教科書が終わらない受験生向け必要最低限の戦後史、第6回はグローバル化トピック、政治・経済との相互乗り入れ範囲です。
前回
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1 地域的経済統合
① ヨーロッパ
1948年 ヨーロッパ経済協力機構(OEEC)マーシャルプラン受入
1952年 (1 )(ECSC)仏外相[2 ]提案
1958年 (3 )(EEC)
(4 )(EURATOM)発足
加盟国…仏・西独・伊・ベルギー・オランダ・ルクセンブルク
関税の引き下げ,共同の商業・農業政策
資本・労働力移動の自由化を実施
→英は(5 )(EFTA)を結成
1967年 (6 )(EC)発足 原加盟国6ヵ国(インナー6)
11 ギリシア 86 スペイン、ポルトガル 90 統一ドイツ
1992年 (7 )条約(欧州連合条約)調印
→1993年 (8 )(EU)成立
2004 東欧10カ国 07ルーマニア ブルガリア 13 クロアチア
→計28カ国→16 イギリスが国民投票で離脱に賛成
2002年 共通通貨(9 )流通開始
② アメリカ大陸
1994年 北米自由貿易協定(10 )
アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ。1992年署名
1995年 南米南部共同市場(メルコスール MERCOSUR)
③ 東南アジア 環太平洋
1992年 ASEAN自由貿易地域
1989年 アジア太平洋経済協力会議(11 )…オーストラリアの提唱
解説
ヨーロッパの統合は1920年代のクーデンホーフ=カレルギー(母親は日本人で幼名は青山栄次郎)の汎ヨーロッパ運動が嚆矢とされますが、ECSC成立のきっかけは独仏の対立です。
フランスとドイツはアルザス・ロレーヌ(鉄)とザール(石炭)をめぐって争いを続けていました。第二次世界大戦後、フランス軍はザールを占領しますが、西ドイツのアデナウアーは平和的解決を求めます。
冷戦下でこれ以上対立が深まるのはマイナスと考えたフランス外相シューマンは、ルールとザールの石炭・鉄鋼業を6カ国で共同管理することを提案します。「シューマン・プラン」です。
なおもフランスはザールをドイツから分離しようと欧州共同管理案を提案しますが、1954年のパリ協定(西ドイツの主権回復)の付属規定でその可否に関する住民投票が行なわれ、住民の3分の2が反対、1957年にドイツに復帰します。
ちなみにこれは大阪大学2016年度に出題されています。(´・ω・`)ムリポ
*英語検定を受験生に義務づける入試制度のポンコツさが露見しても、共通テスト英語は2技能のまま放置し、約120億円のマーケット創出の片棒を担ぐ文科省と大学入試センターのようなあきらめの悪さです。
イギリスはEFTAを作ってEECに対抗しますが劣勢は明らかで、63年にEECへ加盟申請をしますが、ド=ゴールはアメリカの影響が強まるとして反対します。
EUは市場統合に加えて単一通貨ユーロを導入しました(EUに参加しても通貨は別の国もある)が、これにも課題があります。
日本では不況時にお金を市中にジャブジャブ流しますが、ユーロを管理しているのは欧州中央銀行です。つまり国による経済格差が存在するのに共通の通貨を使うので、各国が弾力的な財政・金融政策をすることが難しくなります。
2010年のギリシャの財政破綻は記憶に新しいです。前年の政権交代で財政赤字はGDPの4%程度ではなく実際は13%近くあることが暴露され(粉飾決算?)。格付け会社がギリシャ国債の格付けを一気に下げたのでユーロの価値も下落しました。
すったもんだのあげく、ギリシャはEUやIMFから金融支援を受ける代わりに増税や歳出削減(産業が農業と観光しかないギリシャでは国民の多くが公務員!)などの財政緊縮策を受け入れますが、失業率はEU平均の2倍以上になりました。
このユーロ危機の後、欧州中央銀行は資金繰りの苦しい国の国債を買うなど新しい金融政策を行なうようになりました。
空欄
1 ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体
2 シューマン
3 ヨーロッパ原子力共同体
4 ヨーロッパ経済共同体
5 ヨーロッパ自由貿易連合
6 ヨーロッパ共同体
7 マーストリヒト
8 ヨーロッパ連合
9 ユーロ
10 NAFTA
11 APEC
2 経済のグローバル化
1944年 ブレトン=ウッズ協定
(12 )(IMF)…為替の安定
→米ドルを金と交換可能な基軸通貨とする
固定為替相場制 1ドル=360円
世界銀行(IBRD)…途上国融資
(13 )(関税と貿易に関する一般協定)…自由貿易推進
1960年代 アメリカの国際収支が悪化
→1972年、米[14 ]大統領、金とドルとの交換停止
1ドル=308円→変動為替相場制へ移行
1973年 第一次石油危機
→1975年 (15 )会議(サミット)(ランブイエ 仏)
1980年代 アメリカの「双子の赤字」(財政赤字 貿易赤字)
→1985年 (16 )合意…ドル安円高協調介入
1995年 (17 )(世界貿易機関)発足
1997年 アジア通貨危機…タイのバーツ暴落が契機
2008年 (18 )・ショック…サブプライム・ローンの不良債権化
2010年 ギリシャ経済危機→ユーロ危機
2016年 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)…多角的経済連携協定
解説
GATTは「取り決め」であるのに対してWTOは「機関」なので、協定の作成や紛争解決手続きがより強化されています。また協定はモノだけでなくサービス、知的所有権もカバーしています。
リーマンショックは、低所得者向け住宅ローン(サブプライム・モーゲージ)が地価の下落で焦げ付き、リーマンブラザーズはこれを証券化した商品を大量に抱え込んでいたため破綻、大手金融機関が連鎖的に経営危機に陥ったことを指します。
当時の日本はバブル崩壊から一息つき、円安株高で企業の業績はアップするものの給料に反映せず消費もいまいちという「かりそめの好景気」でしたが、ここにリーマンショックが直撃、米の信用不安で円高が加速し不況に逆戻りします。
奨学金や授業料減免の申請者が増え、資格を売りにする学部が雨後の筍のように増加したのはこの時期です。
空欄
12 国際通貨基金
13 GATT
14 ニクソン
15 先進国(主要国)首脳
16 プラザ
17 WTO
18 リーマン
① 核兵器と反対運動
1945年 米、広島(ウラン型)長崎(プルトニウム型)で原爆使用
1949年 ソ連核保有→52 アメリカ水爆実験→55 ソ連水爆実験
核実験…英(52) 仏(60) 中華人民共和国(64)
1955年 第1回(20 )世界大会(広島)
1957年 (21 )会議(カナダ)
1963年 (22 )条約 米・英・ソ
大気圏、宇宙、水中での核実験禁止(地下は対象外)
1968年 (23 )条約(NPT)米・英・ソ含む62カ国
1996年 (24 )条約(CTBT)
地下核実験を含むすべての核実験を禁止 米中が批准せず未発効
*他の核保有国…インド(1974.98)、パキスタン(1998)
② 原発事故
1979年 米:スリーマイル島
2011年 日本:福島第一原子力発電所
③ 米ソ二国間協定
1969 72年 (26 )(第1次戦略兵器制限交渉)
運搬手段の数量制限
→79 SALTⅡ調印もアフガニスタン問題で発効せず
1981 87年 (27 )(INF)全廃条約
1982 91年 STARTⅠ(第1次戦略兵器削減条約)
運搬手段と核弾頭の数量削減→93 STARTⅡ調印
2001 02年 モスクワ条約(戦略核兵器削減条約)
核弾頭数を2012年までに現在の1/3に削減
解説
日本の遠洋マグロ漁船であった第五福竜丸は1954年に米軍のビキニ環礁における水爆実験による放射性降下物で被曝し、無線長の久保山愛吉さんが後に死亡しました。
その後第五福竜丸は東京水産大学(現・東京海洋大学)の航海練習船となり、1967年に廃船処分、「夢の島」に放置されました。そこで市民から保存運動が起こり、1976年に東京都立第五福竜丸展示館が開館し、船は核兵器の恐怖を今に伝えています。
保存されている第五福竜丸。ウィキメディアコモンズ、パブリックドメインの画像
『映像の世紀』で米軍が「街に核兵器を落として兵士が突入する」という信じがたい演習をしていましたが、立命館国際平和ミュージアムにはその結果兵士に何が起こったかを示すパネルがあります((((;゜Д゜)))))))
隠蔽は犯罪、無知は身の危険。歴史を学びましょう。
空欄
19 第五福竜丸
20 原水爆禁止
21 パグウォッシュ
22 部分的核実験禁止
23 核拡散防止
24 包括的核実験禁止
25 チェルノブイリ
26 SALTⅠ
27 中距離核戦力
4 環境保全の取り組み
1972年 国連(28 )会議…ストックホルム
かけがえのない地球→人間環境宣言 国連環境計画
1992年 地球(29 )…リオデジャネイロ
(持続可能な開発に関する国連会議)
→生物多様性条約 気候変動枠組み条約
1997年 地球温暖化防止京都会議(COP3)
(30 )議定書を採択→2015年 パリ協定
2002年 環境・開発サミット…ヨハネスブルグ
解説
72年はスウェーデンでは酸性雨、日本では公害が社会問題になります。同じ頃アメリカではベトナム反戦戦争、公民権運動、女性解放運動(79年に女子差別撤廃条約)が高揚、ロック、ヒッピーなど「カウンターカルチャー」が盛んになります。環境問題もこうした「異議申し立て」の文脈で捉えることができます。。
しかし発展途上国は「(゚Д゚)ハァ? 先進国が地球を汚して経済発展し、我々には「環境を守れ」って?!」と思います。まあ当然です。
そこで82年のナイロビ会議で「持続可能な開発」が唱えられ、92年にはアマゾンを開発したいブラジルで地球サミットが行なわれます。
先進国の中にも環境や人権を声高に叫ぶ「リベラル」をうさんくさく感じる層が存在します。「ラストベルト」と呼ばれるかつての工業地域を丹念に遊説して支持を増やしたトランプ大統領がパリ協定から離脱するのは、是非は別にして理にかなっています。
日本は教養敵視、実用推奨の流れ。でもその「実用」は役に立つの?
空欄
28 人間環境
29 サミット
30 京都
続く