はじめに
前回の志望理由書の書き方、何かの参考になってもらえれば幸いです。
こちら その1 その2もよろしく
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推薦入試で志望理由書などの書類選考に合格すると、次に筆記試験と面接試験があります。
推薦入試は「筆記試験で測れない受験生の資質」を評価します。しかし面接の練習をすると、生徒のアピールポイントは10人中9人が「部活動で頑張った」で、その後が続きません。
今や高校生のほとんどは部活動に加入し、全国大会で活躍した生徒もたくさんいます。どの生徒も「頑張った」のですから「それを言えば他の受験生より評価してもらえる」と考えるのは虫がよすぎます。
今回は面接試験で受験生の何が評価されるのか、評価してもらうにはどのような準備をすればよいかについて考えます。
*入退場を含む礼儀作法や身だしなみなどは省略します。
1 面接試験はなぜ行われるか
面接試験は試験官が受験生と直接対話することで、受験生の合否を判断します。面接試験をする理由は次の①で、②と③はそのバリエーションです。
①受験生の能力、適性等を多角的に評価する。
② 不本意受験者の本気度を確認する。
③ この学部や将来の仕事に必要な資質がないと思われる人を除外する。
①が主目的で、文部科学省の大学入学者選抜実施要項に書いてあります(5頁)。
②は一部国立大学の後期試験です。制度上第一志望ではない生徒が集まりますから、前期不合格から気持ちを切り替えて受験に来たかを試します。
③は特に医療系統です。ある看護大学は「面接でCがついたらペーパーテストの点数にかかわらず不合格」と募集要項に明記してあります。「国公立だったらどこでもよい」などの理由で看護学部を受験されては困るからです。
専攻によって人気・不人気がある教育系統も、「出願指導」(生徒のセンター試験の持ち点で合格しそうな国公立の受験を担任が勧めること)でやってきた「ミスマッチ受験生」をふるいにかけるために一部専攻で行われます。
まとめると、A「その大学、学部にどうしても行きたい」とB「その系統で研究をする資質がある」のふたつが評価ポイント、ざっくり言うと「うちの大学でやっていけるか」が見られています。
2 面接試験の種類
① 個人面接…受験生1名に対して面接官が2名以上で実施されます。
② 集団面接…受験生が複数名入室します。面接官の問いに対して順番に、あるいは受験生が挙手をして答えていきます。
③ 集団討論…受験生が円形に着席し、試験官から与えられたテーマについて討論をします。
もっとも多いのが①で、②や③は自己主張と他者への傾聴のバランスを評価します。三重大学の医学部の推薦は①と③を行います。
3 最初の関門、「どうしてもこの大学、学部」を示す
これは志望理由書と同じです。その理由を過去、現在、未来の流れで説明します。
医学部看護学科を例に挙げると
ア、 どうして医療現場で働きたいのか(動機、現状認識、仕事についての理解)。
イ、 どうして看護師なのか(職種の特徴についての理解)。
ウ、 どうしてこの大学なのか(大学についての理解)。
エ、 この大学で何をしたいか(研究についての理解)。
オ、 将来何をしたいか(社会への貢献)。
カ、 ア~オの一貫性(言っていることが本心から出ている)。
どの大学でも必ず最初は志望理由を聞きます。面接官は受験生の志望理由書と今ここで言っていることに整合性があるかどうかを確認しています。
ただし面接は志望理由書の暗唱大会(笑)ではありません。面接官の「志望理由書にこう書いてあるけど、もう少し具体的に」からが本番です。
志望理由書と面接の違いは「一発勝負」という点です。前者は推敲や担任の入れ知恵で何とかなりますが、後者は自分の中にあるものだけが頼みの綱です。「楽して合格したい」→「推薦」→「志望理由を後付け」のパラダイムから脱却できていない人は、速攻答えに窮してしまいます。
とはいえ志望理由書を書くことを通じて「私はこの大学にどうしても合格したい」が自分の心から出る深い理由に変わっているはずです。先生に志望理由書をもとに色々と質問してもらって、自信を持って受け答えできるように練習しましょう。
* ア~オをちゃんと考えていない志望理由書を提出してしまった人は今すぐ悔い改めて、本ブログの「志望理由書」の回を読みましょう。
4 面接の本丸、「資質」をアピールする
しかし志望理由は「言えて当たり前」です。面接官が注目しているのは受験生が「志望大学、学部にふさわしい資質があるか」です。これは面接のすべての場面で見られています。
その資質は、どの学部でも共通な「基礎学力」と、学部ごとの「専門予備学力」に分類できます。
続く
こちら
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