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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

私大入試を復習して難関国立の世界史に備える

 私立大学の入試も終盤です。近畿圏では関関同立の一般入試が一巡しました。

 

 近畿圏私立大学の世界史の入試問題を10年分見ると、過去問から出題される(「かぶせ」問題)場合と、同じ年に複数の大学(あるいは同じ大学の別日程)で似たような問題がでる場合があります。しかもそれらが合否に直結する「崖っぷち問題」だったりもします。

 さらに難関国立と難関私立の間で問題が「かぶる」こともあります。特に京都大学同志社大学立命館大学では東洋史、教養もの(文化史や常識もの)、反権力ものがよく出題され、当然似たような問題に出くわします(理由は諸説あり)。

 

 大学の先生は基本的に同じような問題意識を共有していますし、日常的に研究会や学会で情報交換をしています。また学会のトレンドも現代の課題とリンクしています。

 したがって私立大学の入試問題を復習して関連事項を洗い出しておくと、近隣の国公立大学(首都圏だと早稲田、慶応)の準備になります。

 

 今日は近畿地区の2017年度世界史入試問題の大問で何が出題されたかを整理し、京都大学大阪大学の直前復習ポイントについて考えます。

 受験生は最終チェックに、新3年生は来年の準備と思って読んでください。

 入試問題は河合塾、東進、代ゼミのサイトを参考にしました(問題は新聞社のサイトに飛びます)。実物はそちらに当たってください。

 

*発展1:私は東進の「過去問データベース」がお気に入りですが、今年度はMARCH及び関関同立の世界史の問題掲載が少ないです! 更なる頑張りを期待します。

 

*発展2:私立大学や国公立大学の一般入試は概ね大学の夏休みに作られるので、前年度の9月~今年度の9月の時事問題と関連性のある事項が問われることがあります。立命館大学では今年度はスコットランド、2015年度はウクライナの歴史が出題されました(早稲田の文化構想の今年の問題で「国立西洋美術館の設計者の名前は?」とありました。舌噛みそうなあの人(笑))。

 ただ通常はもう少し「曲げて」きます。最近は米中の覇権争いを睨んでか、「清朝冊封体制の崩壊」「アメリカの対外膨張」がよく出題されています。グローバル化については「モンゴルの世紀」「大航海時代」「大西洋の三角貿易」など過去のグローバル化の様相に関する問題が頻出です。

 東京大学はここ3年覇権主義グローバル化、冷戦ときっちり現代社会の問題点を突いています。個人的にはそろそろ「宗教の寛容」についてメッセージを発信して欲しいのですが。

 

*発展3:国立至上主義の高校には「私立に合格するとモチベーションが下がるので受けるな」といった指導をする先生がいるそうですが、世界史に関しては私大の入試問題を解きながら関連事項を洗い出し、批判精神を培う必要があります。最難関国立大学文系にこのビジネスモデルは通用しません。

 

 

同志社大学 大問3題 6日分

1

儒教

ヨーロッパ科学史

戦後の東南アジア、西アジアの独立

2

ゲルマン人の世界

19世紀のヨーロッパ文化

孫文蒋介石魯迅毛沢東

3

遊牧民と中国王朝

17,18世紀のヨーロッパ文化

インドの植民地化と民族運動

4

唐の土地制度と税制

ヨーロッパ主権国家体制

アフリカの奴隷貿易、分割、独立

5

古代オリエント

ルネサンス19世紀の宗教と思想

サウジアラビア西アジア近現代史

6

イベリア半島北アフリカイスラーム王朝

アメリカ独立戦争19世紀

アフリカ戦後史

 

  • 大西洋の三角貿易は難関私立、国立大学を受験するならマスト知識。昨年大阪大学で出題された「アカプルコ貿易」「アシエント」など、名前だけ覚えずに構造を理解すること。関連事項としては19世紀の移民も大阪大学が好きなテーマ。

 

関西学院大学 大問5題 3日分のみ入手

1

ローマ帝国キリスト教

アメリカ合衆国の独立

律令制度

ヨーロッパ技術史

WW1後の民族自決

2

ギリシアとローマの文化

19世紀のドイツとフランス

チベット

アフリカ19~20世紀

朝鮮半島19世紀~20世紀

3

アイルランド

中華民国中華人民共和国

農業と農産物

唐代の東アジア

キリスト教の成立と中世世界

 

 

立命館大学 大問4題 3日分のみ入手

1

郡県制と封建制

第一次世界大戦

イタリアと主権国家体制の展開

アメリカ合衆国の拡大と帝国主義

2

三武一宗の法難

元曲

地中海の海賊

ド=ゴールの時代

3

女真族

第二次世界大戦

古代オリエントギリシアの文字の歴史

スコットランドアイルランド

 

  • 3の1は面白い問題。京都大学の入試に向けて、女真族鮮卑女真、モンゴルなど非漢族王朝の統治システムや宗教政策をタテヨコ比較する練習をしておくとよいかも。また同志社大学の入試問題にも隋唐を「拓跋王朝」と捉えるリード文があった。この辺が国立の論述で狙われるかも。
  • 京都大学は東洋前近代史の論述が2年飛んだので、今年は来るとの噂。もちろん一問一答で制度史などに穴を作らないのは当然。
  • アメリカの覇権に関する問題が同志社と同じく出題されている。

 

 

まとめ

 

  • 中国前近代の制度史、経済史、学問・宗教史、遊牧民・周辺関係史はノーミスクリアが基本。
  • 「覇権」に関わること(冊封主権国家体制、帝国主義、冷戦)は論理にもとづいて具体例があげられるようにする。特に中国とアメリカ合衆国(「パクス=ブリタニカ」はさすがに頭に入ってますよね?)。

 

 国立の前期入試は10日後。早稲田と慶応も未だ入試を残しています。第一志望の過去問だけではなく、今年の傾向にも注意して復習してください。