共通テストを当初の予定どおり実施いたします。
(中略)
なお、自宅待機を要請されている等の理由により診断書の提出ができない場合でも、追試験の受験を申請できる場合がありますので、受験票に記載されている「問合せ大学」に電話連絡してください。
②コメント
何とも歯切れの悪い「メッセージ」で、追試要件の緩和なのか従来通りなのか、はっきりしません。
3 2021年1月9日(土)大学入試センターHP
①DNCのQ&Aが更新
Q 1月 16 日(土),17 日(日)に受験しますが,疾病,負傷等やむを得ない事情により受験できずに追試験(1月 30 日(土),31 日(日))の受験を申請した後,追試験の直前に新型コロナウイルス等に感染した場合,追試験についての追試験として特例追試験(2月 13 日(土), 14 日(日))の受験は可能ですか。
A 1月30日(土),31日(日)に実施する追試験についての追試験はありません。
Q 無症状の濃厚接触者の受験が認められる要件として,保健所が指定した一般のクリニック等でのPCR検査であっても,受験要件を満たさないのでしょうか。
A 保健所が指定している一般のクリニック等であれば,受験要件を満たします。ただし,受験者が自主的に,一般のクリニック等でPCR検査を受けた場合には,受験要件を満たしません。
Q 試験当日,保健所において濃厚接触者かどうか確認中の受験者については,受験することはできますか。
A 濃厚接触者と特定されていない場合は,試験当日も無症状であることを確認の上,通常どおり受験することができます。
なお,発熱・咳等の症状がある場合は,無理して受験せず,追試験の受験を申請してください。また,無症状であるが追試験の受験を希望する場合も,申請をすることができます。
この場合の追試験の受験申請は,「問合せ大学」にまず電話連絡した上で,以下の事項について受験者本人が自署した書面をファックス・メール等で提出してください。
・試験場コード,受験番号及び氏名
・濃厚接触者かどうか確認中と判断した保健所の名称
・保健所から濃厚接触者かどうか確認中と連絡があった日
・保健所から外出を控えるよう指示されている期間がある場合はその期間
Q 保健所から新型コロナウイルス感染症患者との濃厚接触者として外出自粛を要請されているため追試験の受験を申請したいが,どのように申請すればよいですか。
A この場合の追試験の受験申請は,「問合せ大学」にまず電話連絡した上で,以下の事項について受験者本人が自署した書面をファックス・メール等で提出してください。
・試験場コード,受験番号及び氏名
・濃厚接触者に該当すると判断した保健所の名称
・保健所から濃厚接触者に該当すると連絡があった日
・保健所から健康観察期間として不要不急の外出を控えるよう指示されている期間
Q 発熱等の症状があるため発熱相談センターに相談したところ,医療機関を受診せずに自宅でしばらく様子を見るようにと言われたため,追試験の受験を申請したいが,医師の診断書を入手することができない場合はどのようにすればよいですか。
また,これ以外の理由により診断書を入手できない場合はどうすればよいですか。A この場合の追試験の受験申請は,「問合せ大学」にまず電話連絡した上で,以下の事項について受験者本人が自署した書面をファックス・メール等で提出してください。
・試験場コード,受験番号及び氏名・検温結果及び現在の具体的な症状
・相談を行った発熱相談センターの名称及び相談日
また,これ以外の理由により診断書が入手できない場合は,「問合せ大学」に電話連絡してください。
②コメント
まとめると
- 追試の追試はない
- 濃厚接触者が別室受験する要件であるのPCR検査は保健所が指定するクリニックのものは可
- 身近で罹患者がいても濃厚接触者と特定されないうちは受験可能。追試を申請する場合はその事情をファックスすれば診断書不要
- 濃厚接触者で外出禁止の場合は、その事情をファックスすれば追試の申請に診断書不要
- 発熱相談センターで「自宅にいて」と言われた場合は、その事情をファックスすれば追試の申請に診断書不要
- それ以外の理由で診断書が入手できない場合は問い合わせ大学に電話で各大学が対応
1. 追試の追試がないなら、あまり神経質になりすぎるのも考えものです。体調観察は入念に。そういえば平熱で大騒ぎしてPC(以下略)。
3. 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、神奈川県は1月9日から濃厚接触者の調査範囲を同居家族らに限定するそうです。
保健所がパンク寸前で感染リスクの高いところの調査に重点化させるという趣旨は理解できますが、「受験上の注意」は保健所が濃厚接触者を追跡することを前提に制度設計されています。昨今部活動でのクラスターが続発しているので、受験生は学校に近寄ってはいけません。
5. 朝から発熱や下痢の症状があった場合、個人では胃腸風邪か心因性か夕飯のカツ丼か新型コロナか判断できません。とりあえず発熱相談センターに電話しましょう。電話が通じにくいかもしれませんが、往年のライブ予約のようにひたすらリダイヤルです。
6. 問い合わせ大学によって対応がバラバラは困ります(第一解答科目で監督がやらかした過去あり)。この辺は文科省の仕事です。
HPを更新しただけでは仕事をしたことにはなりません。感染拡大地域ではすでに受験生が自宅待機のところもあります。速やかに周知してください。
*高校には1月12日に「受験生個人がより感染対策を徹底するように学校が指導せよ」という通達が来ました。(# ゚Д゚) 指揮系統が混乱していますよ。
4 2021年1月12日(火)
①荻生田文部科学大臣の会見
是非、慎重に大事を取っていただいて、1.チャンスを複数回用意していますので、現場に来てからでも具合が悪いということであれば正直に申し出をしていただきたいし、監督官の方も様々なレクチャーを現場でもしていただいていますので、症状に異変がある受験生に関しては別室に移動してもらう、また医師の診断を受けてもらう、2.続けてやれるんでしたらロスタイムをきちんと確保しながら別室で受験をする。あるいはこれはちょっとやめた方がいいのではないかということであれば、3.もう一回やり直しで追試験を受けること可能に、柔軟にしてますし、また先ほど申し上げたように4.当初は診断書がなければ2次日程は認めないということになってたんですが,それをやめました。自己申告であってもそれを認めるということにしましたので…。
②コメント
「柔軟に対応する」ということです。やっとここへきて先述の受験生に責任を押し付けるような文書とは違う、受験生サイドに立った話です。しかし今までの話と矛盾する部分もあります。
1.「複数回」は誤解を招く表現です。DNCの回答では「追試の追試」はダメです。
2.「ロスタイム」は初耳です。従来はトイレにいった時間はロスタイムにはなりませんでしたが、今回は医師の診察などは「柔軟に」考えるということでしょうか。
3.「途中でやり直す」ですが、1では「未受験の科目から追試が可能」です。ただし地歴公民と発展理科の2科目はワンセットなので、趣旨からすれば「やり直し」か「別室等で全部やる」のどちらかです。現場判断でしょう。
4.「自己申告であってもそれを認めることに」は、DNCの曖昧な表現とは矛盾するのですが、大臣が言い切った以上は責任取ってください!\(^o^)/
文科省は可及的速やかに、大臣の談話を正式な形で受験生全員に周知してください。もう受験生が登校していない高校は多いと思いますが。
おわりに
Twitterの住民が文科省とDNCの動きが鈍いことを指摘するのに対して、「受験生を不安がらせるだけではないか」という意見もあったみたいですが、少なくとも私がフォローする方々は「受験生が安心して受験できること」を願っています。
Twitterの内容を受けて野党議員が各所に働きかけた結果、受験生サイドに立った動きになったのは、ポンコツ入試改革反対運動のたまものです。
今は、文部科学大臣の「柔軟な対応」という発言を信じます。
最後にあまり役に立っていない(DNCに電話しただけ)ぶんぶんからのお願いです。
共通テストの日の朝7時30分ぐらいから9時前まで、夕方は18時過ぎについて、大量の受験生が大学へ向かう公共交通機関を利用しますので、お出かけの際はこの時間帯を避けていただけると受験生は安心します。心理的効果だけで十分です。
受験生の頑張りを応援しています。