集中豪雨で被害に遭われた方々に対して心からお見舞い申し上げます。
私が住む県も2014年に線状降水帯に襲われて「大雨特別警報」が発令されました。同じエリアに次から次へと雨雲が集まり、県内各所で被害が発生しました。
その日は部活の県大会で出張中(本番中に客席のスマホが一斉に鳴りました!)、生徒の帰宅を手配しているうちに電車も道路も次々とストップしてしまいました。
私は帰る手段がなくなってホテルに泊まりましたが、国道をはさんだ川沿いの地区には避難指示が出されるなど、明け方まで気が気ではありませんでした。
さて6月に水防法が一部改正されて「現行の洪水に係る浸水想定区域について、想定し得る最大規模の洪水に係る区域に拡充して公表」されることになりました。
明日は我が身、早速近所の川の「想定最大規模洪水により浸水が想定される区域」を見てみました。
国土交通省 木津川上流河川事務所
浸水予想区域図→淀川水系木津川上流域洪水浸水想定区域図・家屋倒壊等氾濫想定区域→想定最大規模→全体図 重いので注意。
よよよ!!
私の実家は「想定最大規模」の洪水だと最大3m浸水するエリアです!!!!!
一階はレコーダー、本、ぬいぐるみ(笑)でいっぱいです。これらは二階に上げられても仏壇は無理。ご先祖様ごめんなさい(泣)。
*発展 輪之内町で昔の「水屋」(河川の氾濫に備えた家)を見学したら、水害に備えて仏壇を二階にリフトするシステムがあって驚愕しました。
いや、待てよ。
私の居住エリアは三つの川が合流して一本の川になります。その合流部分が狭窄しているため、これまでもたびたび水害に見舞われています。
狭窄を開削すると今度は下流の市町村に洪水の被害が及びます。
そこで川の周辺に広大な「遊水池」を作り、河川が氾濫したら水をためて洪水を防ぐという対策がとられました。
国土交通省 近畿地方整備局 木津川上流河川事務所発行のパンフレット
勉強のために実物を見てきました。
越流堤。堤防を一部低くして河川が氾濫したら遊水池へ水を誘導する。
増水が収まったら水門が開いて遊水池の水を川に戻す。
遊水池エリアは普段は農地。
「これで万全!」と思いきや、「計画規模」の洪水でも遊水池(地図上の黒色部分)が満タンで周囲の住宅地も浸水、「想定最大規模」の洪水だとさらに被害エリアは拡大します。
遊水池だけでは想定される最大規模の水害を完全に防げない、ということです。
では「想定最大規模」の洪水はどの程度の雨を想定しているのでしょうか。
説明では「上流での9時間雨量360mmを想定」したシミュレーションだそうです。
今回の朝倉市の降水量は、気象庁や新聞各社の報道によると「6日午前0時20分までの24時間に516mm、そのうち9割以上は5日正午以降」(午後3時40分までの1時間に129.5mm!)だそうです。
素人が乱暴な計算をすると、正午以降の9時間の雨量は、516×0.9÷12×9=348.3mm、「想定最大規模」に匹敵する降水量です。
私の生活エリアは四方が山で中心が高台という「鉢に載せたプリン」のような地形です。「最大規模」でも旧町内や市役所、学校は健在です。
しかし低地部分には多くの住民が生活していますし、工場やショッピングセンターなど市民生活を支える施設も多数存在します。
治水と砂防は国や自治体の最大の仕事です。「想定最大規模」を公開して「お宅は危ないですから早めに避難して下さい」だけではなく、川底を深くするなどリスク低減にとりくんでほしいです。
お近くの河川で同じようなシミュレーションが公開されている場合は必ず調べましょう。
命あっての物種、世の中「想定外」だらけです。最後は「逃げ勝ち」、浸水しない地域の中でもより高いところを避難場所にしましょう。
*発展 ダム工事が各地で見直される中、利水→治水と目的を変えて計画が進む(現在まで本体着工には至っていない)川上ダムに、遊水池でカバーできない役割が期待されているようです。ただしネットを検索すると川上ダムには賛成、反対両論があるようです。
一部こちらを参考にしました。