ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

放送大学で教員免許更新をする(2 教育の最新事情1 21世紀型学力?)

 教員免許更新講習で必須の「教育の最新事情」、放送大学のビデオ視聴だけでは頭に入らないので、勉強したことをブログにあげて(外化)「確かな学力」にしたいと思います。なんて『学習指導要領』に忠実!

 

*発展:文科省の元事務次官も「『学習指導要領』に書いてあるとおり、先生も自分の頭で考えましょう」と講演で述べていたそうです。

 

 ブログの内容は受講した私個人の感想であって、放送大学の見解ではありません。

 また引用部分は私が放送大学を視聴しながらメモを取った内容(テキストや試験問題の転載ではありません)であって、自説が主で引用は従の関係という著作権法で認められた範囲内での引用です。

 

 前回

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第1章 学校の変容と教職の現代的課題

 

1 20 世紀は学校教育の「量的拡大」の時代

  • 産業社会を支える「国民」の養成が目的
  • 教える内容は読み書き計算,徳育、職業技能,方法は一斉授業 伝達
  • 東アジアは近代化が豊かさや学歴と結びつく。一斉授業が発達

 

 これは「歴史総合」のメインテーマ。大学を含めて近代の知を詰め込むことで西洋にキャッチアップするのが東アジアモデル。東アジアがPISAに強いのは学歴と出世と結びついているから?

 

 

2 21世紀型学力は「学びの質

  • 習得した知識や技能を定着させ,それらを活用し探求できる力。
  • そのための学習習慣や学習意欲を育てられるような授業や学習のありかたが必要。

 

 第二次産業中心の時代は読み書き計算ができる均質で従順な労働力が必要だったけど、今日のグローバル化社会では高付加価値を生み出す人材が必要なので、学校もそういう人材を育てるようにパラダイムシフトしなさい、ということです。

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 京大の溝上慎一先生は「チョーク&トーク」からの転換と言っています。

 

アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換

アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換

 

  

 ん、いわゆる「ゆとり教育」(文部科学省は公式にはこう呼んでいない)は、授業内容を削減して体験や話し合い活動を通じて「生きる力」を育むのが目標でした。

 ところがPISAの成績不振で高付加価値どころか「基礎学力の低下」と大騒ぎになったのは記憶に新しいです(東アジアモデルの危機?)

  

3 学力格差への対応

  • 経済状態の悪化による家庭経済の格差は子どもの発達や学力の格差につながる。
  • 日本は相対貧困率が世界的に見ても高く,早期からの貧困は一層深刻となっている。
  • 教師と生徒の関係や規律,授業雰囲気においても学校間格差が大きい国となっている。

 

 放送大学さんわかっているじゃないですか(拍手)。それが私が毎日出会う現実です。

 「授業がわからない」「学校がつまらない」の背景のひとつに家庭の事情があり、その多くは経済がらみです。

 保護者の就労が不安定だと、子どもが好奇心を持った時や勉強に躓いたときにケアする余裕がない、家事も手伝わないとならない、進学するお金が不安…。

    そういう状況では「勉強しても何の役に立つのか…」とモチベーションもあがりません。

 こういう状態が続き、学校や勉強に気が向かなくなる児童・生徒は少なくないです。「21世紀型学力」以前の問題です。

 

 私の知り合いはほぼ毎日担任と夜の家庭訪問です。家庭の事情に寄り添い、勉強する意欲が回復する児童・生徒もいます。しかし根本的な解決は学校には無理です。

 

 

4 学ぶ内容の高度化への対応

  • 学校には教育目標の明確化、カリキュラムの見直し,教員の資質向上体制,保護者や地域との連携参画,データに基づく評価が必要。
  • 教員も自分の専門教科だけでなく、最新の情報に強くあるべき。

 

5 学校は学習の場であると同時に,生活を営み子どもが育っていく場

  • 安心,居場所感のある学級や学校づくりと,集中没頭できる学習時間の保障が必要。
  • 学校の教職員間の連携協働,保護者や地域との連携が必要。
  • 戦後日本で取り組まれてきた「授業研究」は教職員の同僚性育成や技術継承に役立つ。

 

 従来の一斉授業方式や担任がすべてを抱える「学級王国」から、生徒が主体の学習、児童・生徒がチームで学び、学校もチームで児童・生徒を育てることにシフトする。それが21世紀型の学力を育む。

 そのために校長がリーダーシップを発揮して教育目標を明確にし、それをベースに教員を育て、地域の協力を得、外部評価を用いてPDCAを回し教育の質を上げていくことが求められている、ということです。

 

 つまり学校の先生に求められる資質は、

  •  集団指導:基礎学力・専門学力の指導および生活指導ができる
  •  個別指導:児童・生徒それぞれの課題に寄り添うことができる
  •  研究:自分の専門は当然、最新の教育に関する情報にも強い
  •  チームワーク:同僚と協働で主体的な学習が進めることができる
  •  コーディネート力:地域の人材を活用した学習の段取りができる
  •  経営力:学校全体を見渡し、PDCAを回し、経営改善ができる

 

 今の若い人は教員免許取るためにこんなハイパーな訓練を受けてるの?!

  

 いや、まだあります。

 これと全く同じことが部活動でもできなければなりません(専門的な技術指導、部員のメンタルケア、保護者への説明責任、外部人材との協働、連盟の事務的・財政的管理、大会の運営)。

 

 ダ=ヴィンチも真っ青な万能人ぶり! しかも勤務時間内でこれ全部できる?! 

 

あ、残業代はゼロですよ?

 

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*発展:こう言うと「チームで動けば一人当たりの負担が減る」とか「だから免許更新で最新の知識にアップデートする必要がある」と反論がでそうです。

 前者については、学校によっては常勤講師など非正規雇用が多く、また年齢構成もアンバランスです。すべての仕事をプロ仕様で回すことができるのはよほど大きな学校かつ人的資源に恵まれている場合です。

   多くの場合は「できる」先生に長時間かつ過重な負担がかかります。

 またすべての部活動に専門の顧問がいる学校を見たことがありません。

 後者については、職員が研修をしているとき別の職員がちゃんと学校を回せる体制が必要です。

 つまり両者の主張は、学校の人員の量的増加および質的バランスの整備をしてからです。あるいは先述の内田先生が言う「ゆるい部活」のように「アマチュア仕事」を生暖かく?見守るかです。

 

 全国で教員養成系学部の志願者が激減しているそうですが、最近の教員の労働環境について知れば当然です。待遇が悪ければなり手が減るのは市場論理です。

 その調子でどんどん教員のなり手が減るのも待遇改善の方法?(笑)。

 

 

今回のまとめ

 

  1. 21世紀は知識の習得より知識を基盤とする社会。教員にはそれに対応するために必要な最新の情報にアクセスできる力が求められています。
  2. 経済格差による学力格差は,学校間格差につながりかねません。
  3. 子どもの居場所感と没頭できる学習時間の保障を考えていくことが求められています。
  4. 21世紀型の学校では教員の仕事は多岐にわたり、学校は組織として教育にあたり、すべてに渡って熟達と説明責任が求められます。その結果教員の労働環境はブラック化しつつあります(笑)。

 

 よく理解できました。

 これで1領域の1コマだから、あと39コマ×(45分+主体的な学びの時間)続くの?!

  

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