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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

三年生11月 大学の面接試験に臨む(2 自己アピール)

推薦入試の面接試験について考える 後半です

 

前半はこちら

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

 

NHKEテレ、『テストの花道』の旧放送分を参考にしています。

NHK テストの花道 - 過去の放送 -「勝つ面接へ!3つの極意」

NHK テストの花道 - 過去の放送 -「AO・推薦入試対策シリーズ(3)"伝わる"面接」

 

話の都合上、医学部医学科と看護学科が中心です。

 

 

4 面接の本丸、「志望先にふさわしい資質」をアピールする


 志望理由は「言えて当たり前」です。面接官が注目しているのは受験生が「志望大学、学部にふさわしい資質があるか」です。それは面接のすべての場面で見られています。

 その資質は、どの学部でも共通な「基礎学力」と、学部ごとの「専門予備知識」に分類できます。

 


(1) 基礎学力

 

① 応答能力

 面接官の発問の意味を理解して意図を見抜き(思考・判断)、自分の考えを構成して(知識、技能)、面接官に伝わるように述べる(表現力)ことができるかが評価されます。

 この力は準備していない質問に対する応答で差が出ます。自分の経験をつなぎ合わせて、志望学部で求められる資質をベースに適切な応答ができるようにしたいです。

 

② 論理的表現力と主体性

 例えば「高校生活で最も印象に残っていることは」という発問に対して「部活動です」と答えるだけ、あるいは苦労話を長々と話しても評価されません。面接官が見たいのはリーダーシップ、計画力、我慢強さ、発想力など受験生の主体性です。

 部活動や生徒会活動の話であれば、どのようなプロセスを踏んだのか、そこから何を学び、次の進路でそれをどう活かそうと考えているのか、を論理的に表現したいです。

 

③ 積極性と柔軟性

 集団討論では、自分の意見を言うだけでなく、相手の話を理解してよりよい方向に議論を導くことができるか、が評価されます。言い換えると積極的と協調性、独創性と柔軟性をバランスよく兼ね備えているか、です。自分の都合のいい結論に議論を誘導しようとするのはよくありません。

 

 つまり面接試験はペーパーテスト同様に学習指導要領の「学力」(知識、技能、思考、判断、表現力、主体性)と、経済産業省が提唱している「社会人基礎力」(前に踏み出す、考え抜く、チームで働く)を評価しているといえます。

 これらは試験直前に「対策」できるものではありません。平素の「当たり前のことを当たり前にする」積み重ねによって身につきます。筆記も積み重ねですが、それ以上に普段のものの見方や考え方、学習態度が問われます。

 

 欲を言えば「キラッと光る何か」(「丸暗記」しても意味がないので企業秘密)を応答の中で示したいですが、それも平素の積み重ねによります。

  ただ面接官の前でそれを表現するのは難しいです。だから受験生は必ず先生の面接練習を受け、自分の思いが伝わるか、第三者の厳しい目で精査(笑)してもらってください。

     いい先生に見てもらうと自分では気がついてない「キラッと光る何か」を引き出してもらえるかもしれません。

 


(2) 専門予備知識

 

①  志望大学・学科の特性に関する十分な理解と明確な志望動機

 志望動機の場面から「専門予備知識」は見られています。

 看護学部の志願者は判で押したように「幼少の頃に入院をしたとき、看護師に親切にしてもらったので」と志望動機を述べますが、大事なのはその次です。

 そこから看護師という職業や必要とされる資質、医療を取り巻く社会状況などを調べ、その上で「やはり私は看護師だ」と思った次の動機を言う必要があります。

 さらに志望大学の特徴を十分理解し「私の夢を実現するにはこの大学でなければならない」と自分の言葉で表現します。

 ただし面接のために丸暗記した知識を並べ立てても相手はプロですからすぐバレます。まず志望動機があって、色々調べた結果、「この職種や志望大学に行き着いたと」いうのが自然な流れです。

 

*発展 某旧帝大の保健学科を志望する生徒の面接練習をしたことがありますが、「母親が看護師」「専門看護師になりたい」から話が進みません。動機の詳細、職種の内容、大学の研究内容、近隣の大学との違いについて質問したら答えられませんでした。

 そこで当該大学の求めること(アドミッションポリシーの核心)について話し、家に帰って研究内容を調べ直し、最初の動機である母親から仕事のことを詳しく聞くように指導しました。

 その結果、母親の背中を見て育った自分が「看護師になりたい」と思った本当の理由に気づき、それを実現するにはこの大学が適していることがわかり、志望を心の底に落とすことができました。

 

② 頻出テーマや重要語の基礎的知識

 志望動機に関連してその学部に志願する以上は知っているはずのこと、それに対するあなたの考えが質問されたりします。

 医療系学部の志望者であれば「再生医療」「インフォームドコンセント」「QOL」など、医療技術や患者との関わりなど医療現場の問題、医療に関する政治や社会の問題について知識があって当然です。

 「ネタ本」で重要語句を暗記する人もいるようですが、普段から新聞やテレビで医療関係のことがあれば常にチェックし、必要なキーワードを正確に知識にします。その上で賛成と反対の双方の意見が言えるようにするために「ネタ本」を読むのは効果があります。付焼き刃はすぐバレます。

 

 

③  志望学部に必須のものの考え方や態度

 医師や看護師は人間の命、身体と心を引き受ける重い職業です。医療従事者としての「倫理観」(生命の尊厳)がまず求められます。またチームの中で働くことができる、患者やその家族と適切な関係が築けるなど、他者を尊重しコミュニケーションがとれることも必要な適性です。また医療は日進月歩しますから、自己研鑽力や新しい知識を吸収できる素直さ、客観的に物事を見る力、柔軟な思考も必要です。

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 ②と同じで、普段から「私は医療関係に進学する」と心に決め、自分の志望先に関する新聞記事や本を読んだり、医学部に言っている先輩や医師に取材したりして、医療現場で必要な資質は何かを「自分の心の中に落とす」ことが必要です。

 

*「そんな暇がないです、評価してもらえる応答を手っ取り早く教えてください!」という人は推薦は諦めましょう。ただし医学部は一般試験にも面接があるので、そこまでには何とかしてください。

 

 そうすれば面接官が学部に直結する知識、一見医療と関係ない話題などを質問してきても、「医療従事者を志している私はこう考える」というベースから意見を言うことができます。

 

*発展 看護系大学で「ベビーカーで電車に乗ることの是非についての文を読んでどう思うか」や「友だちが『学校に行きたくない』と電話してきた、どうする」といった小論文のテーマがありました。医療従事者に必要な倫理やスキルからどう答えるか考えてみてください。

 

 予備校の医療系コースではこの「医療従事者に必要な資質」を鍛えるためのプログラムがありますし、私の学校の生徒が多数通っている現役予備校では医学部に進学したOBと一緒に集団討論の練習をしています。地方都市の生徒が面接試験に行くと、他の高校生はすでに知り合い同士、ということもあるそうです。

 私も進路主任の時、OBに面接練習をしてもらったり、面接官の経験がある産業医さんに話をうかがったこともあります。それらを総合すると(詳細は企業秘密)、いわゆる「頭でっかち」(医学の知識を詰め込んで立派なことを言う)よりも、「医学部でやっていけそうか」が大事だそうです。

 

 11月23日にYTVの夕方の情報番組(『Ten』)で高畑充希さんのインタビューを観ましたが、歌も踊りもあんまりだった14才の時に受けたオーディションでミュージカルの主役に抜擢されたのは「スポンジのように何でも吸収しそうに見えた」ところが評価されたからだそうです。

  多少間違っていてもいいから「医師になりたい、この大学で学びたい」という素直な熱意を示しましょう。ただし、その素直な熱意が心に落ちていてちゃんと伝わってくるかどうかは先生に客観的に判断してもらいましょう。

  

 

まとめ

 

  1.  面接で評価されるのは「この大学・学部で4年(6年)間やっていけそうか、卒業後の進路でやっていけそうか」である。
  2.  そのためには志望理由が「心の底に落ちている」、つまり「どうしてもこの大学」という熱意が内在化されている必要がある。
  3.  志望理由を心に落とすために、志望先で必要な資質を早くから様々な手段を使って養う。
  4.  面接官のどの質問に対しても心の底の志望理由に即して答える。
  5.  言ったことが面接官に正確に伝わる必要がある。その道に詳しい第三者に応答の様子を客観的に評価してもらう。

 

 法学部なら異なる論点を整理して法律に沿って解決策を提言すること(リーガルマインド)、工学部なら理科的な探求心とそれをどう応用して社会に役立てるか、などそれぞれの学部で求められる資質があります。

 それらは大学の募集要項の「アドミッションポリシー」「カリキュラムポリシー」「ディプロマポリシー」に明記されていますし、面接と同時に行われる小論文試験にも明示されています。しっかり研究して、「小手先の知識と演技で逃げ切る」などと考えず、志望理由を心に落として欲しいです。

 

 ただし、すべての大学が共通して求める「ふさわしい資質」は「人間、社会、自然」への関心と探求心です。大学は資格修得や就職が先ではなく、研究ファーストです。

 推薦は研究の中心を担う人を求めていると肝に銘じましょう。

 

*ネットの情報はあくまで参考です。学校の先生の指導を受けましょう。