ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

西洋絵画400年の旅@京都市京セラ美術館2026

はじめに

 今回は京都市にある京都市京セラ美術館で開催中の「西洋絵画 400年の旅」に行ってきました。個人の趣味の範囲で写真撮影(一部除く)とSNSでつぶやくのはOKなので、宣伝を兼ねて様子をレポートします。

 以下ブログの内容は公式HPおよび展示物の紹介文を参考にしています。

kyotocity-kyocera.museum

 エントランス。平日の午前中に行きましたが、会場は美術好きのマダムたちでごった返していました。

目次

 

1 東京富士美術館

 1983年に東京都八王子市に開設した東京富士美術館は、国内外で制作された幅広い時代の絵画・版画・彫刻・写真・陶磁器等を約3万点収蔵しています。とくに西洋絵画コレクションは、16世紀のイタリア・ルネサンスから20世紀の近現代美術までを網羅し、国内屈指の充実度を誇ります。

www.fujibi.or.jp

 今回はその収蔵品の中からルネサンスから20世紀にかけて絵画が何をどう描いてきたのかを概観する展示です。

2 展示のみどころ

① 19世紀までの美術のヒエラルキー

 ヨーロッパ美術では宗教やギリシア・ローマの神話などの歴史画が最上位で、次いで肖像画、風俗画、風景画、静物画とするヒエラルキーがルネサンス期のイタリアで主張され、17世紀のフランス王立絵画彫刻アカデミーで確立しました。

 クラウディオ・フランチェスコ・ボーモンはトリノで活躍したサルデーニャ王兼サヴォイア公(ここテストに出る)の宮廷画家で、18世紀前半にアレクサンドロス大王やカエサルなど5人の英雄のタピストリーの作成を依頼されました。そのひとつがハンニバルで、当時のイタリア人にも古代ローマ最大の敵と認識されていたようです。ハンニバルのアルプス越え。

 古典派に属するダヴィドの『ナポレオンのアルプス越え』(エントランスの写真参照)の左下。「ボナパルト」の下に「ハンニバル」と刻まれていて、ナポレオンのイタリア遠征をハンニバルになぞらえています。

 ブーシェロココ式の代表的画家で、この絵は「羊飼いに扮した貴族の娘が戯れる」という構成です。宮廷文化が爛熟した時代の神話+肖像+風俗+風景のハイブリッド絵画です。資料集に載っているフラゴナールの『ブランコ』(ブランコをこぐお姉さんのスカートの中をのぞいて(・∀・)ニヤニヤ)も同じテイストです。

② 物語の変質

 19世紀になると従来の絵画の序列に挑戦する画家が現れます。人々の生活様式が変わり、神話よりも人々の日常生活に注目が集まる中で、日常の事件を描いたり、風景や静物そのものを描くことに価値を見出す作品が現れます。

 ターナーはイギリスを代表するロマン派の画家で、産業革命によって激変するイギリス社会を幻想的に描きます。寺田ちひろ💛版『高校講座世界史』ではターナーが描く機関車が紹介されていました。17世紀ウィレム3世の艦隊を描いた歴史風景画。

 自然主義・写実主義の画家として著名なミレーの『鵞鳥(ガチョウ)番の少女』。ガチョウの鳴き声が聞こえてきそうです。

 さらにリアリズムを追求したクールベのノルマンディー地方を描いた絵。

 本展示のキャッチである印象派ルノワール。対象の色彩や光の一瞬をきらめきを切り取ります。

 印象派が色や光に注目したのに対し、後期印象派のセザンヌは二次元のキャンバスの中に三次元を描きこむ技法を考案し、それがのちのキュビズムに発展しました(20世紀の絵画は早稲田で頻出)。

 今回鑑賞した中でぶんぶんの一押しはモーリシャス出身のル・シダネル。モネの影響を受け印象派・新印象派の技法を引き継ぎながら、哀愁を帯びた空間を描きます。人が描かれないのが特徴で、この絵はマネの『草上の昼食』から人物が忽然と消えてしまった空虚感が漂います。

参考 マネ『草上の昼食』。構図が似てます。パブリックドメイン

参考 モネ『草上の昼食』(習作)。筆遣いが似てます。パブリックドメイン。

 この後展示はフォーヴィズム、キュビズム、シュールレアリスムとが続きます。現地で堪能してください。

おわりに

 西洋美術の400年の軌跡がコンパクトに凝縮された展覧会です。美術に苦手意識を持っている人も、けっこう得意な人も楽しめます。会期は5月24日(日)までです。連休中のお出かけ先候補にしてください。

 美術館の土産。名画チロルチョコ。