ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

今更聞けない大学入試の基礎知識(私立大学の入試 1公募制推薦)

    当ブログは毎日200アクセス程度の細々としたブログですが、受験シーズンにはひと月に1万アクセス以上をいただいています。

    中でも「今更聞けない大学入試の基礎知識」シリーズは多くの方に閲覧していただいています。この場を借りてお礼申し上げます。

 

    最近某大手ポータルサイトの「大学入試」に関する質問コーナーにちょくちょく顔を出しています。もちろん親身な回答を心がけています(笑)。

 私立の入試システムや指定校推薦に関する質問は年中あります。それに答えるために逐一各大学の募集要項で裏取りしていると、色々と発見がありました。

    今回は公募制推薦入試について集中解説します。

 

*記載内容は2018年7月時点のものです。必ず最新の募集要項で内容を確認してください。

 

過去ログ

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

1 公募制推薦


1)種類

  • 一般推薦:条件を満たせば誰でも出願できます。専願(合格したら必ず入学する)と併願(辞退可能)の両方があります。
  • 有資格者推薦:特別活動での実績や検定取得が条件です。スポーツや英語外部検定がまず思い浮かびます。宗教系大学には伝道者推薦(寺社の跡継ぎ限定)もあります。基本専願です。
  • 専門学科推薦:職業学科、総合学科の生徒向けです。所定の専門教科を履修していることが条件で、簿記や情報の資格が必要な場合もあります。基本専願です。

 

*ここからは主に龍谷大学近畿大学の募集要項を参考にします。

 

 2)時期

 10月中旬ぐらいから出願が始まり、原則11月1日以降に選抜が実施されます。

 

3)出願条件

 高校卒業見込みまたは高卒(高認など準ずるものも含む)が応募資格です。推薦は現役だけという大学も多いです。

   推薦条件は学校長の推薦が必須、評定平均値の下限が示される大学が多いです。有資格者推薦は大会記録や検定の証明書を提出します。

 

4)入試科目

 推薦入試は「原則として学力検査を免除」ですが、推薦書や調査書だけでは入学志願者の能力・適性等の判定が困難な場合には「各大学が実施する検査(筆記、実技、口頭試問等)による検査の成績を合否判定に用いる」ことができます。

 推薦入試というと面接や小論文というイメージで、そういう大学も多いですが、関西の中堅私立大学は「基礎学力検査」(学科試験)を課します。

    文系は国語と英語、理系は数学・英語・理科から2教科が主流です。

    高三の夏まで部活動に全力を注いだ割には「受験は軽量な推薦入試で済ませたい」という人がいますが、近畿大学の問題はセンター試験をちょっと意地悪にした感じの難易度で、三カ月程度の学習で突破できると考えるのは虫がよすぎます。

 

5)評定平均値の扱い

 「出願条件として使う」「点数化する」「総合評価に含まれる」などその扱いについては各大学の募集要項に明記されています。

 関西では評定平均値を出願条件にしない代わり、その数値に係数をかけて基礎学力検査の点数と合算して合否を判定する方式があります。

 例えば龍谷大学の「スタンダード方式」は2教科が各100点満点、評定平均値が50点満点(評定平均値を10倍)の計250点満点で合否判定を行います。受験生のために評定平均値帯(A〜D)ごとの合格率が公開されています。

    一方で評定平均値を加算しない「2教科方式」も用意されています。

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*発展:全体の評定平均値は「大学入学者選抜実施要項」によると「すべての教科・科目の評定の合計数をすべての評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)を記入する」とあります。

 生徒が「マイ評定平均値」を計算する場合は、1年と2年の年度末の通知表(5段階)と、3年生の直近の通知表(3学期制は1学期、2学期制は前期中間または前期末)の数字すべてを足して科目数で割ってください。

 なお大学によっては5教科だけの評定平均値など「全体の評定平均値」以外を条件にする場合もあるので、募集要項をよく読んで算出してください。

 


6)高得点科目重視方式

 基礎学力検査2教科を配点通り合否判定する「スタンダード方式」に加えて、高得点の教科を2倍して合否判定する「高得点科目重視方式」もあります。

 通常はスタンダード方式が必須で、追加料金を払うと高得点科目重視方式でも合否判定をしてもらえます。

 1回の試験で2度判定してもらえるし、得意科目がある人には有利な制度にみえますが、11月時点で他を圧倒する成績を出すのは簡単ではありません。両方合格または両方不合格というケースもあります。


7)試験日自由選択制

 11月の公募制推薦の多くは休日に行われるので、当然入試日が被ります。そこで多くの大学は土曜日と日曜日(たまに金曜日も)とも入試を実施しています。

 この場合、A大学を土曜日、B大学を日曜日と受験することが可能ですし、「どうしてもA大学」という受験生は両日ともA大学を受験すること(学部を代えたり、同じ学部を通しで受験したり)も可能です。

 「曜日によって問題が違えば難易度も変わるし、有利不利が起こるのでは?」と考えたくなりますが、推薦の定員を各試験日の受験者数で按分して、試験日ごとに合格者を出して公平性を確保する大学が多いです。

 大学によっては「推薦Ⅰ期」「推薦Ⅱ期」と複数回試験を実施する(さらにそれぞれ試験日自由選択)ところもあります。これだと小論文型、基礎学力型など入試科目にバリエーションを持たすことも可能です。

 学部が多い近畿大学は似た学部を11月と12月に分散させて(例えば経営学部と経済学部)入試を実施しています。

 

8)学部内併願、学部間併願

    1回の試験に追加料金を払えば、学部内の他学科や他学部を併願できる制度です。ただし無条件に併願できる訳ではありません。

    龍谷大学の場合、文系学部に出願し、追加料金を払えば同じ入試科目で受験できるもう1学部を判定してもらえます。

    一方近畿大学は公募制推薦入試では学部をまたぐ併願は不可で、同じ学部の他学科について追加料金で併願可能です。

    この辺は必ず募集要項を確認してください。

 

 このように、入試機会の分割+受験日複数選択制度+学部内併願+高得点方式とオプションをつけまくると、2、3回試験を受けるだけで何回も合否判定してもらえる反面、受験料は雪だるま式に増えます。

 受験料は、龍谷大学は1試験日について35,000円、その試験を用いて併願や高得点方式を利用すると1回につき10,000円です。この辺が相場です(近畿大学は32,000円と7,000円)。

    また2出願目から20,000円というように割引を実施する大学もあります。

 ネット出願だと受験料が自動で算出されます。くれぐれもひとりで出願するのではなく、保護者と相談して画面と金額をよく確認して出願してください。

 

9)手続き

 合格すると大学から分厚い書類が届き、まずは入学の権利を確保するために一次手続きとして「入学金」を振り込みます(相場は20万円~30万円)。

 この「入学金」は仮に入学を辞退しても返還されません。

 二次手続き前期の授業料や諸会費を支払う)は12月から1月にかけてが締切で、このお金を振り込めば入学確定です。

 

*発展:もちろん第一志望の大学なら合格発表後すぐに必要なお金を一括納入してかまいません。振込用紙も分割用、一括用が用意されています。

 

 しかし、中には「推薦入試で第二志望の学部にしか合格できなかったから一般試験で同じ大学の第一志望学部を再度受験する」とか、「推薦で滑り止めを確保して一般試験にチャレンジ」という人もいます。

 前者の場合、いったん納めた授業料その他をスライドさせることができる大学が多いですが、再度お金を払ってから以前に振り込んだ分の返還手続きをする大学もあるので(関西外国語大学)必ず合格者の書類で確認してください。

 後者の場合、3月の下旬までに辞退届を出して入学金以外のお金を返還してもらうというのが一般的です。

 中には入学金を12月に振り込めば二次手続き締め切りは3月上旬という親切設計の大学もあります(福岡大学)。

 これらの情報は募集要項ではなく合格者に送られてくる分厚い手続き書類に載っていることが多いです。不明な場合は直接入試課に電話するか、オープンキャンパスの進学相談会で直接入試課の人から話を聞いてください。

    特にお金関係は重要なのでネットの情報よりも自分で直接確認することを強くすすめます。

 

次回は一般入試の予定。