ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

2020年度からの「大学入学共通テスト」について(2018年度版5 英語外部検定、大学の予告)

    2020年度(2021年度入学生選抜)大学入試における「英語外部検定」(認定試験)の扱いについて、大学側から発表が出始めました。

 駿台毎日新聞の記事、各大学の予告を参考にまとめました。

 

駿台予備学校 12月21日現在

http://www2.sundai.ac.jp/news/2021news/2021_kokukou_senbatsu.pdf

 

毎日新聞2018年12月28日の記事    規約に基づいてリンク。

mainichi.jp

 

表を見る前におさらい

国立大学協会(以下国大協)のガイドライン(2018年3月30日)

センターが認定した民間の資格・検定試験と、センターの新テストにおいて実施される英語試験一般選抜の全受験生に課し、それらの結果を入学者選抜に活用する

認定試験結果の活用方法については、各大学・学部等の方針に基づき、次のいずれかまたは双方を組み合わせて活用することを基本とする。

① 一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とする。

② CEFR による対照表に基づき、新テストの英語試験の得点に加点する。

 

前回

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

凡例

出願要件:「CEFR」欄は出願要件を満たす水準。

加点:「CEFR」をランクに応じて点数化し加点する。

利用:認定試験を何らかの方法で活用する。

 

各大学の様子    参考:駿台の資料    詳細は各大学のHPで確認してください

  大学 学部 方法 CEFR 備考
1 旭川医科大 出願要件    
2 小樽商科大 出願要件    
3 帯広畜産大 畜産 出願要件    
4 弘前   加点    
5 岩手大   加点    
6 東北大   活用しない   A2以上が望ましい 
7 宮城教育大 教育 出願要件    
8 秋田大   加点    
9 福島大   加点   外国語全体の満点の2割程度を加点する
10 群馬大   加点    
11 東京海洋大   出願要件    
12 東京大   出願要件だが必須ではない A2 CEFRとの対照表による「A2」以上の成績、または「A2」以上に相当する英語力があると認められることが明記された調査書等を出願要件とする。どちらも提出できない場合は、理由書を提出
13 東京外国語大   出願要件 A2 一般試験でスピーキングを実施する
14 東京工業大   出願要件+利用 A2 CEFRとの対照表による「A2」以上の成績を出願要件とし、前期個別試験の外国語に利用する
15 東京農工大   出願要件だが必須ではない A2 CEFRとの対照表による「A2」以上の成績を出願要件とする。提出できない場合は理由書を提出
16 一橋大   利用   英語認定試験の成績と共通テストの英語試験の双方を利用
17 長岡技術科学大 加点    
18 岐阜大 医(医)以外 加点    
19 岐阜大 医(医) 出願要件 A2  
20 浜松医科大 出願要件    
21 愛知教育大   加点    
22 豊橋技術科学大 加点    
23 名古屋大   出願要件だが必須ではない A2 CEFRとの対照表に基つき「A2」以上に相当する英語力を英語認定試験の成績、または高校の調査書等の記載を利用して確認し、出願要件とする
24 名古屋工業大   加点    
25 三重大   加点    
26 滋賀大   出願要件    
27 滋賀医科大 出願要件    
28 京都大   出願要件だが必須ではない A2 CEFRとの対照表に基つき「A2」以上の成績、または高等学校等の校長が「A2」以上の英語の言語運用能力が備わっていると認める書類の提出を出願要件とする
29 大阪大   出願要件 A2  
30 兵庫教育大 学校教育 加点 B1  
31 島根大 医(医)以外 加点    
32 島根大 医(医) 出願要件 A2  
33 広島大   利用   英語認定試験の活用については、定められた条件をすべて満たした場合、共通テストの英語の得点を満点とみなす
34 鳴門教育大 学校教育 加点    
35 佐賀大   加点    
36 大分大 医(医)以外 加点    
37 大分大 医(医) 出願要件および加点   出願要件とするとともに、一定の水準に応じ共通テストの「英語」の成績に加点する
38 宮崎大   出願要件または加点   利用方法については、一定水準以上を出願要件とする方式、共通テストの外国語に加点する方式、これらを組み合わせる方式のいずれかとする
39 鹿屋体育大   加点    
40 札幌市立大 デザイン 出願要件 A2  
41 青森県立保健大 健康科学 加点    
42 青森公立大 経営経済 出願要件だが必須ではない    
43 岩手県立大   活用しない    
44 秋田県立大   加点   共通テストや個別試験とは独立して50点満点で加点する。加点方法は検討中
45 茨城県立医療大 保健医療 加点    
46 神奈川県立保健福祉大   活用しない    
47 長岡造形大 造形 必須ではないが受験すれば加点    
48 岐阜薬科大 加点    
49 神戸市外国語大 外国語 活用するが必須ではない   原則、共通テストおよび英語認定試験の双方を受験し、共通テストと認定試験の得点の双方を比較して高得点のものを選抜に利用する。ただし、認定試験を受験できない受験生については、共通テストのみでの受験を認める
50 下関市立大 経済 加点    
51 愛媛県立医療技術大   出願要件 A1  

 

まとめ

活用しない 3
活用するが必須ではない 1
必須ではないが受験すれば加点 1
出願要件だが必須ではない 5
出願要件 14
出願要件または加点 1
出願要件および加点 1
出願要件+利用 1
加点 22
利用 2
合計 51

 

1 概要

 英語の外部検定を必須としないのが10大学、うち活用しない(受けなくていい)のが3大学です。

 東京大学など5大学はCEFRのA2以上を出願条件としながらも、それを証明できる書類(調査書の記載など)で代替が可能です。

追記 2/13

*ただし東京大学の場合は何かしらの公的な「エビデンス」を求めるとしています。

 残りの45大学が国大協の方針通り、認定試験と共通テストの英語の両方を受験するとしています。

 ちなみに国大協の座長は京都大学の総長ですが、ご自分の大学は認定試験を必須にはしていません。

 

2 出願要件

 2018年12月時点ではCEFRの具体的な基準値を発表していない大学が目立ちます。発表している大学はほぼA2(英検準2級、高1相当)です。

*発展:センター平均点(6割)なくても合格できる国公立大学が存在するのは事実です。「A2を出願要件にしたら受験生がこないのではないか」と不安を感じる大学があるかもしれません。

   でもA1を出願要件にしたら認定試験は「受けるだけでOK」になります。

 

3 得点化

 弘前大学が最も突っ込んだ発表をしていて、「C2」40点、以下「C1」35点~「A2」20点まで5点刻み(A1のみ10点)で加点するとしています。

 佐賀大学は「CEFRの段階に対し係数を設定し、共通テストの英語得点に各係数を乗じたものを加算する」としています。この方法なら受験生は共通テストと外部試験の両方でそこそこの点数を出す必要があります。

*発展:「C1」は「熟練した言語使用者」の初級で英検だと1級。「C2」は英検では測定不能!、ケンブリッジ英検かIELTSのみ測定可能です。うちの近所にそんな高校生いません。

参考 文科省2018年3月26日の発表のスクリーンショット 高校生はB2が限界?

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2018/03/26/1402610.pdf

f:id:tokoyakanbannet:20190103190715p:plain

なおCEFRだと日本の高校生の英語力にほとんど差がないことになるので、日本向けにcan-doで細分化した「CEFR-J」が提唱されています。

www.cefr-j.org

 

4 個別試験の代替

 東京工業大学は、CEFRのA2を出願条件にするに加えて、個別試験の英語配点150点中、大学独自の筆記試験120点、認定試験30点としています。

 これは早稲田大学国際教養学部がすでに実施している方法(外部検定をリスニングの代替として利用)です。

 さらにリストにはありませんが首都大学東京は「認定試験の活用に伴い、個別学力検査「外国語」の試験を廃止します」と予告しています(認定試験をどう活用するのかは検討中)。これは上智大学のTEAP方式に近いです。

  

まとめ

 

 国公立大学は通称「2年ルール」といって、新しいことをするときには2年前には予告をする習慣になっていますので、今年度末にはもう少し具体的なことが発表されると思います(遅くても2019年の7月には出そろうはず)。

 

 個人の意見ですが、高校が学習指導要領に基づいて英語教育を行い、その結果一定の成績を取った生徒について、学校長が「当該生徒はA2相当である」と認めれば出願条件クリアでよいと考えます。

 その上で、各大学がその特徴に合わせて検定のスコアを「見なし得点」や加点にしたり個別試験の一部に代替するのは自由です。

 これなら経済的負担も特別な配慮もかなり解決しますし、得意な人はうちの子どもみたいに高校3年生に上がる前に英検準一級をとります。

   公教育のコアはミニマムであるべきです。

 

河北新報2018年12月29日の記事。リンクOKなので貼ります。東北大学の入試センター長さんのお話は的を得ていると思います。

www.kahoku.co.jp

 

 現在調査書等で出願要件クリアを認める大学は「ごく少数」(某業者の話)のようですが、より多くの大学がこの方法について検討することを期待します。

    なお文科省が英語4技能にこだわる(引っ込みがつかない)なら、大学入試センターがシステムを構築して、50万人に一斉に実施するのが最も公平と考えます。2018年度小六が高三になるまでにはまだ時間があります。

   んー、そうすると新たな利権(以下略)

 

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