先日名古屋市の白川公園内にある名古屋市科学館の特別展「絶滅動物研究所」に行ってきました。
館内のポスター。隣に映り込んでいるものはお気になさらずに。
最初のエリアは絶滅した動物です。
1 マンモス
氷河期の終わりごろにマンモスを含む大型哺乳類が次々と絶滅します。孤立したマンモス(ケナガマンモス)の集団がシベリアのウランゲリ島で生き残りますが、彼らも約4000年前に絶滅します。
環境の変化で植生が変わり、食べ物が得られなくなったことが絶滅の原因ではないかと考えられています。
2 ドードー
アフリカ東南部、モーリシャス島などに生息していた鳥です。
16世紀の大航海時代にポルトガル人がこの地域に入植します。いわゆる「インド航路」の補給地に当たります。人間を見たことがなく逃げることを知らないドードーは航海者の食用にされてしまいます。
*しかも当時の記録ではドードーの肉はまずかったそうです。ひどい言われようです。
島ではサトウキビのプランテーションが開発されて、生息地も奪われてしまいます。その結果ドードーは17世紀末に絶滅しました。
『不思議の国のアリス』(1865年初版)にドードーが「的はずれなことを言う太った鳥」として登場します。作者のルイス・キャロルはオックスフォード大学で見たドードーの絵と嘴や骨から着想を得たそうです。

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人間の都合で絶滅に追い込まれ、その後も笑いのネタにされるとは。『ゲゲゲの鬼太郎』に出演したら巨大化して人類を片っ端から喰いそうです。進撃のドードー?
3 オオウミガラス
ニューファンドランド島からグリーンランド、アイスランド、アイルランド、イギリス、スカンジナビア半島北岸までの北大西洋、北極海に分布していました。「ペンギン」とは元来この鳥のことをさします。
オオウミガラスもヨーロッパ人の乱獲によって絶滅してしまいました。こちらを参照してください。。・゚・(ノД`)・゚・。
次のエリアは日本で固有種が絶滅した動物です。
4 トキ
トキは東アジア一帯で生息していましたが、19世紀半ば以降に開発が急速に進んだことと、商用・食用の乱獲などが原因で個体数が激減しました。
最後の生息地となった佐渡島で人工繁殖が試みられますが日本固有種は絶滅、現存するのは中国から送られた個体の子孫です。最近は日本海側に飛来し、特別住民票を持っているトキもいます。
ちなみにうちの近所ではトキに似たサギが繁殖しています。住民票は我慢してください。
5 二ホンカワウソ
昔、対馬で「二ホンカワウソが生きていた!」と話題になりましたが、ビデオに映っていたのはユーラシアカワウソだったそうです。( ゚д゚)
三番目のエリアは絶滅の危機に瀕している動物についてです。シカ、ゾウ、サイなどは角や牙を取るために、ライオンは権力者がその力を誇示するために乱獲されました。
『相棒』でヤミ金業者の自宅にありました。財力の象徴です。
最後のエリアは東山動物園プレゼンツで絶滅が危ぶまれる種の保存についての紹介でした。男前ゴリラとコアラ推しでした。
www.higashiyama.city.nagoya.jp
まとめ
20世紀以前の特にヨーロッパ人は、自己の利益のために徹底的に自然を収奪し破壊することに何のためらいもなかったことがうかがえます。
今回の展示物の多くはスミソニアン博物館、動物を絶滅させたいわば「当事者側」からお借りしているそうです。
過去にあった出来事を包み隠さず展示することは、現代の目線から過去の行為を断罪するためではありません。もちろん事実を隠蔽したり「弱い動物は殺されて当然!」と開き直ったりするのは論外です。
「過去に向き合う」とは、過去の出来事を隠し立てせず客観的に調査して原因や結果、背景や影響を考察し、私たちがそれを将来に継承しつつ「今なすべきこと」について知恵を出し合うことだと考えます。
会期は9月8日(日)まで。紹介しなかった展示もあるので科学館でお確かめください。高校生は夏休みのラストを満喫してください。