はじめに
2025年6月20日、大学入学センター(DNC)のHPに2026(令和8)年度の大学入学共通テスト(以下共通テスト)の受験案内がアップされました。
2026年度からは出願から受験票の発行まですべてウェブ上で行います。紙ベースの「受験案内」は発行されません。
出願時期は例年通り9月中旬から(2025年は9月16日(火)~10月3日(金))ですが、「マイページ」の作成が7月1日からなので「受験案内」の公開は例年より早く、出願の準備もやや前倒しになります。
受験生のみなさんは、どこよりも親切なぶんぶんのブログで共通テストについて予習しましょう。(`・ω・´)シャキーン 第1回は出願編です。
今回は教育サイト風。GAHAGより。
表紙 今年は淡い紫色(配慮申請はオレンジ色)。大学入試センターのHPよりスクリーンショット。
動画
追記 7月1日
操作マニュアルその他詳しい説明
第一解答科目 解答用紙編
準備中
直前注意
準備中
目次
1 基本編
(1) 「大学入試共通テスト」とは?
高等学校の段階における基礎的な学習の到達度を判定する目的で行われる試験のことです。毎年1月13日以降の最初の土曜日及び翌日の日曜日に全国で一斉に行われます。会場は各都道府県の大学などを使用します。
*2026年度は2026(令和8)年1月17日(土)18日(日)の実施です。追試験は1月24日(土)25日(日)と本試験の1週間後、追試会場は原則東日本・西日本各1会場です。
(2) 共通テストの主な特徴
① 国公立大学を受験する人はマスト
すべての国公立大学が一次試験として利用します。大学ごとの個別試験(二次試験)と組み合わせて合否判定を行います。
難関大学や医学部では予告倍率を超えれば共通テストの得点で「第一次選抜」を行い二次試験に進める生徒を絞ります(業界用語では「門前払い」)。
共通テストは二次試験に配点しない(第一次選抜のみに使う)大学や、日程のどれかを共通テストのみで合否判定する大学など利用方法は様々です。
② 私立大学も入学試験として利用できる
現在ほとんどの私立大学が、自校で作成した問題による試験以外に共通テストを利用する受験方式を採用しています。
「利用方式」は共通テストの成績のみで合否を判定します。「併用方式」は自校作成問題と共通テストを組み合わせて合否を決定します。
③ 入試として課す科目・配点は各大学に任されている
共通テストで用意されている6教科(地歴・公民はまとめて1教科扱い)20科目のうち、受験生にどの教科・科目を課すのか、配点をどうするかについては、すべて各大学の裁量に任されています。
a)教科・科目
国立大学は国語、外国語(英語はリスニング含む)、数学①、数学②、情報が文理共通、加えて文系は地歴・公民から2と理科基礎(2科目100点)、理系は地歴または公民から1と発展理科から2の計6教科(8or9科目 1000点満点)受験が一般的です。
「アラカルト方式」は任意の教科・科目を点数化することで、公立大学に多く見られます。各大学の必要科目・配点は募集要項で確認してください。
b)配点
三重大学の工学部は二次試験で英語がない代わりに一次の英語の配点を高くしています(傾斜配点)。教員養成は共通テスト重視、最難関の国立大学は共通テストの点数を圧縮して二次試験重視が基本です。
c)私立大学の共通テスト利用方式
一般試験と同じ2~3教科が主流です。難関国立の併願先にあたる私立では5教科を判定に使う方式があり、国立志望者が「保険」で出願することが多いです。
首都圏では早稲田大学、上智大学、青山学院大学など一般試験で共通テスト受験が必須の方式があります。
また早稲田大学、龍谷大学には指定校推薦の志願者は共通テスト必須とする学部があります。「合格が決まっても腑抜けになるな」という激励です。(´・ω・`)
④ 全問マークセンス方式
選択肢から正解と思われる選択肢または数字・記号を選び、マークを鉛筆で塗りつぶしていく「マークセンス方式」で実施され、採点はコンピュータによって行われます。
パブリックドメインQより
⑤ 出題は教科書の範囲内
教科書の範囲から出題されます。ただし「初見の資料を思考・判断する力を試す」が共通テストの売りなので、教科書に載っていない資料が出題されます。
平均点は、センター試験は6割、試行調査は5割目標でしたが、共通テストについては公式の発表はなく、過去5回で2度も得点調整が入るという混迷ぶりです。
*2026年度は新課程2年目、これまでも変更2年目は難化することが多々あったので、平均点の乱高下に注意です。
パブリックドメインQより
⑥ 受験生本人には年度内に得点が通知されない
受験生に点数が開示されるのは翌年の4月以降(共通テスト出願時に申請必要)、国公立大学出願時には自分の持ち点がわからないので、受験生は解答を記録し、発表された正解をみて自己採点し、それをもとに受験する大学を決めます。
当然「自分の持ち点」でどの大学に合格しそうか見当がつかないので、受験産業の「自己採点サービス」を利用します。
なおネット出願になって点数開示を申し込んだ受験生は4月1日からマイページで確認できます。各大学は2月の初頭には共通テストの成績をDNCからダウンロードできるのですから、もったいぶらないで受験生にも早く開示してほしいです。
⑦ 試験時間
2日間実施されます。『受験案内』8頁のスクリーンショット
第1日目は国語の影響で終了時間が10分延びました。第2日目は理科基礎と発展理科が同時間帯になり朝から実施、数学②が10分延長、最後が情報と理系の生徒は朝から日没まで5科目受験というハードスケジュールです。もはや修行です。
パブリックドメインQより
2 出願準備編
(1) マイページを作成する
2026年度からはインターネットを通じて出願内容を登録します。受験生はパソコンやスマホなどの端末とメールアドレスを準備します。
「共通テスト出願サイト」 https://examinee.dnc.ac.jp/examinee にアクセスし、「初めての方はこちら」の「マイページを作成」からマイページを作成してください。「受験案内」32頁のスクリーンショット。
必要事項(名前、生年月日、メアド、連絡可能な電話番号、出願資格、パスワード)を入力し、仮登録メールを送信すると、登録したメールアドレスにDNCから仮登録のメールが来ます。その中のURLにアクセスしてマイページの作成を完了させてください。
迷惑メールをブロックをしている人はDNCからのメール(3つ)は受信可能にしておいてください(「受験案内」31頁)。
登録が完了すると、上図のログイン画面から登録したメールアドレスとパスワードを入力してログインすれば、マイページが表示されます。
「受験案内」34頁のスクリーンショット
現役生は「マイページ作成」を担任の指示を聞いて完了しましょう。作成途中で一時保存ができないので、どのアドレスを使うかは(学校でもらうアドレス、個人のアドレス)学校の指示に従いましょう。
なお従来は現役生については学校で取りまとめ、学校長が受験者の卒業見込みを一括証明した上で送付していましたが、それはなくなりました。また浪人生については卒業証明書を取り寄せて出願票と一緒に送付していましたが。2026年度からは大学入学共通テストの出願に当たって,出願資格を証明する書類の提出は必要ありません。(「受験案内」22頁)。ただし故意に虚偽の出願資格を登録した場合は不正行為となります。
(2) 出願の前にしておくこと
① 当日の受験教科を決める
出願の際にどの教科を受験するか申告する必要があります。
国公立大学を考えている人は原則5教科(地歴と公民はまとめて1教科扱い)+情報の6教科フル受験、私立専願の人は必要な教科を申請します。
数学は「①②とも受験」「①のみ受験」に関係なく1教科扱い「受験する」「受験しない」のいずれか選びます。
地歴・公民(1教科扱い)は受験する科目数を、理科は基礎科目をひとつの科目と考え、発展理科とあわせて計5科目から受験する科目数を選択します(詳しくは後述)。
② オプション科目が必要かどうか
外国語で英語以外を選択する場合は申告します。申告した生徒にのみ本冊子に加えて申し込んだ別冊子も準備されます。当日気が変わって本冊子の問題を解答してもかまいません。
英語はリーディング、リスニング各100点、英語以外は筆記200点で、後者を選んだ受験生はリスニング不要です。
③ 成績の閲覧を希望するかどうか
成績の閲覧を希望する場合は検定料(2教科以下12,000円、3教科以上18,000円)に加えて手数料として300円が必要です。800円から値下がりしました。
④ 検定料は何で支払うか
振込用紙はなくなり、クレジットカード、コンビニエンスストア・Pay-easy(ペイジー)での支払いになります。クレジットカードは本人名義でなくても大丈夫です。手数料は一律188円です。
⑤ イヤホンが入るかどうか
進路指導室にリスニングのイヤホン(耳の穴にぶち込むカナルタイプ)があるはずです。学校で必ず耳の穴に入るか試してください。
白色が現バージョン。ぶんぶん撮影
「入らない!」という人は「イヤホン不適合措置申請書」をHPからダウンロードして必要事項を記入し、お近くの共通テスト参加大学(通常自分の高校が受験する大学でなくてもいい)へ志願者本人が出向いて確認のサインをもらいます。
共通テスト出願サイトから出願内容の登録をする際に,「イヤホン不適合措置申請」の「申請する」にチェックをつけ,署名をもらった申請書の画像をアップロードします。こうすると当日試験会場の大学がヘッドホンを用意してくれます。
現役生は学校で一斉に出願登録をすると思うので、夏休み中に申請書を入手しましょう。離島等で最寄り大学に赴くのが困難な人は大学入試センターの相談窓口に電話してください。
⑥ ハンディキャップがある人への配慮
まず担任と進路指導部に相談してください。次に「受験上の配慮案内」をHPからダウンロードし、必要事項を記入し、医師の診断書をつけて出願手続とは別に郵送で申請してください。「視覚障がい」から「トイレが近い」まで想定できることについてはほぼ対応しています(イヤホン不適合はこの段取り外)。
*2026年度は2025年7月1日(火)~10月3日(金)必着(又は10月1日(水)消印有効)で、複雑な配慮が必要と思われる場合は早めに申請してください。
出願完了した後に配慮が必要になった場合(事故にあった、試験が近づいてきて急に体調が悪くなったなど)は、「受験上の配慮案内」の「6 出願後の不慮の事故等による受験上の配慮」をよく読んで、志願者または代理人が問い合わせ大学に電話した後に診断書、受験票を問い合わせ大学の窓口に持参して申請書を記入してください。大学入試センターが書類を審査したうえで配慮決定通知を受験生本人に郵送します。
(3) 出願時の重大注意事項
① 地歴と公民は何科目受けるか出願時に申告する
地歴と公民は「ひとつの教科」として扱い、同じ試験時間帯で実施します。
1科目受験は60分で解答、2科目受験は130分(10分は回収時間)の中で2科目を解答します。ただし開始60分後に「第一解答科目」を回収します。
出願時に、地歴・公民については
「1科目受験」
「2科目受験」
「受験しない」
を申告します。この申告を元に受験教室が指定されます(同パターン同教室)。
このため、2科目受ける人は20分前入室+130分試験と、150分は教室から出られません!(トイレ休憩はありません)。(+_+)
したがって2科目受験で申し込みながら、その後志望変更で1科目でよくなったとしても、試験の途中で退出したり、途中から入ることはできません。
国立文系は大半が2科目受験です(公立は例外あり)。地歴と公民はまとめて1教科扱いなので、「2科目受験」と申請しておけば、当日地歴を2つ、地歴と公民をひとつずつ、どちらも受験可能です。公民2つ(「公共、政治経済」と「公共、倫理」)は選択できません。
なお当日の注意ですが、地歴公民から2科目選ぶ場合、bの科目からひとつ、もうひとつにa「三種盛り」(地理総合/歴史総合/公共 各50点×3)を選ぶ場合、bと名称が被らない問題をふたつ100点分(例えば地理総合・地理探究を選んだら三種盛りからは歴史総合と公共)を選択します。
国公立文系で地歴公民から2を課す大学の多くは「三種盛り」の選択不可なので、おとなしくbから2科目(地歴2または地歴1公民1)選びましょう。
② 理科は理科基礎・発展理科から何科目受験するか出願時に申告
理科は2025年度から「理科基礎4科目から2科目選択合計100点」が1科目扱いになり、発展理科と同時間帯に受験します。
したがって次のように出願時に申告します。
1科目選択
2科目選択
受験しない
理科を2科目受験で申告して2科目とも理科基礎(例えば第1解答科目で物理基礎・化学基礎、第2解答科目で生物基礎・地学基礎)はできません。2科目受験の際は発展理科2または理科基礎2・発展理科1を受験します。
受験する大学の入試科目を調べましょう。パブリックドメインQより
3 出願内容を登録する
2026年度入試は9月16日(火)10:00から10月3日金17:00まで登録です。
自分の受験する可能性がある大学の受験科目を調べ、顔写真データ(5MB以内のjpegまたはheic)を準備してください。必要な人はクレジットカードの番号と「イヤホン不適合申請書」のデータ(5MB以内のjpegまたはheic)も用意します。
マイページにログインし、「出願」のボタンを押して画面の指示に従って「志願者情報」「顔写真アップロード」「現住所・電話番号」「出願資格」及び「イヤホン不適合措置申請(希望者のみ)」の入力等を行ってください。
「志願者情報」のうち氏名(カナ・漢字等)・生年月日・メールアドレス・電話番号については,マイページ作成の際に登録した内容が自動で入力されています。間違いがないか確認し(過年度生は現住所で試験会場が割り当てられる)、それ以外の必要な情報はガイドに従って入力してください。
*昨今性別欄は公文書では廃止傾向ですが、大学によっては男女のトイレが不均等というところがあるので、「これはお願いします」とセンターの人が昔の説明協議会で言ってました。早くトイレの整備をしてほしいです。
次に「顔写真」データをアップロードします(「受験案内」37頁)。2025年7月1日以降に撮影した上半身・無帽・無背景の顔写真データ(白黒、カラーは問わない)を指示に従ってアップロードしてください。
アプリ等で加工(盛った)したり、すでにプリントアウトされた写真やパソコン等の画面の写真を再撮影したものは不可です。
*大学入試の出願では「3か月以内の写真」という指定が多く、卒業アルバムと同時に願書用の写真を2学期以降に撮影する高校もあります。それだと共通テストの出願に間に合わないので、説明会の質疑応答では「スマホで撮った写真でもOK」とのことでした。
なおアップロードした写真は会場に送られ本人確認のために利用されます。普段眼鏡をして受験する人は眼鏡をした写真にしてください。当日急に眼鏡をかけると監督が本人確認のために一時的に外すように言うことがあります。
「受験案内」37頁のスクリーンショット 駒場未来さん、(5)盛りすぎ、(9)貞子©、(10)自撮りの影映り込み、(11)恋人距離。写真に不備があるときはマイページに通知が来て再アップするように求められます。
次に「出願資格」を入力します。63ページ以降の「高等学校等一覧」を参考にして,「高等学校等検索」又は「その他出願資格検索」から該当する出願資格を検索し,選択してください。
なお現役生は「在学する学校への出願情報の提供」に同意するか否かを選択する必要があり、「同意する」を選択した場合は,大学入試センターから在学する学校に対し,出願状況(検定料を払っているかなど)、志願者情報、出願情報(受験科目に漏れがないかなど)の出願内容等の情報を提供します。(受験案内」35頁)。
ぶんぶんは何年もこの出願の取りまとめをした経験から、後で泣かないために「同意する」にして担任のチェックを受けることを推奨します。
*「同意する」を選んでも高校はあなたの点数を見ることはできないので安心してください。
続けてイヤホン不適合措置を申請する人は、大学でもらった書類の画像をアップロードします。
次に最も大事な受験教科の登録をします。自分が受験する可能性のある大学の受験科目を十分調べ、その最大数を登録しましょう。特に地歴公民と理科は科目数を当日増やしたり減らしたりできません。
続けて成績閲覧の希望の有無も選択してください。
最後に支払いの方法(①クレジットカード、②コンビニ決済、③ペイジー)を選択します。選択するとそれぞれの専用サイトに飛ぶので、支払いに必要な情報を入力(②と③は支払いに必要な番号を取得する。メモかキャプチャする)してください。
出願内容の登録が完了したら、期日(2026年度入試は9月16日(火)10:00から10月3日(金)23:59)までに検定料等を支払います。これで出願が完了し、メールおよびマイページのお知らせに通知されます。お金を払わないと出願完了になりません。
検定料の払い込みが確認出来たらマイページの「現在のあなたの登録状況」が緑色で「出願完了」となり、アップロードした顔写真に問題がなければ「顔写真」が緑色で「承認」になります。
4 出願後
(1)出願内容の確認や訂正
2026年度は2025年10月10日から10月17日までに出願内容の確認や訂正ができます。これまでは訂正ハガキを学校経由で送っていましたが、2026年度からは受験生本人がマイページ上で変更可能です。
地歴公民と理科の科目数を変えるのはこれが最後のチャンスですが、出願登録の時に腹を決めましょう。また2科目以下受験から3科目以上受験に変更すると(またはその逆)金額が変わります。
(2)受験票の取得
2026年度は2025年12月10日から受験票の取得ができます。マイページから各自で取得・印刷し、試験当日に持参します。A4サイズの白色の用紙(余白や裏面に何も書いてないもの)に印刷してください(カラー・白黒は問わない)。
受験番号、試験場、受験する教科(理社は科目数も)、アップロードした顔写真、特記事項(上履きが必要か、ヘッドホンの貸与)などが記載されています。
おわりに
2026年度からは共通テストの出願はすべて受験生が自分の責任において行います。出願から入試は始まっていると心得ましょう。
科目調べは旺文社のパスナビや河合塾の『栄冠目指してvol.2』など使って調べ、各大学のHPに掲載されている募集要項で裏を取ってください。
これはネットの情報です。受験生は必ず担任と進路指導部の指導に従い、出願登録の際は大学入試センターのマニュアルを熟読してください。
パブリックドメインQより