現役生の皆さん、センター試験の願書は無事担任に渡しましたか? 浪人生さんは黄色い袋に入れて窓口で郵送しましたか?
追記 2020年8月11日
センター試験は滅亡して「大学入学共通テスト」になりました。ゴーグルやヤッホーからこちらのページにたどり着いた方は次のリンクへお越しください。
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センター試験に対する考え方は学校によって違います。「国立至上主義」の高校だと「全員出願、5教科7科目受験が基本」と聞きます。一方私大狙いの出願が多数を占めたり、センター試験を受ける生徒がそもそも少数の学校もあります。
「センター試験なんて使うかどうかわからないのに…」としぶしぶ出願した人もいるかと思いますが、出願した以上は高得点目指して勉強しましょう。
今回は出願後に準備することについて記します。
1 受験するときに要注意! うっかりしていると失格に!
①「第一解答科目」と「第二解答科目」
「地歴・公民」「発展理科」2科目を受験する生徒は、開始から60分後に「第一解答科目」を回収します。10分間の回収・次のマークシート配布作業(この間トイレには行けません)の後、「第二解答科目」を解答し、60分後に回収します。
「地歴・公民から1」「理科から1」を条件とする国立大学はほぼ「第一解答科目」を得点とします。公立大学は一部「高得点採用」のところがあります。
私立大学は「高得点採用」が多いものの「偏差値上位校」になるにつれて「第一解答科目」が増えてきます。河合塾『栄冠目指して』Vol.2等を参照してください。
なお「地歴・公民」「発展理科」を「2科目受験する」で申し込んだ受験生は当日1科目にする(後から来る、途中で抜ける)はできません。
事の発端はこうです。
2011年度のセンター試験までは「理科第1グループ」「理科第2グループ」「理科第3グループ」「地歴」「公民」という60分×5コマの時間割でした。これが2012年度から「地歴・公民」「理科」というぶち抜きになりました。
これによって従来不可能であった「日本史B&世界史B」などの組み合わせで受験が可能になりました。
ところが「1科目しか必要ない生徒が2科目で申し込んで、1科目は速攻終わらせて残り時間丸々1科目の解答に使う」が可能ではないかとクレームが付きました(気がついた人すごい!)
慌てて大学入試センターが各国公立大学に「1科目しか点数化しない場合は第一解答科目を」とお願いしましたが、その時点ではすでに国公立大学は募集要項を完成させていて大騒ぎになりました。
試験本番でも、地歴と公民の冊子を最初に両方渡す必要があるのに、一部試験会場で監督が公民しか渡さないというミスが起こり、後でセンターが該当生徒に電話で第一解答科目をどうするか確認するなど、すったもんだでした。
*発展 この反省から、次の年から地歴と公民は別冊子ながらビニールでひとまとめ(「立ち読みお断り」の本みたいな感じ)になりました。また地歴と公民はまとめて1教科扱いになりました。
新課程で「理科基礎」と「発展理科」が登場し、各大学が文系・理系毎に課す科目がほぼパターン化したので、「第一解答科目」で混乱することはなくなりましたが、現在でも募集要項をちゃんと読んでいないと失格になることがあります!
大阪大学の経済学部はセンター試験で文系型(地歴・公民・理科1)と理系型(地歴・理科2)があって、どちらも「地歴を第一解答科目に」という縛りがあります。公民を第一解答科目にすると出願できません。
また 京都府立大学文学部のうち歴史学科のみが「地歴から1で第一解答科目」なので、公民を第一解答科目にすると出願できません。
私は近畿圏にいるのでこの二つが思い浮かびますが、必ず志望大学の募集要項を確認してください。
② 地歴公民の4単位
「地歴・公民」では「4単位科目」(地歴B科目、「倫理、政治・経済」)の受験を義務づける大学があります。これらの大学は2単位科目の地歴A科目や「現代社会」「倫理」「政治・経済」を受験すると出願できません。
難関大学文系の多くが4単位科目の受験を義務づけています。また前期出願の大学が2単位科目OKでも、後期の大学はNGということがある(例:前期大阪市立・文、後期奈良女子・文)ので、受ける可能性のある大学の最大を受験するようにしましょう。
ちなみに「倫理、政治・経済」はひとつの科目です。「倫理」と「政治・経済」を二つ解いて提出することではありません。
補足:最近は国公立大学理系の偏差値上位校も「4単位縛り」です。また「2単位もの」のうち地歴A不可、公民は現代社会のみ可、といった条件が増えているので、よく受験科目を確認してください。
③ 組み合わせ
公民は「1科目以内」、理科は「同一名称を含む科目の選択不可」など、大学によって組み合わせの条件があります。必ず募集要項で確認してください。
*発展 地歴・公民は同一名称を含む科目の選択は不可です(「世界史A」と「世界史B」、「倫理」と「倫理、政治・経済」など 受験案内4頁注3)。私立のセンター利用狙いで公民2科目を取る場合は名称の被らないものを選びましょう。
理科は、基礎と専門で同一名称を含む科目の選択はルール上は可能(同3頁)ですが、大学が不可とする場合は、募集要項に「同一名称を含む科目の選択不可」と明記されています。
④ おまけ
模擬試験でよく発生するのが「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・A」の取り違えです。
数学の冊子は「数学Ⅰ」から始まるので、緊張しているとうっかりそちらを解いてしまいます。多くの大学は「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B」指定ですから、本番でやらかすと出願できる大学が大幅に減ります。
以上のことを確認した上で、どの科目を受験するか、第一解答科目はどれにするかをセンター試験までに決定し、当日は準備したとおりに受験しましょう。
*発展:某ポータルサイトの質問コーナーには毎年「第一解答科目を解いて余った時間で第二解答科目を解いていいのか」という質問が来ますが、公式には「最初の60分間は第一解答科目に集中してください」です。いくら私的なブログとはいえ裏技についての発言を控えさせていただきます。
2 確認はがき
10月下旬に志願者の名前、住所、受験教科などを打ち出した「確認はがき」が学校に送られてきます。受験料が間違っていた場合は指摘があります。記載内容が正しいか、願書のコピーと照合しましょう。
『受験案内』のスクリーンショット
間違いがあれば、受験案内36頁の様式を使い、現役生は期日までに学校に提出します(訂正は学校経由で送付)。なお人名の漢字異体はセンターにデータがないので標準的な漢字に置き換えられています。
検定料が違うとその旨書かれているので、再度振り込むか、お金を払った通りに受検するかお考えください。
「9月の時点では国立目指して理科2科目取っていたけど、志望変更で理科1科目でよくなった」という人は、この訂正はがきを出す時が唯一の変更チャンスです(再変更不可)。現役生は必ず担任と相談してください。
3 受験票
12月の始めに受験票が送られてきます。受験票、写真票、成績請求票からなります。
『受験案内』30頁のスクリーンショット 本物はこちら
①受験票 写真表
受験票に記載されている受験教科名を再度確認します。受験票と写真票には同じ写真を貼ります。剥がれた時のために写真の裏に記名します(写真票はセンター試験会場で回収されます)。
センター試験の会場も記載されています。後日その大学から「受験番号何番から何番は○○学部の○号棟」という案内が来ます(ない場合もあり)。
②成績請求票
成績請求票はクーポン券みたいな作りで、センター試験を利用する大学に出願する時にこれを切りとって願書に貼ります。
最近は11月出願のセンターあり国立大推薦という段取り早すぎのものがありますが、成績請求票は別便で送ります。
受験票はセンター試験だけでなく国公立の二次や入学手続きに持参が必要なので、クーポン部分は切り離します。クーポン券をなくすと面倒くさい手続きが待っているので、「大事だから」としまい込んで忘れないようにしましょう。
まとめ
多くの人がセンター試験の出願が最初の「受験との遭遇」だと思います。問題を解くことだけが受験ではありません。事前、事後の手続きをミスなくこなすことも受験の一部です。
願書が正式に受理されるまでたくさんの人を経由することを実感しましょう。センター試験の願書は、担任、進路の先生が漏れがないか確かめ、教頭、事務長を経由して学校長が公印を押します。センターの人がデータを手入力すると思えば字も丁寧に書こうと考えます。
「受験はひとりではできない」ということを実感すれば、自然と謙虚さが生まれ、謙虚さは自分の実力を客観的に判断することにつながります。「お願いします」「ありがとうございます」が自然と出るようになれば、受験生の仲間入りです!
*締め切りの正確な日付は受験案内で確認してください。