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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

三年生9月 志望理由書の書き方について(1 トレーニング編)

面接小論文 高校三年生

 2学期になると推薦入試が始まります。すでに夏休み中にAO入試のスクーリングが始まっている大学もあると思います。

 推薦やAO入試を受験する際には、志願者本人が「志望理由書」を書く必要があります。また面接が課される場合は志望理由書を元に質問されます。

 

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*注 一部の私立大学、特に私が住む関西圏では推薦入試にも色々あって、志望理由書と面接をがっつり課す方式と、基礎学力テスト、評定平均値など数字重視の方式があります。ただ後者の推薦入試も校長の推薦書は必要ですから、いくら「プレ一般入試」のようでも推薦に値する人物でないと困ります。

 

 ところが「どうしてもその大学・学部でやりたい学問がある」→「それを言葉や文章で表現することが得意」→「その力をアピールできる推薦入試」という生徒は少数派で、「勉強の開始が遅れて準備が間に合わない」→「軽量な受験方式で早く楽に合格したい」という理由で推薦入試が頭に浮かぶ生徒の方が多いです。

 

 そうした生徒は「合格したい」が先にあって、そこから志望理由を「後付け」します。通常は興味ある大学・学部を志望するのであまり問題はないのですが、学問的に興味がないのに「倍率が低い」「資格が取れる」という理由で選んだ大学・学部の「志望」理由書を生徒が書き、担任が添削とするという信じがたい光景が繰り広げられることもたまにあります。

 

 こうした「後付け」の志望理由書を読むと、志望動機は表面的、大学で学びたいことはHPの丸写し、部活動のことだけは微に入り細に入り自分の言葉で書かれている、というお世辞にも「志望理由書」とは言えない代物が大半です。

 それが初稿ならまだ指導の余地がありますが、「明日締め切り」でその状態(担任からアドバイスをもらっても改善しない)ということもあります。

  

 ただこれは生徒の問題というよりは学校側の責任です。「国立至上主義」の高校では「チャンスは全て使おう」と先生が生徒に国公立の推薦入試を勧める場合があります(塾で勧められることもあります)。2年生の時に志望理由書(志望校登録という場合も有り)を書かせる学校もあります。

 その割には系統だった指導はあまりありません。志望理由書を書く時に「オープンキャンパスの報告」や「興味のある大学や仕事について調べましょう」程度の準備だけで原稿用紙を渡しても、生徒の筆はなかなか進みません。

 

 物事には必ず「型」や「トレーニング方法」があります。

 私が志望理由書の指導をする時は、書き方指導や添削ではなく「対話」を重視しています。仮に最初の志望動機が「不純」(楽をしたい、一般では無理だからなど)であっても、何らかの理由があってその大学・学部を選んでいるはずです。

 初稿がボロボロでも私はかまいません。それをたたき台に、対話を通してその生徒の心の底に眠っているものを全部吐き出させ、それを整理して本人の無意識な志望動機を実体化し、「私がなぜその大学・学部を志望しているのか」が生徒自身の口で言えるようになれば、喜ばしいことです。

 

 つまり志望理由書を書くプロセスそのものが志望理由を心に落とすプロセスです。推薦で出願すると決めた以上は、生徒も先生も小手先に走らず、志望理由書を通じて「なぜその大学・学部なのか」にしっかり向き合って欲しいと願います。

 

*発展 国立の医学部を一般試験で受験するとセンター90%、二次偏差値70が最低ラインです。そうなると、ただ点数を取るのが上手い生徒、「ここの医学部はボーダーが低いから来ました」という生徒が「その県で医療に携わりたい」という生徒を押し出す可能性があります。そのような点から医学部には地域推薦があり、一般試験でも面接が課されます。医学部志望者は志望理由書や面接の練習を通じて「なぜこの県で医者なのか」を「心に落として」欲しいです。

 

  今回はこの「無意識の志望動機を実体化する」を、単独でできるようになる方法を紹介します。

 

    今回はNHK Eテレ『テストの花道』をかなり参考にしています。

NHK テストの花道 - 過去の放送 - 「発想するチカラ(1)~「広げる」の段~」

    書籍も多数出ています(全巻持っています)

 

    番組中で「イメージの花火」と呼んでいるものは一般的には「マンダラート」と呼ばれています。日本ハムファイターズ大谷翔平選手も高校時代に同じトレーニングをしていました。

マンダラート - Wikipedia

 

164s.net

 

論理的な文章が書けるようになる ウォーミングアップ編

 

1 「マンダラート」作り

  •  春、夏、秋、冬のうち、どれが一番好きか決めます。決められない人は「トーナメント表」を書き、対決させて一番を決めます(季節がやりにくい人は某事務所の男性ユニットのどれが好きかなどでやってみてください)。
  •  9マス×9マスの「マンダラート」を用意します(B4~A3サイズ。表計算ソフトを使うと簡単に作れます)。3×3=9マス×9ブロックになるように太線を入れると見やすいです。
  •  真ん中3×3のマスの中心に、その季節を書きます。
  •  隣接する8つのマスにその季節から連想されることを8つ書きます。
  •  8つ書けたら、その周りの8つの3×3のブロックの中心のマスに、その言葉を書きます。
  •  隣接する8つのマスにその言葉から連想される言葉を書きます

* 注意事項1…最初の8マスはすべて違う言葉を書きます。

名詞(例:かき氷)形容詞(暑い)文章(家でだらだら)にはこだわらない。


* 注意事項2…2回目の8マス×8はこれまで書いたものとかぶってもOKです。

(例:夏→暑い→かき氷がうまい)

 

  
2 カテゴリー分け

  •  書けたパーツをトピック別に色分けします。例えば「海」「海水浴」「キャンプ」などは「アウトドアに関係するもの」、「補習」「合宿」「県大会」なら「夏休みにすること」など。似たものを色ペンで○をしていって分けます。分類不能なものがあってもかまいません。
  •  色分けしたものから3つのトピックを選び、「アウトドア」「夏休み」などタイトルをつけます。
  • 総合学習でこのプログラムをした時、指導する先生方にも事前に挑戦していただきました。お酒は二十歳になってからですよ!(笑)。

 

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3 原稿用紙に「私の好きな季節」という文を書く

  •  1行目は季節と理由の数を書きます。「私は夏が好きです 理由は3つあります」
  •  2行目からはカテゴリー分けしたものを参考にして論を進めます。「まず夏は夏休みがあります。この時に…」というように、抽象的なトピック→具体例の順番で書いていきます。


* 注意事項3…トピックの順番に注意しましょう。「恋の予感(花火、夏祭り)」「夏休み」「アウトドア」とあれば、やはり「恋の予感」をラストに持っていきたいです。

 

 先ほどの「マンダラート」から先生に作文していただきました。

 

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  「アウトドア」→「おしゃれ」→「飲み物がうまい」という構成で、それぞれのトピックも具体例を使って小さいストーリーになっています。

 この文章を書いた先生は、普段作文をする機会があまりないそうですが、「自分がなぜ夏が好きなのか、意識化することができた」と言っていました。ご協力いただき、ありがとうございました。

 

まとめ

 志望理由書を書く際に、HPや自分の浅い体験をつぎはぎして無理矢理字数を稼いでもきわめて表面的で「その人が何を考えているのか」本当のところが全く見えない文章になり、まず評価されません。

 人を納得させる文章を書く場合には、まず自分が取り上げたことについて「なぜそれに興味があるのか」「それは具体的に何か」ということを掘り下げます。そしてそれらを「私はこう思う」という「一貫性」に沿ってつないでいきます。

 今回は、この「なぜ」「何」をできるだけ掘り出し、型に沿ってまとめるトレーニングでした。

 

 次回はこれを自分の「志望動機」と、自分が行きたい大学の内容でやってみます。

 

続き2

三年生9月 志望理由書の書き方について考える(その2 興味・研究・将来を掘り出す) - ぶんぶんの進路歳時記

続き3

三年生9月 志望理由書の書き方について考える(その3 ストーリーを建てる) - ぶんぶんの進路歳時記