ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

どうなる?2019年度(2020年度入学者選抜)入試

 受験生のみなさんは自己採点の結果が返ってきて、三者面談をした後に国公立大学の出願です。

 本日は大学入試センターの発表と、河合塾のHPの分析を参考に、今年のセンター試験の様子を解説します。

公式

www.dnc.ac.jp

河合塾

www.keinet.ne.jp

 

1 志願者数

 志願者数は557,699 人(前年度比 19,131 人減)。内訳は現役生452,235 人(同12,715 人減)、既卒者100,376 人(同 6,306 人減)その他(高卒認定等) 5,088 人(同110 人減)と減少しました

 「どの程度の生徒が実際に受験したか」の目安になる本試験の外国語受験者数も519,303人(昨年538,603人)と減少しました。

 おそらく「浪人するとポンコツ入試改革に巻き込まれる」という心理が働いたからだと思います。

 浪人したら英語検定の受検が必要になるのに文科省も業者も浪人生のことは考慮していない、自己採点不能記述式が課されるなど問題点が次々と明らかになるのに大臣は「身の丈」と言い放つ、「そんな入試につきあいたくない」と思って当然です。

 そこへ大都市圏の私立大学の定員厳格化です。大都市圏の受験生はさっさとAOや推薦で私立大学に進学を決め、センター試験も受験しない、受験してもリサーチには参加しない、ということになります。

 

2 成績

大学入試センター発表の中間成績 HPより

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 河合塾が実施した自己採点集計「センター・リサーチ」参加者(418,004人参加)の平均点を集計によると、英語(筆記-6.8 リスニング-2.6)、数学(ⅠA-7.7、ⅡBー4.2)国語(-2.2)の主要3教科で昨年より平均点がダウンしています。

 とくに7.7点ダウンとなった「数学Ⅰ・数学A」は、河合塾によると「複雑な設定で解答方針が立てにくい問題や参考書等であまりみかけない問題が出題され、苦戦した受験生が多かった」という分析です。(´・ω・`)

*この趣旨が「次の年から共通テストになるから先取り」なのか「思考力を試す問題をセンター試験の枠組みで十分できるというデモンストレーション」なのかは不明です。なお理科・地歴公民は昨年と難易度はあまり変わっていません。

 このため5教科7科目のリサーチ平均は文系が559.1(-22.0)理系が564.4(-19.2)と下がりました。文系型、理系型とも上位から6割ぐらいまでが全体的に減少、つまりボーダーラインも全体的にさがっています河合塾のHP参照)。

 特に文系の8割以上の生徒が3割程度減っています。彼らにとって「数学ⅡBは鬼門」なので、特に難関を狙う生徒は数学ⅠAでしっかり得点することが必要です。しかし数学ⅠAの難化でそのグループが点数を減らし、難関文系(旧帝大+一橋+神戸)のボーダーラインを下げているようです。

 

3 系統別動向

 河合塾の分析では、

① 国公立大志望者は減少

 センターの失敗で希望する大学に届きそうにないから、受験機会が複数ある私立大学にシフトする(特に文系)、また行きたくもない国公立大学の後期試験は無駄だから出願しない、というお気持ちでしょう。ヨチヨチ( *´д)/(´д`、)アゥゥ

 センター受験者が減った上にセンター失敗で国公立受験者が減れば、「家の事情で是が非でも国立」という人にはチャンスです。

② 社会科学系・資格系で志望者減

 「法・政治」「経済・経営・商」はここ2年過熱気味でした。景気が悪いときに乱立した「医療」「栄養」も出願予定者が減っています。ブラックな実態が明るみになった教員養成系は安定の人気薄です。(´・ω・`)

③ 情報系の人気は継続

 ブリブリ理系の「情報工学」に文系っぽい「データサイエンス学部」、どちらもお祭り状態です。長崎大学福知山公立大学には情報学部が新設されました。これでAIに仕事を乗っ取られることもなさそう?。゚ヽ(゚´Д`)ノ゚。 ヤッターン♪

 

4 「アナウンス効果 

 受験産業が「集まりすぎ」というとふたを開ければ低倍率、逆に「過疎っているから穴場」と宣伝すると受験生が集中する、は受験の世界では日常茶飯事です。

 また集まっている大学も「箸にも棒にもかからない」層が膨張しているのか、合否に関わるラインに人が集中しているのかで難易度が変わります。

A大学           B大学        
86         86        
84       84      
82       82 □   
80     80
78     78  
76       76  
74   74    
72   72    
70 □    70  

 縦軸が得点率、横軸が人数、□が受験生の度数分布で☆がボーダーライン(合否50%)とします。

 A大学はボーダー得点率82%で人数もまあまあ来てますが、合否に直結するところにはあまり人がいない、高得点者の少数精鋭入試になっています。

 B大学はボーダー得点率80%で、その前後に人が多いです。うっかりしていると逆転される、厳しい入試になりそうです。

 さて▲さんはA大学のボーダー下です。勝負を回避してB大学に志望変更しても、そこはボーダーライン上で受験予定者多数、B大学はますます激戦になります。

 一方▼さんがB大学に志望変更しても合格圏外、この層の流入でB大学の倍率が上がっても入試難易度に変化はありません。

 したがって▲さんはそのままA大学で逆転を狙った方が得策、▼さんはさらに違う大学を探した方がいい、と言えます。

 この辺の情報は大学ごとに違いますし、流入・流出が大きい・小さい大学はどこかというのは企業秘密(笑)です。

 業者が主催する担任向け「センター試験分析報告会」では詳細な情報が示されます。受験生は名目上の倍率に振り回されず、三者面談で担任の話を聞きましょう。

 

5 業者によって判定が全然違うんですけど!

 某ポータルサイトの質問コーナーでよく見かける質問です。どうやってボーダーライン(合否判定)を決めているかは各業者の秘密事項ですが、ネットで言えることは、次のようなことです。

  • 業者によって母集団の数やどの地域のデータ量が多いかが違う
  • 業者によって記入できる数が違う(国公立の記入数はセンターリサーチは5校、データネットは4校)
  • 予想するための過去データ(模擬試験の結果と合否)が違う
  • ドッキング判定に利用する模試が当然違う

 

 しかし自己採点のデータは「終わった」数字、いくら判定システムで大学をあれこれ探しても点数はあがりません。受験生がすべきことは勉強です。過去は変えられませんが未来は変えられます。

 よく担任と相談して志望校を決めて、合格に向けて勉強しましょう。

 

過去回 

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

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