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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

センター試験 世界史Bの傾向と対策(4 過去7年分の分析)

 大学入試センター世界史B、今回は過去7年分の問題について、私が補習の時に使っている「観点別分析」を各設問につけ、どういう準備をすればよいかを考えます。

 

*一気にやらないと意味がないので今回は字数が多いです。不要な部分は読み飛ばしてください。

*大元の設問別分析データは膨大なので省略しました。

 

追記 12/27

 設問別正答率に関する資料が増えたので、2010年~2016年の7年分に改訂しました。それにより難易度も少し修正しました。

 

 問題は大学入試センター発表のものを使います(高校生の学習のために公開しているとのこと)。サイトでは3年分の問題しか見ることができませんので、残り2年分は河合塾のサイトなどを参照してください。

こちら

www.dnc.ac.jp

 著作権法の範囲内(自説のための引用、自説が主で引用は従)で行います。

 

凡例の説明

*世界史のセンター試験は他科目よりも雑然とした出題が多いので、あくまで大まかな目安です。

 

パターン

  • トピック: つながりのない散発的な一問一答
  • タテ整理: 「キリスト教」など単元またぎのテーマ史
  • ヨコ整理: 「王安石の新法」「カール大帝のしたこと」などセットもの

*選択肢がタテともヨコとも言える問題は正解の選択肢の内容を優先した。

  • 年号: 正確な年号知識が要求される問題
  • 整序: 事項の順番を問う問題
  • 資料: 地図上の都市の位置や王朝のエリアを問う問題

*事項の順番を問う形式のものは、順番がわかれば解けるものは整序、正確な年号知識がないと解けない問題は年号に分類した。

 

地域と時代

 

内容

  • 「政治」:政治的な出来事、法制度や社会制度など統治に関すること
  • 「経済」:税制、都市生活、貿易、移動などお金の動きに関すること
  • 「文化」:文化史
  • 「都市」:都市の場所や、それと関係する事項を照合する
  • 「エリア」:王朝の所在した範囲や、それと関係する事項を照合する

*ごっちゃになっている問題は正解の選択肢の内容を優先した。

 

難易度

 ◎は教科書の太字、○は太字に隣接する用語や説明、△はヒントから複数の知識をつないで解答に到達するものという方針を基本とした。

 ただし戦後史、周辺史、文化史など受験生的に手が回りにくいところは太字○、隣接説明△を基本とした。

 

*難易度について補足

 私はいつも世界史選択生に自己採点の日に「どこよりも早い解説」(笑)を配って正答率を調査しています。

 河合塾やベネッセなど自己採点サービスを行っている業者は、4月に「センター試験分析冊子」を発行し、了解を得た生徒のデータを元に設問別正解率を載せています(高校向け)。今回は河合塾の2010年から7年分のデータを難易度付けの参考にしました。

 Z会のHPにあげられているデータ(1年分)も参考にしました(ネットで閲覧可能です)。

 これらのデータと教科書の記述を参考にしながら設問別の難易度を付けています。私が難しいと思っても生徒ができているもの、その反対も一部あります。

 

 

1    難易度 

平均点

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

センター発表

67.25

65.64

68.38

62.43

60.93

61.46

59.62

 

難易度

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

19

22

23

17

15

18

17

12

9

10

14

13

13

12

5

5

3

5

8

5

7

ポイント

    2013年、2012年は一問一答の知識で解けない問題が多かったこと、特に2012年は年号問題が多かったことから平均点が下がったようです。ここ3年は太字の事項を知っていれば解答できる問題が増えました。

 

 

2    出題パターン 

 

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

トピック

18

23

17

15

16

24

24

タテ

1

1

3

5

3

2

3

ヨコ

8

4

7

6

4

0

1

年号

1

3

4

4

6

6

5

整序

6

2

3

3

5

3

0

資料

2

3

2

3

2

1

3


ポイントと対策 

 受験生の多くは年号、整序問題を苦手にしていますが、2012年以外は5~7題(15~20点分)です。したがって一問一答的な問題を確実に取ることが平均点以上確保の大前提といえます。

 

 

1 一問一答的な問題(トピック単発、テーマ別タテorヨコ)

 

 まずは世界史の事項、人名、時代、場所(地名+地図上の位置)、内容がどこから聞かれても確実に答えられるようにしましょう。

 ただし、センター試験の一問一答問題は、「○○をしたのは誰ですか」ではなくて、「○○はいつのことか」と時代と場所を判別させるものが多いです。

 特に中国史の問題は事項から王朝が判別できるかどうかが試されます。

 

追記 2010年の第一問、中国の都市の位置とトピックを照合する問題の正答率が低く、それが平均点を引き下げたようです。地図学習は一通りやりましょう。

 

例1 2012年の21 税制のタテ整理問題 マスト問題

f:id:tokoyakanbannet:20161010105419p:plain

経済政策→実行した人→王朝に変換します。

 

例2 2016年の23 国民政府のしたことトピック 理解が問われる

f:id:tokoyakanbannet:20161010110202p:plain

  私の学校でも、Z会河合塾の生徒も失点した問題です。①→袁世凱 ②→蒋介石 ③→西太后 ④→毛沢東と変換できれば明らかです。

 

 センター試験で高得点を取るコツはこの「変換」です

 まず通史で事項や人名を目印に時系列に言えるようにします。また軸になる年号も記憶します。次に事項から誰、誰からいつに変換するトレーニングをします。

 この時系列入力→トピック出力を繰り返せば成績アップは早いです。

 

  

2 年号・整序問題

 

 2016年度は純粋な年号問題より整序問題が増えました。事項をヒントに王朝や時代を思い出し、その順番を判断します。

 かつては「ルネサンスの3人の整序(2012年の9)」、「中ソ国境紛争ニクソン訪中~日中平和条約(2014年の25)」という細かいものもありましたが、もう少し「ざっくり」感のある問題になりました。

 19世紀、20世紀の問題で得点を取るには「単元またぎ時系列整序」です。

 1848年まで、19世紀後半、1870年以降の帝国主義→WW1→戦間期→WW2→冷戦→冷戦崩壊、という時系列がまず頭の中に入っていて、事項を見て時系列のどこの出来事かが判別できれば解答できます。

 例えばアメリカ史の有名出題パターン、独立革命、合衆国の拡大、南北戦争など単元別の整序は大丈夫でも、インドの民族運動の「ベンガル分割令」「ローラット法」のように単元をまたいだ用語の整序はは受験生が苦手とするところです。

 

*発展 国公立の二次試験、難関私立大学では1870年(ヨーロッパの大不況で帝国主義政策が本格化する)からは10年単位でどんなことがあったか言えるようになるとライバルに差を付けられます。

 

例3 2016年の27 大きな時代の枠組み

f:id:tokoyakanbannet:20161010111056p:plain

 事項を、a→冷戦後、b→WW2の前、c→冷戦と変換します。a、冷戦中にNATOがこんなことしたらWW3です!((笑)…いや笑いごとではないです)。

 

例4 2016年の9 いつの時代の文化?

f:id:tokoyakanbannet:20161010112250p:plain

 a:ギリシア・ローマを重視→ロマン主義 b:ルネサンス c:古典主義と変換します。

 

 2020年からの「新テスト」のサンプル問題は「ざっくりした時代区分」を重視しています。その先取り問題は今後もセンター試験で出題されると予想されます。大まかな時代の流れを押さえ、「事件や作品がその時代の雰囲気とつながっている」ということを意識しながら勉強してください。

  

 

3    どの時代が多く出題されるか 

 

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

all

11

14

7

9

10

2

3

古代

3

2

3

3

3

4

1

中世

0

1

1

4

1

3

3

前近代

4

5

6

7

6

9

14

近代

7

5

3

2

4

7

5

19世紀

3

1

3

6

6

6

5

20世紀

6

6

6

4

2

2

2

戦後

2

2

7

1

4

3

3

 

 

ポイントと対策

 

 

1 20世紀(第二次世界大戦終了)まで

 

 選択肢に時代、場所ばらばらな事項が並ぶ問題がここ2年は増えています。選択肢の人名や地名をヒントに瞬時に事項の正誤を判定する必要があります。まずは教科書の内容を一通り学習しましょう。

2015年 2世紀の出来事はどれ?

f:id:tokoyakanbannet:20170111175243p:plain

語句を変換してマスト年号にもっていきます。

①:玄奘=唐の太宗(西遊記)=618年(無理嫌!)の後=7世紀

②:8~25年(にこっと復活)の間=1世紀

③:ミラノ勅令=313年(再三迫害ごめんなさい)=4世紀

④:五賢帝終了(180年)は黄巾の乱184年(いやよ)と同時期=2世紀

 

 近代、19世紀ヨーロッパは最大の出題ゾーンです。タテの各国史だけでなく、16世紀(主権国家宗教改革)、17世紀(戦乱の時代)、18世紀(英仏の争いと革命の時代)、19世紀前半(ウィーン体制)19世紀後半(国民国家の形成)という100年ごとのとらえをしましょう。

    20世紀は2014年から出題が増えました。私たちの生活と直結する範囲です。3年生の忙しい時期にまだ主要教科が完成せず、世界史を疎かにする生徒をふるいにかける意図も見えます。

 年号のところでも書きましたが、タテの各国史プラス帝国主義、ww1、戦間期世界恐慌、ww2でのヨコの関係史の両方を10年刻みで把握できれば、80点越えは目の前です。

 

  

2 戦後史

 

    戦後史は2題程度の時もあれば、サッカーのゴールじゃないですがに突然「ケチャップみたいに」(笑)出る時もあります。最近では2014年ですが、知っていれば解ける難易度でした。

    「戦後史は捨てる」という人もいるようです。目標点数によってはそれもありと思いますが、問題を見るとANZUS、APECなど(アボリジニオーストラリア連邦の成立時期など、1問はオセアニアから出す決まりでもある?)政治・経済の有名事項もあるので、それは取れるようにしましょう。

 また細かい事項の内容よりも先述の「単元またぎ整序」がよく出題されます。

 授業で戦後史をしっかりやってもらえる学校の人は、冷戦からだいたい10年刻みで何があったかをトピックと人名を目印に授業中に覚えましょう。

 ド=ゴール、ブラント、スハルトニクソン、鄧小平など時代の画期となる人物はよく出題されます。余裕のある人は冷戦開始から冷戦終結までのざっくりとした流れ、中華人民共和国ベトナム戦争中東戦争の時系列、途上国のどこ誰はひと通り覚えておきたいです。

 

2016年 毛沢東劉少奇文化大革命→鄧小平→天安門事件の流れ

f:id:tokoyakanbannet:20170111145423p:plain

 新課程の『歴史総合』を睨んで、戦後史および20世紀史は今後も出題が増えると私は予想します。後から復習している間はありませんから授業中に覚えきりましょう。

 

*発展:ただ、学校によっては授業が第二次世界大戦終了までというところもあるようです。なお難関私立大学では戦後史は差を付ける問題の定番ですから自習マストです。

 

 

4    どの地域から出題されるか

 

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

all

9

15

5

5

3

1

3

オリエント

0

1

0

2

1

0

0

ギリシアローマ

2

0

1

1

1

3

1

インド

0

0

2

2

2

2

0

東南アジア

1

0

2

2

2

0

2

中国

5

5

5

5

8

6

8

朝鮮

0

1

1

0

0

0

2

遊牧民

2

1

0

0

2

1

0

中南米

1

0

0

0

0

0

1

イスラーム

5

1

2

4

1

4

3

ヨーロッパ

11

11

17

15

12

19

16

アフリカ

0

0

0

0

1

0

0

日本

0

1

1

0

3

0

0

ポイントと対策 

    1問の中に時代と地域をまたいだ選択肢が並ぶ出題が増える傾向にあります。全部出るのですが、ヨーロッパと中国はボリュームゾーンです(地域またぎ問題もこの2つが中心)。この2つの範囲を完成が平均点突破の第一関門です。

 

 点数を上積みするには「古代インド、イスラーム、東南アジア」です。古代インドはヨコの比較(インダス文明、ヴァルナ、仏教ジャイナ教)、タテの比較(古代統一王朝)を完全整理します。

    イスラームは成立~アッバース朝までのタテ整理、その先はどこに何という王朝がどう興亡したかのタテヨコ整理をしましょう。ティムール、オスマン、サファビー、ムガルも得点源にしておくと2月の私立入試につながります。

    東南アジア史は古代、大交易時代、ヨーロッパによる植民地化、19世紀末からの民族運動、戦後について、どこ、何をタテヨコ整理しましょう。どこはどの宗教を受容したかと、ヨーロッパのどの国の支配を受けたか、どの民族運動はいつか(先述の帝国主義~冷戦の軸線のどこに当たるか)は紛らわしいので、世界史で高得点を目指すならマスト知識です。

 2016年

f:id:tokoyakanbannet:20170111150121p:plain

 

ここまで完成させれば80点越えは目の前です。

 

 日本関連(幕末~ww2前後は世界史なのでマスト、それ以外)では、近代以前は卑弥呼→3世紀、戦国時代→16世紀という「何時代がいつ頃」が言えれば大丈夫な問題が大半です。「ドイツの南洋諸島→日本が委任統治領に」は2度出題されています。戦後の歩み(日ソ共同宣言、日中平和友好条約)は政治・経済でも出てきますからだいたいの年号は知っておきたいです。

 

追記:2009年の「12世紀の出来事を選べ→鎌倉幕府の成立」は衝撃的でした(笑)。

 

 

5    どのジャンルがよく出題されるか 

 

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

政治

21

22

26

24

22

16

17

経済

2

3

4

3

3

6

6

文化

11

7

3

4

8

12

6

都市

2

4

3

4

2

1

5

エリア

0

0

0

1

1

1

2

 

 


ポイントと対策 

 

 基本は政治史(社会制度を含む)です。いつ、どこ、何が言えるようにしましょう。

 都市の位置問題も必ず出題されます。定番のところ(中国、ヨーロッパ、イン・東南アジア)は確実につぶしましょう。

 経済史は最近の学会のトレンドです。税制はマスト、奴隷貿易や移民の問題は難関私大や国立二次の定番です。

    文化史も年度によってどばどばっと出ることがあります。「手が回らないから捨てる」と2016年のような「偏り」がある出題では大変なことになります。

    難関私立では文化史が生徒をふるい落とすためによく出題されますから、その勉強も兼ねて冬休みに一通り復習しましょう。

    「えーっそんなに無理」と思うかもしれませんが、「政治史と関連がある」ものを優先的に覚えましょう。過去問では、エラスムス宗教改革、デフォーやスイフト=イギリスの重商主義、中国の三人の僧侶の旅行記などが出題されています。

 

 

まとめ

 

  • 事項を覚えるときには必ず「いつ」と「どこ」を一緒に覚える。
  • 事項から人名・時代、時代から事項、というように双方向からの「出し入れ」で記憶を定着させる。
  • 平均点が目標なら中国史とヨーロッパ史の政治史、制度史を完成させる。
  • 80点が目標ならインド、イスラーム、東南アジアの「いつ、どこ、なに」が判別できるようにする。
  • 三年生2学期の範囲は授業と定期考査で作り、模試で定着させる。
  • 他の科目も世界史の勉強と位置づける。政治・経済は現代史、倫理は文化史など手薄なところの補強につながる。
  • 90点目標なら文化史と戦後史。前者は政治史とつながりのあることを重点的に復習する。後者は冷戦の開始から終了までの流れを押さえ、各地域の出来事を人名を頼りに整理する。

 

 10月から1月はあっという間です。「社会は暗記科目だから直前でOK」という人がいますが、世界史の教科書は約400頁ありますから、後回しにすると必ずツケが回ってきます。段階的につぶしていきましょう。

 

 

追記 1/11

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