大学入学共通テストと英語の民間検定活用が来年度に控えます。
国公立大学には「入試の変更があるときは2年前に予告する」という不文律があるので、2019年の夏にはおおよそのことがわかります。
本日は河合塾の調べ(営業さんの許可はとりました)と各大学の発表をもとに、3月末までに判明した国立大学の国語の記述式と英語外部検定の扱いを紹介します。
ここまでのおさらい
- 大学入学共通テストの国語と数学Ⅰに記述式を導入。
- 国語は大問1の設問3題が記述式。各設問の段階別評価を出し、その組み合わせで総合の段階別評価を出す。残りの大問2~5がマーク式。
- 数学は設問の中に記述式問題があり、点数化する(〇か×)。
- 英語は当面共通テストの英語(筆記・リスニングが1:1)と民間の英語4技能検定を平行して実施。
- 民間の英語4技能検定は3年生の4月から12月に受験したもののうち2回までが有効。検定に出願する際に「共通ID」(2年生時に発行)を登録して共通テストに利用する旨を意思表示する。
過去回bunbunshinrosaijki.hatenablog.com
1 難関国立10大学
大学 | 共通テストの利用について | ||||||
国語記述式 | 英語認定試験 | ||||||
利用 | 備考 | 利用 | 出願 資格 CEFR |
加点 | 備考 | ||
北海道 | する | 点数化して加点 | しない | ||||
東北 | する | 点数化して合否判定に用いることはせず、合否ラインに同点に並んだ場合、記述式問題の成績評価が高い者を優先的に合格とする | しない | CEFRのA2レベル以上の能力を備えていることが望ましいが、認定試験の受検・結果提出は求めない | |||
東京 | 代替可 | あり | A2 | 高等学校等による英語力についての証明書や、認定試験成績・証明書を提出できない理由書での代替可 | |||
東京工業 | する | 点数化して加点 | する | あり | A2 | ○ | 出願資格及び前期個別試験英語の結果に活用(配点150点中30点) |
一橋 | する | 点数化して加点(配点はマーク式200点、記述式50点の計250点を200点換算する) | 代替可 | あり | A2 | 高等学校等による証明書、スコアを提出できない理由書の提出で代替可 ※ただし既卒生は高校学校等による証明書は適用されない |
|
名古屋 | する | 点数化して加算し、200点満点に換算 | 代替可 | あり | A2 | 高等学校による証明書、スコアを提出できない理由書で代替可 | |
京都 | する | 点数化して加点 | 代替可 | あり | A2 | 高等学校長による証明書等の書類で代替可 | |
大阪 | する | 点数化して加点 | する | あり | A2 | ||
神戸 | する | 点数化して加点 | する | あり | A2 | ||
九州 | する | 代替可 | あり | A2 | 2021年度はスコアを提出できない理由書での代替可 |
1)国語の記述式
はほぼ「利用する」で段階別評価を点数化しますが、詳細はまだ決まっていないようです。
東北大学は「同点の時に利用」となっています。HPにその理由が記されています。
- 思考力・表現力は重要ですが,本学では新共通テストの記述式問題(80 字~120 字)程度及びそれ以上の高度な問題が一般選抜の個別試験や AO 入試の筆記試験ですでに出題 されており,思考力・表現力等の評価は現状でも十分可能であると考えています。
- 段階別評価を点数化すること自体が段階別評価の理念に整合しない恐れがあります。
- また点数化した場合の点数の開きが本来の成績差を合理的に反映したものとは考えられず,受験生の不公平な扱いとなる恐れもあります。
段階別評価を得点化する場合、国大協が推奨する2割(40点+マーク160点)とし、A40点から10点刻み(E0点)と仮定すると、小問の1段階の違いで10点マイナスになるラインが発生します(方法について発表している大学あり。次回)。
国立の入試は小数点まで見ます。各設問の評価をそのまま大学に渡して、大学で1点刻みの点数にした方が合理的かもしれません。
2)英語の外部検定
大阪、神戸は出願資格A2以上、東工大は加えて個別試験の一部に利用、東京、一橋、名古屋、京都、九州はA2以上ですが「英語成績提供システム」に参加する英語検定を受けていなくも,学校長名の理由書の提出で代替可能です。
前回の発表から大きく方針転換したのが北海道大学です。東北大学と同じく英語の外部検定は利用しないになりました。
引用します(多少端折っています)。
北海道大学は、国立大学協会が2018年3月30日に発表した「ガ イドライン」に記された、英語4技能(読む・書く・聞く・話す)の総合的評価を重視す るという趣旨を理解し、英語認定試験の活用の基本方向としては、ガイドラインに言う「一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とする」という方向で検討しています。
ただし、本学においては、2022年度入試に向けて入試改革を行う予定であり、さらに2020年度からは本学学生向けに、英語を中心とした外国語教育改革を実施する予定であって、英語認定試験の活用を考えるためには、これら本学の改革の検討内容との整合性を図っていく必要があります。
加えて、本学は、ガイドラインでも触れられている受験生の公正な受験条件の確保に関して、特に、英語認定試験の受験料負担や受験機会の公平性、障害のある受験生への配慮等について、より詳細な検討を要すると考えます。また、その他にも、受験生に求められる英語4技能とそれぞれの英語認定試験の目的や評価基準の相異等との関係、英語力(特に話す力)の有意義な判定方法等について、より詳細な検討を要すると考えます。
このような次第から、本学は、英語認定試験を受験することが望ましいとは考えるものの、その活用に関しては、以下のように取り扱うこととします。
1)2021年度入試(2020年度実施)においては、英語認定試験の受験を出願の要件とはしません。
2)本学は、上記の入試改革及び外国語教育改革に歩調を合わせつつ、英語認定試験の活用につきさらなる検討に努め、2019年12月までに、2022年度入試以降の英語認定試験の活用方針を決定します。
改革の趣旨は理解できるとしつつ、北海道では居住地域によっては検定受験に費用がかかり(受験料、交通費、宿泊費)、そのため受験回数も制限されます。大都市圏との不公平感がぬぐえないということです。
慎重に言葉を選んでいるものの、同じ事情を抱え、センターに噛み付いた意見した東北大学と共同歩調です。
*発展:私の県は縦に長く、北部は電車で大都市まで約30分で行ける一方、南部はセンター試験は泊りがけです。英語検定業者が「ご負担を考えてセンター試験と同会場で実施します!」って言ったら後ろから跳び蹴りします怒ります。
また東京大学は平成31年3月8日付けで、学校長名で提出する証明書のサンプルを発表しています。
学校長へのお願い
東京大学は、出願要件として以下の3つのうちの1つを提出することを受験生に求めてい ます。
(1) 大学入試センターによって「大学入試英語成績提供システム」の参加要件を満たすと確認された民間の英語資格・検定試験の成績(ただし、CEFRとの対照表でA2レベル以上に相当するもの)。
(2) 日常の授業における学習状況や試験の成績等から総合的に評価した結果、CEFRのA2レベ ル以上に相当する英語力があると認められることが明記されている高等学校等による証明書。
(3) 何らかの理由で上記(1)(2)のいずれも提出できない者は、その事情を明記した理由書。
このうち、本学を受験しようとする者から、上記(2)の証明書の発行を求められた場合には、指定の様式により証明書を発行していただけるよう、お願いいたします。証明書は調査書とは 別に厳封の上、受験生にお渡しください。
個々の受験生の英語力についていちばん正確に把握しているのは、高等学校の現場で日常的に指導にあたっている先生方であることから、東京大学としてはその評価を信頼し、尊重いたします。したがって、評価の具体的な根拠を証明書に記載していただく必要はありません。なお、もし当該学生の英語力についての特記事項(大学入試センターの成績提供システムに含まれない英語資格・検定試験の受検歴及び成績、在学中の留学経験、英語を用いた活動歴等)がある場合は、証明書ではなく、調査書の「指導上参考となる諸事項」欄もしくは「備考」欄に記載してください(特記事項の記載の有無や内容は出願資格の認定には影響しません)。
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400109099.pdf
証明書には必要事項が印刷されているので、学校長は学校・学校長名、公印、生徒氏名・生年月日を記載するだけです。検定の証書を添付する必要はありません。
つまり値段が高く、出題内容もバラバラ、CEFRの対照表や採点に疑問が残る業者の検定と同じぐらい現場の先生の評価を尊重するということです。
これなら高校2年生までに近所で実施される検定(英検だと準2級(A2)以上)を取得すればエビデンスになり、わざわざ高3の忙しい時期に共通テストにしか使えない某検定などを受験する必要はありません。ヤッ━ヾ(*´∀)(∀`*)ノ゙━ッタ!!
とはいえセンターですっころんだら担任が「国立大学は全国に」「後期も中期も出願」と志望変更を勧めるので、1回は受験しておいた方が身のためです。(´・ω・`)
NHKが取り上げていました。シェアボタンがあるからリンク貼っていいっすよね?
バイトや海外業者も採点 大学入試 英語民間試験 信頼性に懸念 | NHKニュース
後半は他大学の様子。