2021年度国公立大学入試の続報です。
7月13日に国大協が「国立大学の2021年度入学者選抜についての実施要領」の改訂版および通知を発表しました。
取り急ぎその内容と、七月末に出そろう各大学の募集要項でチェックしておきたい部分についてまとめます。
追記
7月17日に公立大学協会も同様の発表を行いましたので、反映しました。
過去回
bunbunshinrosaijki.hatenablog.com
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1 文科省からの発表
大学入学共通テスト
① 2021年 1 月 16 日(土) 17 日(日)
② 2021年 1 月 30 日(土) 31 日(日)
②については,①の追試および現役生のうち「学業の遅れ」のため当該日程で受験することが適当であると学校長に認められた者が対象
全国に試験会場を置く
①と②の得点調整は行わない
成績提供は、2月8日以降
③特例追試験
2021年 2 月 13 日(土) 14 日(日)
②の試験をやむを得ない事情により受験できない者が対象
試験場は全国 2 か所
センター試験の予備問題を使う
成績提供は2月18日以降
2 国大協が発表した段取り
詳しくはリンク先の下の方にある実施要項
https://www.janu.jp/univ/exam/
追記 公立大学協会の実施要項
http://www.kodaikyo.org/?cat=26
凡例
赤色:共通テスト①②③になったための変更
青色:二次試験の追試験関係の追加
紫色:公立大学関係
日時 | 段取り |
1月16日 17日 | 大学入学共通テスト① |
1月25日~2月5日 | ①②の一般選抜出願受付 |
1月30日 31日 | 大学入学共通テスト② |
2月8日~16日 | センターから大学へ①②の成績提供 |
2月13日 14日 | 特例追試③ |
2月15日~18日 | ③の一般選抜出願受付 |
2月16日まで | ①②の推薦・総合型選抜(共通テストあり)結果発表 |
①②の第1段階選抜の結果発表(前期分) | |
2月18日~22日 | センターから大学へ③の成績提供 |
2月22日まで | ①②の推薦・総合型選抜の手続き締め切り |
③の第1段階選抜の結果発表(前期分) | |
③の推薦・総合型選抜(共通テストあり)の結果発表 | |
2月23日まで | ①②③の第1段階選抜の結果発表(中期分) |
2月25日~ | 前期日程試験日 追試申し込み |
2月27日 | ③の推薦・総合型選抜手続き締切 |
3月3日 | ①②③の第1段階選抜の結果発表(後期分) |
3月6日~10日 | 前期日程合格発表 |
3月8日~ | 中期日程試験日 追試申し込み |
3月12日~ | 後期日程試験日 追試申し込み |
3月15日まで | 前期日程手続き締切 |
3月20日~23日 | 後期日程 中期日程合格発表(なるべく22日までに) |
3月22日~ | 前期日程・後期日程の追試験 *公立は大学追試日を一律に定めていない |
3月26日まで | 後期日程入学手続き(一次)締切 *公立は中期後期とも27日まで |
3月26日~ | 前期日程・後期日程の追試験合格発表 *公立は26日まで |
3月28日~ | 追加合格者発表 欠員募集 |
3月30日まで | 追試験入学手続き締切 |
3月31日まで | 入学手続き(二次)締切 |
3 日程①②と特例追試の出願の扱い
1)②の人のために出願期間が2日延びた
共通テスト②を受験した人も、自己採点をした後出願までに多少時間ができました。なお予備校の自己採点システムはどうするのでしょう?
問題は「共通テストあり推薦」です。これは次の2タイプに分けられます。
a)11月〜12月に出願する
ア)先に書類審査面接をして共通テストの点数で最終決定
イ)共通テストの点数で一次選抜をして二次選抜をおこなう
b)共通テスト実施後数日後に出願する
ア)一次選抜なしで選考(書類だけまたは全員二次に進む)
イ)共通テストの点数で一次選抜し、合格者が二次に進む
名古屋大学はbで、おおむね金曜日が締め切りです。締め切りが変わらなければ①の人は自己採点を見て出願、②の人は共通テストを受験する前の出願になります。
2)①②③とも共通テストあり推薦・総合型に出願できる
三重大学医学部(aのイ)名古屋大学工学部(bのイ)は一次試験の点数で二次試験(個人・集団面接・口頭試問など)に進む人を判断します。
①②の結果は2月8日以降に提供です。10日までに一次選抜して受験生に連絡、12日から15日の間に口頭試問(ここまで予想)、2月16日までに発表、つまり従来より1週間ほど後ろ倒しになります。前期日程は25日のままなのでキツキツです。
問題は③を受験した人の推薦・総合型の二次試験の扱いです。
③のデータは2月18日以降に提供、結果は2月22日ですが、すでに①②の結果は発表されています。
aのアやbのアの二次なしの場合は、共通テストの点数でわかれば合否判定できますが(ただし共通テストとセンター試験を同列に扱ってよいかは問題)、aのイやbのイの場合は、③の受験者だけ別枠で二次試験をする段取りでしょうか。
三重大学医学部医学科は例年通りだと集団討論があります。特例の方は人数が少なかった場合個人面接だけになるのでしょうか。
とはいえ特例追試の前(たとえば2月12日)に「①②の人一緒に③の人も面接する」のは、③の試験日と試験会場(全国2か所)からおそらく不可能です。
大学の発表を待ちたいです。
3)特例追試③の人も「第一次選抜」の対象になる
前期日程の3日前に「不合格のお知らせ」をもらうことになります。(´・ω・`)
ただし③はセンター試験の問題なので、推薦の一次選考同様①②の人と点数を同列に扱ってよいのか疑問は残ります。
4 前期後期日程の追試
1)追試の対象者
国大協の国立大学への通知
個別学力検査の追試験の対象者については、3.受験生に対する要請事項の[②受験できない者][③受験の取り止め][④試験当日における対応]を踏まえ、『新型コロナウイルスに罹患し、試験日までに医師が治癒したと診断していない者や、試験直前に保健所等から濃厚接触者に該当するとされた者。また、発熱・咳等の症状があり、試験当日の検温で37.5度以上の熱がある受験生』を基本とし、各大学でご判断をお願いいたします。
罹患した本人および「濃厚接触者」は医師の診断書がもらえるでしょうが、試験当日の検温で追い返されたり、朝起きたら熱があった場合はどうやって自分が追試対象者かを証明するのでしょう。発熱の診断書でOK?
なお先日実用英語技能検定で試験前のヘルスチェックで長蛇の列が発生したことは記憶に新しいです。共通テストや個別試験は係の人が多いから大丈夫ですよね?
https://togetter.com/li/1550277
2)前期も後期も合格?
要項の中に次のような但し書きがあります。
○ 合格者の入学手続について
一つの国立大学に入学手続を完了したときは、それ以後にこれを取り消しし、他の国立大学へ入学手続をとることは原則認められない。
今年度に限り「前期日程」「後期日程」追試験の合格者はこの限りではない。
国公立大学は前期・後期(公立中期)を同時に出願します。通常は前期の方が定員が大きいので第一志望を前期、定員の少ない後期は「まあ行ってもいいか」という大学に志望を下げて出願します。
前期に合格して手続きすれば、受験番号がセンターに送られ、仮に中期や後期の試験を前期手続き前に受験していても、合格者から除外されます。
なお公立大学の中期日程を受験し、国公立前期に落ちて後期を受験し、中期後期両方とも合格した場合は、どちらかを選ぶことができます。
*無駄話ですが、第一志望に落ちて行きたくもない中期と後期とふたつも国公立大学の合格を勝ち取るとなぜか国立至上主義高校では喜ばれます。
今回、こういうことが起きるのでは?
2月5日 前期後期を出願した
2月25日 37度5分以上の発熱で受験できず 。゚ヾ(´A`)ノ゚。ゥワァーン
追試の手続きをした
2月26日 ケロッと回復 検査も陰性
3月12日 後期を受験した
3月22日 前期の追試を受けた
後期合格の知らせが届いた ☆⌒(*^∇゜)V
3月26日 後期の一次手続きをした
前期の追試が合格した v( ̄∇ ̄)v
国大協の要項には具体的なことが書いてないのですが、文言からすれば可能だと思います。中期の公立も合格すればひとりで国公立3つ合格です!国立至上(以下略)。
3) 大学は追試を作ることができる?
私立大学は複数日程が一般化していて、似た問題を何セットも用意していますが、国立大学は、前期・後期でさえ等質な学科試験を用意するところは珍しく、後期は小論文や面接というところも多いです。
また旧帝大の多くは前期一発勝負です。
国公立大学は前期・後期とも本試・追試用の同難易度の問題を作成する必要があります。もし「追試は共通テストの成績だけ」ってことになると不公平が生じますし、特に前期の二次が難問でかつ配点の高い大学がそれをやると大量の発(以下略)。
おわりに
今回は国大協の発表を見てぶんぶんが素朴に疑問に思ったことを書いただけですので、今後新しい情報でその疑問は解決するかもしれません。その場合は逐一お知らせする予定です。
ここに上げた以外に、大学には合格・手続きした受験生を以後の入試の合格対象者から除外するための作業もあります。非常にタイトなスケジュールで、かなり知恵を絞られたと拝察しますが、ひとつでも綻びがでると大変です。
各大学は募集要項に修正を加えて七月末までに発表の予定です。お待ちしています。
なお今回の発表はあくまで文科省の「2回の共通テスト+特例センター試験」に「二次試験の追試」という無茶ぶりに、国大協が何とか整合性を取った感じです。
つまり「何事もなく入試が行える」前提のプランであり、「新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波」を想定したプランは別に考える必要があります…。