センター試験まであと1ヶ月、今から新しい知識を詰め込んでも本番で使えるか微妙なラインです。すでに勉強した内容の精度を高めることも重要です。
今回は過去5年の出題から、地域別に試験の狙いと復習ポイントについて考えます。
初回はヨーロッパ史です。
センターの過去問は高校生のために公開されています。著作権法第36条の範囲内(公開されている物、本論が主、改変しない)で引用します。現物は大学入試センターその他のサイトを参照してください。
入試問題と著作権 - 入試問題としての著作権利用の問題点|日本著作権教育研究会
資料について
・正解がヨーロッパ史の知識の関わるものを抽出した
・正解選択肢の時代別でソート
・表の略語
- 古典古代:ギリシアとローマ
- 中世:ゲルマン人の移動~中世文化
- ルネサンス:大航海時代~宗教改革
- 主権国家:16~17世紀
- 重商主義:17~18世紀
- 二重革命:産業革命、アメリカとフランスの革命
- ウィーン体制:19世紀前半
- 国民国家:19世紀後半
- 帝国主義:1870年代〜第一次世界大戦
- WW1:第一次世界大戦前後
- 戦間期;1920年代〜第二次世界大戦
- WW2:第二次世界大戦前後
- 冷戦:1940年代~1989年
- ポスト冷戦:1990年以降
年度 |
問 |
タイプ |
ジャンル |
キーワード |
難 |
時代 |
2012 |
1 |
トピック |
政治 |
ホルテンシウス法 |
◎ |
古典古代 |
2012 |
5 |
トピック |
文化 |
◎ |
古典古代 |
|
2013 |
4 |
トピック |
政治 |
ドラコンの立法 |
○ |
古典古代・中世・重商主義 |
2013 |
23 |
タテ |
文化 |
◎ |
古典古代 |
|
2014 |
32 |
トピック |
文化 |
◎ |
古典古代 |
|
2015 |
30 |
トピック |
政治 |
◎ |
古典古代・冷戦 |
|
2015 |
32 |
トピック |
文化 |
コロッセウム、球戯場の誓い |
◎ |
古典古代・二重革命 |
2015 |
34 |
トピック |
文化 |
ヘレニズム科学 |
△ |
古典古代 |
2016 |
19 |
トピック |
政治 |
カイロネイアの戦い |
△ |
古典古代 |
2016 |
32 |
タテ |
文化 |
◎ |
古典古代 |
|
2012 |
8 |
ヨコ |
政治 |
○ |
中世・ルネサンス |
|
2013 |
14 |
ヨコ |
政治 |
東欧の民族と宗教、バルカン同盟 |
△ |
中世・WW1 |
2013 |
17 |
資料 |
都市 |
◎ |
中世 |
|
2013 |
19 |
タテ |
政治 |
◎ |
中世 |
|
2013 |
32 |
ヨコ |
政治 |
ノルマン人 |
○ |
中世 |
2013 |
33 |
ヨコ |
文化 |
○ |
中世 |
|
2014 |
14 |
トピック |
政治 |
ドイツの王権 |
◎ |
中世 |
2015 |
3 |
タテ |
政治 |
イギリス |
○ |
中世 |
2015 |
8 |
トピック |
文化 |
△ |
中世 |
|
2012 |
9 |
整序 |
文化 |
△ |
||
2012 |
23 |
トピック |
都市 |
◎ |
||
2012 |
34 |
トピック |
政治 |
ルターの宗教改革 |
○ |
|
2013 |
15 |
トピック |
経済 |
経済政策 |
◎ |
|
2014 |
27 |
トピック |
都市 |
◎ |
||
2014 |
30 |
トピック |
文化 |
○ |
||
2015 |
13 |
トピック |
政治 |
トルデシリャス条約 |
○ |
|
2016 |
3 |
トピック |
文化 |
ホルバイン |
△ |
|
2016 |
9 |
整序 |
文化 |
△ |
||
2014 |
19 |
トピック |
政治 |
◎ |
||
2016 |
1 |
トピック |
政治 |
イヴァン3世・ナポレオン3世・ヴィルヘルム2世 |
◎ |
|
2012 |
22 |
資料 |
都市 |
ポルトガルの拠点 |
◎ |
|
2013 |
7 |
トピック |
政治 |
法律 |
○ |
|
2013 |
13 |
トピック |
都市 |
オランダ、ニューアムステルダム |
◎ |
|
2013 |
31 |
タテ |
政治 |
◎ |
||
2013 |
34 |
トピック |
政治 |
マリア=テレジア |
◎ |
|
2014 |
12 |
トピック |
経済 |
ユンカー |
◎ |
|
2014 |
31 |
ヨコ |
政治 |
ピョートル1世 |
◎ |
|
2014 |
34 |
トピック |
政治 |
ディオクレティアヌス、ナントの勅令廃止 |
◎ |
古典古代、重商主義 |
2015 |
4 |
トピック |
政治 |
君主のしたこと |
◎ |
|
2015 |
5 |
ヨコ |
文化 |
デフォー、スウィフト |
◎ |
|
2015 |
14 |
資料 |
都市 |
ゴア |
◎ |
|
2015 |
19 |
トピック |
政治 |
◎ |
||
2015 |
29 |
トピック |
政治 |
イサベル、アン女王 |
○ |
|
2016 |
7 |
ヨコ |
政治 |
ピョートル1世 |
◎ |
|
2016 |
12 |
年号 |
政治 |
○ |
||
2016 |
13 |
整序 |
政治 |
イギリス立憲王政の確立 |
○ |
|
2016 |
31 |
ヨコ |
政治 |
植民地 |
◎ |
|
2016 |
2 |
トピック |
経済 |
十分の一税、代表なくして課税なし |
◎ |
中世・二重革命 |
2016 |
11 |
トピック |
経済 |
ギルドの説明と廃止 |
○ |
中世・二重革命 |
2016 |
15 |
整序 |
政治 |
○ |
二重革命 |
|
2013 |
35 |
タテ |
政治 |
選挙法改正 |
○ |
|
2015 |
18 |
年号 |
政治 |
△ |
||
2012 |
26 |
ヨコ |
政治 |
◎ |
||
2012 |
35 |
資料 |
エリア |
南チロル |
◎ |
|
2013 |
8 |
トピック |
政治 |
○ |
古典古代・国民国家 |
|
2013 |
9 |
年号 |
政治 |
19世紀アメリカ |
◎ |
|
2013 |
18 |
トピック |
政治 |
ロンドン万博、マルタ会談 |
○ |
国民国家・冷戦 |
2014 |
16 |
トピック |
政治 |
◎ |
||
2014 |
17 |
年号 |
政治 |
△ |
||
2014 |
36 |
年号 |
政治 |
パリ=コミューン |
○ |
|
2015 |
16 |
トピック |
政治 |
ジョンケイ、アメリカの綿花、ナイロンの発明 |
◎ |
|
2012 |
11 |
年号 |
政治 |
△ |
||
2013 |
36 |
年号 |
政治 |
○ |
||
2015 |
7 |
年号 |
政治 |
△ |
||
2012 |
27 |
年号 |
政治 |
日本が南洋諸島を占領 |
○ |
ww1 |
2014 |
22 |
トピック |
政治 |
ww1の背景 |
◎ |
ww1 |
2014 |
23 |
ヨコ |
政治 |
ww1の処理 |
◎ |
ww1 |
2014 |
18 |
整序 |
政治 |
◎ |
||
2014 |
20 |
トピック |
政治 |
スペイン内戦 |
◎ |
|
2015 |
15 |
トピック |
政治 |
ローマ進軍 |
◎ |
|
2015 |
26 |
トピック |
政治 |
ミュンヘン会談 |
◎ |
|
2016 |
14 |
整序 |
政治 |
フーヴァーモラトリアム |
◎ |
|
2016 |
26 |
トピック |
文化 |
◎ |
||
2016 |
27 |
整序 |
政治 |
○ |
戦間期・冷戦・ポスト冷戦 |
|
2012 |
15 |
トピック |
政治 |
バルト三国の併合 |
○ |
中世・国民国家・WW1・WW2 |
2013 |
3 |
トピック |
政治 |
第二次世界大戦中の出来事 |
◎ |
ww2 |
2014 |
35 |
ヨコ |
政治 |
ド=ゴールとペタン |
○ |
ww2 |
2012 |
13 |
ヨコ |
政治 |
東欧の民主化 |
○ |
冷戦 |
2012 |
14 |
トピック |
政治 |
戦後のドイツ |
◎ |
冷戦 |
2013 |
16 |
トピック |
経済 |
経済統合 |
○ |
冷戦 |
2014 |
6 |
トピック |
政治 |
○ |
冷戦 |
|
2014 |
7 |
トピック |
政治 |
アデナウアー |
○ |
冷戦 |
2014 |
8 |
資料 |
都市 |
ソ連のベルリン占領区域 |
◎ |
冷戦 |
2014 |
21 |
トピック |
政治 |
東方外交 |
○ |
冷戦 |
2014 |
24 |
整序 |
政治 |
ニュルンベルク国際軍事裁判 |
◎ |
戦間期・ww2・冷戦 |
2015 |
6 |
トピック |
政治 |
マルタ宣言 |
◎ |
冷戦 |
2015 |
20 |
トピック |
政治 |
○ |
冷戦 |
|
2016 |
24 |
トピック |
政治 |
ANZUS |
◎ |
冷戦 |
2014 |
9 |
トピック |
経済 |
ユーロ |
◎ |
ポスト冷戦 |
1 ギリシア・ローマ史
アテネとスパルタ、ギリシアとローマをシャッフルする問題は定番です。
アテネとローマの歴史が民主政治や帝国の概念と人名を道標にスラスラ言えるのが第一関門。キリスト教の歴史や文化史の人名と作品名が判別できると高得点。
2 中世史
某大学のように背景や意義をこってり聞かれる訳ではないので(笑)、諸民族、教皇、都市、中世王権の「いつ、どこ、誰、何」が判別できるように。
ビザンツと東ヨーロッパは上級者向けです。ビザンツ帝国の歴史、東ヨーロッパはどこ、誰、民族、宗教を判別できるようにしたいです。
2013年
大航海時代は国名、人名、場所の照合です。地図は大事。ルネサンスも場所、人名、作品名の照合で受験生を削ります。宗教改革は名前よりも内容。
4 主権国家
単独での出題は少ないですが、国王の名前からどこのことか即答できるようにしましょう。
5 重商主義
頻出範囲。啓蒙専制君主は私立でも差がつくところ。各国のストーリーが入っているだけでなく、君主から王朝や業績を思い出すシャッフル復習が必須。
2013年 マリア=テレジアについて
6 二重の革命
産業革命の誰が何はマスト知識。アメリカ独立革命は出来事の整序、フランス革命は「この出来事はどの議会の時のことか」が典型出題です。
7は単独での出題は少ないですが、私立では頻出範囲でラテンアメリカの独立、七月革命と1848年革命の比較が紛らわしいところです。
8は英、仏、伊、独の国民国家形成、合衆国の発展と南北戦争と頻出範囲が目白押しです。ここが取れれば高得点。
2013年 ⑧は19世紀
三年生の後半に怒濤のように覚えることが増え、しかもセンター試験でがんがん出題されます。新科目「歴史総合」の本丸なので今後も出題増加が予想されます。
授業の知識が頼りです。定期考査の問題を復習しましょう。また事項を見て9~12のどの時代のどこの国のことかが言えるか、センター演習をして抜け漏れがあれば教科書に戻る、を繰り返しましょう。
2016年
13 冷戦 14 ポスト冷戦
「だから手が回らないって」と言いたいです(笑)。冷戦の展開(10年刻み)、各国首脳の有名どころの業績(アメリカはトルーマン~ブッシュ子まで、ソ連はフルシチョフ、ブレジネフ、ゴルバチョフ)の記憶は最低ライン。資料集に西欧、東欧、米ソの各国史をまとめた親切なページがあります。
2015年 ⑥は冷戦
まとめ
- 基本は「いつ、どこ、誰、何」の判別です。20世紀以降は整序問題が増えます。「ストーリーに沿って事項が言える」と「シャッフルで知識を取り出す」の双方向で抜けと漏れをチェックしましょう。
- 国民国家の成立に関わる5、8、11は重点復習ポイントです。
- 3、13など「グローバル化」も注目です。この2つが新科目「歴史総合」の主題です。
おわりに
歴史は事件の時系列な羅列ではなく、証明したいことがまずあって、それに基づいて事項が取捨選択されています。
ヨーロッパ史を復習するときには、国民国家とグローバル化の光と陰を「ふーん」と思うことが、受験目前の詰め込み段階でも忘れてはいけない観点です。
次回は中国史。