世界史の参考書・問題集選び 後半です。
紹介したものを何冊も買わず、手にとって自分に合うものを一冊選んで、繰り返しやりましょう。
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世界史の勉強方法について考える(その3 参考書・問題集 入力編) - ぶんぶんの進路歳時記
4)一単元あるいは隣接する単元についてテスト形式の問題で演習する。
単元別問題集:一、二年生の復習用 三年一学期の模擬試験対策用
一、二年生では学校で購入する教材では定期テストや模擬試験に向けて不足する場合があります。テスト対策には教科書に準拠した問題集(学校で購入する場合有り)、模擬試験に向けては単元別に復習できる問題集を買い足すと効果的です。
私立大学の入試では単元別(例:18世紀の東欧)や章別(例:ヨーロッパの主権国家体制形成)のくくりで出題される部分を確実に解答することが合格の第一条件です。全統模試は第二回までは範囲(進度調整)がありますから、単元別問題集と模試の過去問を往復して知識を定着させます。苦手な部分は3)の教材に戻ります。
私の学校では三年生で『ウイニングコンパス』(東京法令)を購入します。まとめ、地図、虫食い、単元・章別入試問題がセットになっているので重宝します。
センター試験はテーマ史のシャッフル出題ですが、まずは単元・章別の問題で知識を定着させます。私の学校では夏休み前に『チェック&演習世界史B』(数研出版)を購入してマーク模試に備えます。いずれも学校専用教材です。
三年生の一学期から夏休みにかけては学校で購入する教材をやり込み、お小遣いは入試の本丸である5)に回しましょう。
○『世界史総合テスト』(山川出版社)…詳説世界史準拠。定期テスト向け。
◎『はじめる世界史 要点&演習』(Z会)…旧『はじめる50題』。二年生の模試で地歴が始まったらこれ。学校で配布される?過去問と一問一答問題集とセットで既習範囲を思い出します。
◎『短期攻略センター世界史B』(駿台)…問題数は少ないですが地図を含む解説が充実していて、各単元で何が問われるか理解できます。マーク模試の過去問と循環して演習すると効果的。
△『センター試験への道 世界史』(山川)…『短期』と逆で問題が多く(最新版は問題が整理されました)解説は少ない。ある程度知識がついた人向け。
Amazon.co.jp: 世界史総合テストPlus α―世界史B: 世界史総合テスト編集委員会: 本
はじめる世界史 要点&演習[改訂版] : 高岡慎太郎 : 本 : Amazon
短期攻略センター世界史B (駿台受験シリーズ) : 川西 勝美 : 本 : Amazon
センター試験への道世界史―問題と解説 : 年森 寛, 今泉 博 : 本 : Amazon.co.jp
5)テーマに沿って時系列や地理的に比較、関連づけして考察する。
テーマ史問題集:夏休み以後 過去問で抜け漏れをなくす
私立志望者は第一志望および同難易度の入試問題を赤本、東進や旺文社の過去問サイトを利用して解き、傾向や難易度を実感した方がいいです(解答や解説が怪しい場合は先生に質問)。過去問→間違いノートを作る→関連事項を洗い出し→苦手分野は『スピマス』や単元別問題集に戻る、を繰り返します。
単行本タイプの入試問題集は過去問を単元別、各国史、テーマ史に編集してあります。過去問をやってみて「この範囲は志望大学ではよく出題されるけど苦手」を集中的にケアします。私の学校では国立二次や難関私大志望者に『重要問題演習』(数研出版)を斡旋しています(学校専用教材)。
センター試験対策は、授業が終わるのを待っていては間に合いません。学校で購入したセンター問題集をやりつつ、未習範囲も含めて過去問と予想問題集をどんどんやり、間違いをノートにつけて抜け漏れつぶし、関連事項の洗い出しを行います。
△『関東難関私大入試対策用世界史問題集』『関関同立入試対策用世界史問題集』(山川)…山川の問題集は解説が少ない。間違ったら教科書や4)の教材へ戻る。
△『オンリーワン世界史完成ゼミ』(代々木ゼミナール)…関東私大向け。
○『世界史標準問題精講』(旺文社)…山川に比べて解説が親切。
◎『分野別世界史問題集』 (山川)…センター試験、私大直前対策用の分冊問題集。文化史はマストアイテム。
△『大学入試センター試験実践問題集世界史B』(全国入試模試センター)…予想問題と駿台模試の過去問のセット。学校専用教材(河合塾、駿台、Z会、ベネッセ)よりやや難しい。もうちょっとやりたい人向け。
Amazon.co.jp: 関東難関私大入試対策用世界史問題集: 今泉 博, 仮屋園 巌, 津野田 興一: 本
オンリーワン世界史完成ゼミ―代々木ゼミナール (古代・中世・近代編) : 佐藤 幸夫 : 本 : Amazon.co.jp
世界史B標準問題精講 : 松永 陽子 : 本 : Amazon
分野別世界史問題集 (5) : 仮屋園 巌, 石井 栄二 : 本 : Amazon
大学入試センター試験実戦問題集世界史B 2016 (大学入試完全対策シリーズ) : 全国入試模試センター : 本 : Amazon
論述問題集
国立の二次試験では複数単元の比較、関連づけがマスト、マクロな視点が必要です。私大の入試問題と平行して夏休みの終わりぐらいから論述の勉強をはじめます。
○『判る!解ける!書ける! 世界史論述』(河合)
○『段階式世界史論述のトレーニング』(Z会)。
第一志望の学校の過去問の傾向や形式を見て、どちらか1冊をやりこみましょう。単文論述重視の大学志望者はZ会、マクロな視点が必要な大学志望者には河合塾を勧めます。やったら先生に添削してもらいましょう。
判る!解ける!書ける!世界史論述 (河合塾シリーズ) : 伊倉 正武 : 本 : Amazon.co.jp
段階式 世界史論述のトレーニング : Z会出版編集部 : 本 : Amazon
追記
世界史の論述は、過去問をやって先生に添削してもらうだけでは力が付きません。私は違うトレーニングをしています。また「この大学はこの教科書で勉強した方がいい」というのもあります。企業秘密(笑)の部分もあるので別の機会に譲ります。
まとめ
1 教材は「自分の勉強の型」を構築するためのツールです。
2 初期の段階は暗記メイン、「思い出せるように覚える」を目標にします。
3 三年生の一学期は単元・章別に知識を定着、夏休み以降に志望大学対策、という順で適切な教材を選びます。
4 教材を選ぶときは必ず書店で手にとり、自分の現状と志望校と照合しましょう。
5 困った時は高校の先生に相談しましょう。
生徒の多くは難しい問題集をやれば簡単な試験にも対応できると考えがちですが、早慶で出題される教科書外の用語を覚えてもセンター試験には役立ちませんし、その多くは「ドボン」問題といって大学側も正解を求めていないものです。
山川の用語集には「教科書何冊に載っているか」という出現頻度が載っています。私は同志社大学の問題とそれを照合しましたが、結論だけ言うと、高頻度用語が主に出題されますが、頻度が少なくても何度か出題されるものがあります。これは「知っていたら合格」という「ふるい落とし」問題であり、100点を取らさないための「ドボン」問題と見分ける必要があります。
とはいえ高校生がこれを見極めるのは困難です。次回はこの用語の重要度について考えたいと思います。
試験に出やすい用語の法則はこちら
世界史の学習法について考える(その4 試験に出やすい用語の法則 センター試験編) - ぶんぶんの進路歳時記
世界史の学習法について考える(その4 試験に出やすい用語の法則 難関大学編) - ぶんぶんの進路歳時記