ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

センター・私大世界史直前チェックリスト(5 ややこしい・覚えにくい用語)

    私立大学の一般入試が始まりました。

    今回は私立大学の記述式で「ん? 濁点はどこについたっけ?」「舌をかみそう!」など覚えにくく迷いやすい用語の集中トレーニングです。

    入試でよく出題されるイスラーム関連の用語もまとめました。

    試験会場に向かう電車の中で最終チェックに使っていただけると幸いです。

 

凡例

 ◎:書ける    ◯:頑張って書く    △:選ぶのはいける    ▲:ちょっと厳しい

No 名称 時代 内容
1 アウグスライヒ 19c オーストリアハンガリー帝国ができたこと。妥協の意味
2 アウシュヴィッツ 20c ポーランド強制収容所
3 アウステルリッツの戦い 19c 三帝会戦
4 アチェ王国 16c スマトラ島北部のイスラーム王国。20世紀にオランダに滅ぼされる。
5 アフラ=マズダ 古代 ゾロアスター教の光の神
6 アルクイン 中世 カロリングルネサンス トマス=アクィナスはイが小さい
7 アルヘシラス会議 20c タンジール事件の後の会議
8 アンティオキア 古代 五本山の1つ。アナトリア半島の付け根
9 アントウェルペン 16c ネーデルランドの貿易港
10 イープルの戦い 20c 第一次世界大戦で初めて毒ガスが使用された。
11 イェニチェリ 中世 オスマン帝国バルカン半島キリスト教徒の子弟を改宗(デウシルメ)して直属軍とする。19世紀に廃止。
12 イサベル 15c カスティリャの女王 コロンブスを援助
13 インティファーダ 20c パレスティナ人が占領するイスラエル兵に対して投石で抵抗
14 ヴィジャヤナガル王国 14c デカン高原の王国。西アジアから大量の馬を購入。
15 エリュトュラー海案内記 1c ギリシア人船乗りがインドと季節風貿易を記述
16 エンコミエンダ制 16c スペイン。原住民の保護を条件に王室が新大陸の土地を有力者に委託。その後の大地主制はアシエンダ制
17 カーナティック戦争 18c プラッシーの戦いと同じ時期に南インドで英仏が争う。
18 ガウタマ=シッダールタ 古代 仏陀のこと
19 カジミェシュ3世 14c ポーランド、ピアスト朝の王
20 カトー=カンブレジ条約 16c イタリア戦争の講和条約
21 カトリーヌ=ド=メディシス 16c ヴァロア家の王妃でユグノー戦争の首謀者。メディチ家出身
22 カビール 15c インドの宗教改革指導者。シク教ナーナクに影響を与える
23 ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語 16c ラブレーの著書。イタリア戦争批判
24 カルロヴィッツ条約 17c 1699年 第二次ウィーン包囲が失敗。ハンガリーオーストリアに割譲する。
25 キジルバシュ 16c サファヴィー朝の騎兵部隊
26 キュチュク=カイナルジ条約 18c 第一次ロシアトルコ戦争の講和条約。エカチェリーナ2世がアゾフ海を支配。
27 ギュルハネ勅令 19c タンジマートの勅令
28 クー=クラックス=クラン 19c ケンタッキー州で設立された黒人差別団体。20世紀に復活。
29 グーツヘルシャフト 16c 農場領主制。西欧で農奴制が解体した頃、東欧では逆に農奴制を強化して西欧向け輸出穀物を生産するようになった。フリードリヒ2世はジャガイモを増産して穀物輸出を増やし、その資金で近代化を進める。
30 グラスノスチ 20c ゴルバチョフが行った情報公開
31 ケチュア族 古代 インカ帝国を作った人
32 ゴー=ディン=ジエム 20c ベトナム共和国の初代大統領
33 サータヴァーハナ朝 古代 デカン高原の王朝。ドラヴィダ系でタミル語を使用。ローマと季節風貿易
34 サッコ=ヴァンゼッティ事件 20c アメリカ合衆国 イタリア人労働者が共産党のスパイ容疑。冤罪事件
35 サティヤーグラハ 20c ガンディーの造語 真理を把握する
36 サヌーシー教団 19c イスラーム神秘主義教団でリビアに本拠地を移し、フランス、オスマン帝国、イタリアに抵抗
37 サンチャゴ=デ=コンポステラ 中世 イェルサレム、ローマと並ぶ聖地巡礼の場所
38 ジッグラト 古代 シュメールの聖なる塔
39 ジャーディン=マセソン商会 19c 広州でアヘンを売ったイギリス商人
40 シュパイヤー国会 16c カール5世がルター派を再度禁止
41 シュマルカルデン同盟 16c ルター派諸侯の同盟
42 シュレスヴィヒ・ホルシュタイン 19c プロイセンオーストリアデンマークから奪い取った地域
43 ズデーテン地方 20c ドイツがチェコスロヴァキアに割譲を要求
44 セヴァストーポリ 19c クリミア戦争の激戦地
45 セウタ 15c アフリカ西北端 ポルトガルがこれを攻略したことが大航海時代の始まりとされる。
46 セダン 19c ナポレオン3世がとらえられた
47 チャルディラーンの戦い 16c サファヴィー朝オスマン朝に敗北
48 チョイバルサン 20c モンゴル人民共和国首相
49 チョーラ朝 古代 ドラヴィダ系タミル人の王朝。交易で栄え10世紀にはシュリーヴィジャヤに遠征
50 ディーワーニー 18c インドでの徴税権 イギリス東インド会社が18世紀後半に獲得
51 ディエンビエンフーの戦い 20c インドシナ戦争でベトミンがフランス軍を降伏させる。
52 テノチティトラン 14c アステカ王国の首都 現メキシコシティ
53 トゥサン=ルヴェルチュール 19c ハイチの独立運動 黒いジャコバン
54 トゥルバドゥール 中世 吟遊詩人フランス ドイツはミンネジンガー
55 トルコマンチャーイ条約 19c カージャール朝イランがロシアと結んだ不平等条約アルメニアを割譲
56 トルデシリャス条約 15c 教皇子午線がスペインに有利だったので線を引き直す。ブラジルはポルトガル
57 トンブクトゥ   ニジェール川流域 イスラーム学芸の町
58 ネーズビーの戦い 17c ピューリタン革命中の戦い
59 バーブル=ナーマ 16c ムガル帝国初代のバーブルの自伝
60 パグウオッシュ会議 20c 科学者の核兵器廃絶運動
61 プールナ=スワラージ 19c ラタナコーシン朝がイギリスと結んだ不平等条約
62 プランバナン 古代 古マタラム国のヒンドゥー寺院
63 プロンビエールの密約 19c カブールがナポレオン3世とサヴォイア・ニース割譲を条件にイタリア統一を援助をとりつける
64 へースティングズの戦い 11c ノルマン征服の戦い
65 ベヒストゥーン碑文 古代 ローリンソンが楔形文字解読。ザクロスにあるダレイオス1世の碑文
66 ペレストロイカ 20c ゴルバチョフが行った改革
67 ホーエンツォレルン家 近世 プロイセンの王家
68 ボーリング条約 19c タイとイギリスの不平等条約
69 ポズナニ 20c 1956年ポーランドで暴動 ゴムウカが収拾
70 ボスニア・ヘルツェゴビナ 19c ベルリン会議オーストリアが行政権を、さらに青年トルコ革命に乗じて併合
71 マンサブダール制 16c アクバルが創始 諸侯たちに用意すべき騎馬や騎兵の数とそれに応じた給与によって等級づけて官位を与えた。
72 マンジケルトの戦い 11c ビザンツ帝国セルジューク朝に敗北
73 ヤゲウォ朝 14c リトアニアポーランド王国
74 ラージプート 古代 ヴァルダナ朝滅亡後に小王国を形成した集団
75 リソルジメント 19c イタリア統一運動のこと「決着」の意味
76 レヴァント貿易 11c ヨーロッパと地中海東岸の交易 ヨーロッパ人は香辛料や絹、ムスリム商人は毛織物や銀を輸入した
77 レヒフェルトの戦い 10c オットー1世がマジャール人を撃退

 

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2011年、京都大学の一問一答に私の「フルネームを書きなさい」とありました。京大受験生には楽勝と思いきや、緊張状態で濁点を正確に書くのは難しい?受験には悟りのようなクリアな境地が必要かも。

 

 

イスラーム関係の用語スペシャ

No 解答 内容 時代
1 アッラー  唯一神 成立
2 ヒジュラ  聖遷 ムハンマドたちがメッカからメディナに脱出 イスラーム暦元年 成立
3 ウンマ  ムハンマドメディナで結成した宗教共同体 成立
4 カリフ  ムハンマドの代理 ウンマの長 成立
5 コーラン  クルアーン ムハンマドの死後、啓示やその言行をまとめたもの。アラビア語 成立
6 スンナ  ムハンマドの言行などムスリムの守るべき慣習。スンナ派の由来 成立
7 ハディース  コーランに記される様々な言い伝え 成立
8 ジズヤ  人頭税 異教徒が信仰を保障される引き替えに払う 成立
9 ハラージュ  地租 土地税 成立
10 ジハード  異教徒に対する戦い 成立
11 ミスル  軍営都市 征服地から徴税をするために兵士が駐屯 成立
12 アター  征服地からの徴税から戦士に支払われる給与 成立
13 ズィンミー  異教徒のこと。ユダヤ教徒キリスト教徒は「啓典の民 成立
14 マワーリー  改宗した非アラブのムスリムアッバース朝ムスリム間の平等実現 成立
15 マムルーク  奴隷戦士。トルコ人が多い 成立
16 シャリーア  イスラーム 成立
17 ウラマー  イスラーム法学者 成立
18 モスク  イスラームの集団礼拝場 成立
19 ミナレット  モスクの横に立っている塔。祈りの時間を知らせる 成立
20 スーク  市場   バザール 成立
21 マドラサ  学院 アラビア語コーランの読み方を教える 成立
22 スーフィー  神秘主義 インドや東南アジアでイスラームを広める 成立
23 キャラバンサライ  隊商宿 成立
24 ワクフ  商人がモスクやスーフィー道場など公共財を建築して市に寄付すること 成立
25 ラマダーン  断食の月。イスラーム暦は太陰暦なので太陽暦だと毎年日時がずれる。 成立
26 カナート オアシス都市が山から水を引くために作った地下水路 成立
27 大アミール アミールは司令官のこと。ブワイフ朝アッバース朝のカリフから得た称号 発展
28 スルタン  シャリーアを執行する世俗の責任者。セルジューク朝が最初 発展
29 マンジケルトの戦い ビザンツ帝国セルジューク朝に敗北 発展
30 イマーム アリーの子孫のこと。7代まで数えるのが7イマーム派、12代まで数えるのが12イマーム 発展
31 アズハル学院 ファーティマ朝がカイロに作ったマドラサ。最初はシーア派僧侶の養成所。後にスンナ派 発展
32 ニザーミーヤ学院 セルジューク朝マドラサ。宰相の名にちなむ 発展
33 イクター  戦士に給与に見合う土地の徴税権を授けること。ブワイフ朝で創始 発展
34 ミッレト  オスマン帝国 異教徒の自治団体(後世の後付けとの説有り) オスマン
35 イェニチェリ  オスマン帝国 異教徒を強制改宗(デウシルメ)した直属軍 オスマン
36 シパーヒー  オスマン帝国の騎士   インド傭兵も同じ呼び方だが関係はない オスマン
37 ティマール  オスマン帝国 騎士がもつ所領のこと オスマン
38 キュチュク=カイナルジ条約 第一次ロシア=トルコ戦争の講和条約。エカチェリーナ2世 オスマン
39 ギュルハネ勅令 タンジマートの勅令 オスマン
40 キジルバシュ サファヴィー朝の騎兵部隊 サファヴィー
41 チャルディラーンの戦い サファヴィー朝オスマン朝に敗北 サファヴィー
42 ディーワーニー インドでの徴税権 イギリス東インド会社が18世紀後半に獲得 ムガル
43 マンサブダール制 アクバルが創始 諸侯たちに用意すべき騎馬や騎兵の数とそれに応じた給与によって等級づけて官位を与えた。 ムガル
44 ザミンダーリー制 イギリスが北インドで税の仲介人を地主として認定 ムガル
45 ライヤットワーリー制 イギリスが南インドで中小農民を自作農として認定 ムガル
46 マフディー シーア派の「救世主」。隠れていたアリーの子孫(イマーム)が復活する 近代
47 タンジマート 恩恵的改革。ムスリムと非ムスリムの平等 オスマン
48 セヴァストーポリ クリミア戦争の激戦地 オスマン
49 メッカ ムハンマドが誕生したヒジャーズ地方の町。 都市
50 メディナ 622年ヒジュラ(聖遷)が行われた地。 都市
51 ダマスクス 661年 シリア総督ムアーウィヤが即位したウマイヤ朝の都。ウマイヤ・モスクは最古のモスク 都市
52 バグダード アッバース朝第2代カリフ、マンスールが造営したティグリス川河畔の円形の都。 都市
53 コルドバ 後ウマイヤ朝の都。 都市
54 カイロ ファーティマ朝の都。 都市
55 トレド 元は西ゴート王国の首都 シチリア島パレルモと並んで翻訳活動が行われた。 都市
56 グラナダ ナスル朝の都 都市
57 ブハラ イラン系サーマーン朝の都 都市
58 サマルカンド ソグド人が活躍した東西交通の要衝 ティムール帝国の都 都市
59 ニハーヴァンド 642年 ウマルの時代にササン朝を破った 場所
60 タラス河畔 751年アッバース朝が唐を破った。製紙法西伝 場所
61 トンブクトゥ マリ王国、ソンガイ王国の学芸の都 都市
62 マラケシュ ムラービト朝ムワッヒド朝の都 都市
63 マリンディ アフリカ東海岸の都市。鄭和、ガマが来航 都市
64 アドリアノープル オスマン帝国バルカン半島に進出して首都としたところ。 都市
65 ニコポリス 14世紀末、バヤジット1世がハンガリー王ジギスムントを破った 都市
66 アンカラ 1402年、ティムールがバヤジット1世を破った。ムスタファ=ケマルのトルコ大国民議会 都市
67 イスタンブル 1453年、メフメト2世がオスマン帝国の首都を陥落させた。今の名前。 都市
68 プレヴェザ 1538年、スレイマン1世がヴェネツィアなどの連合軍を破った海戦 地名
69 レパント 1571年、スペイン王フェリペ2世ら連合軍がオスマン朝を破った海戦 地名
70 タブリーズ イル=ハン国の首都でサファヴィー朝初期の首都 都市
71 イスファハーン 16世紀、アッバース1世が新たに造営した首都。イマームのモスク。世界の半分 都市
72 クトゥプミナール 奴隷王朝のアイバクによって建てられた。ヒンドゥー様式とイスラーム様式が混在した様式 遺跡
73 アルハンブラ宮殿 ナスル朝の都グラナダの宮殿 遺跡
74 タージ=マハール廟 ムガル帝国シャージャハーンが愛妃のために建設した廟 遺跡
75 ジンバブエ ジンバブエにある巨石遺跡 遺跡

 

おわりに

 受験直前なので、正直「知識の切り売りをしている」と自覚しています。

 入試は相対的なもの、受験生の嫌がるところをついて振り落としてきます。そういう入試を「重箱の隅」と批判することは容易いことです。

 ただ私としては「エンコミエンダ制」は「住民保護なんて嘘くさいし、キリスト教の布教も現地の文化を否定する上から目線じゃん!」とか、「ワクフ」は「今みたいな社会保障がない時代だと信仰がそういうのを代行するんだ」にいうように、ただ「覚えにくい」「舌を噛みそう」だから出題されている訳ではない、大学のメッセージが含まれていることを、熾烈な受験の中でも感じ取って欲しいものです。

 
 

過去回

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com