ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

センター試験 世界史Bの傾向と対策(3 誤文パターン)

 前回はセンター試験世界史Bの出題パターンとそのトレーニング方法について考えました。今回は選択肢のどこを疑うかについて考えます。

*旺文社『2009年受験用 センター試験 過去問 予備校講師はこう解く!』を参考にしています。

前回はこちら

 大学入試センター試験 世界史Bの傾向と対策について考える(その1 出題パターン前編) - ぶんぶんの進路歳時記

 

大学入試センター試験 世界史Bの傾向と対策について考える(その1 出題パターン後編) - ぶんぶんの進路歳時記

 

 疑いどころは基本的に次の4つです。

1 事項の入れ替え
2 結果の違い
3 時代の違い
4 順序の違い

 例を挙げながら見ていきます。毎度のことですが著作権法の範囲内(出典明記、本文が主で引用が従)でセンター試験の問題を引用します。

 

1 事項の入れ替え
例1 2016年

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ポイント

 最も多い間違い選択肢タイプです。①は首都と王朝の入れ替え、③は建物と様式の入れ替え、④はキャッチコピーと都市の入れ替えです。

    歴史的事項が二つ以上出てきたら、その組み合わせが正しいか疑います。

対策

 中国史については、王朝の順番ごとに建国者、首都、出来事が言えるのは当然、鎬京→渭水→西周→武王、光武帝後漢→洛陽→25年というように、首都から王朝、皇帝の名前から王朝が脊髄反射的に答えられることが目標です。

    さらに制度、経済、文化、外交というテーマで、「唐の時代の雲南は…」「紅楼夢は…」双方向から用語が出し入れできれば合格です。

 ヨーロッパ史も同様です。まずは中世前期、中世後期、主権国家、革命と国民国家帝国主義、二つの世界大戦、戦後史という教科書単元別に「どこで何があった」が言えるようにします。

    次に各国別ぶち抜きで事項が言えるようにします。最後に国王・皇帝の名前から現在の国名、王朝、時代、したことが瞬時に答えられる、事項から何世紀のどこの何王朝のことが言えるようにします。

    ヨーロッパ史はこの3方向から記憶を出し入れできることが目標です。

 

 まず教科書の順で覚える段階から事項丸覚えではなく、常にイツ、ドコ、ダレ、ナニを意識して覚えましょう。

 また入れ替えの対象は①のような紛らわしい誰ドコ、③のようなバロック→豪華→ヴェルサイユロココ→優美→サン=スーシのような、「セットもの」や「紛らわしいもの」です。勉強していて「紛らわしくて覚えにくい」と思ったものはテストに出ると考えましょう。

 仕上げには教科書の索引から事項を思い出すトレーニングをしましょう。

 

発展:③古代アメリカ文明やアフリカの王朝は、受験勉強の開始が遅く国数英の勉強に手を取られて世界史まで手が回らない生徒をふるい落とすには最適です。

 ただし出ることは決まっています。古代アメリカ文明なら全体の特徴(鉄器、大型家畜、車輪なし)、3地区の文明の特徴と滅亡の過程の違いを、アフリカは3つの川の流域の王朝と東海岸の都市についてがよく出ますから、模試の後に一度しっかり復習しておきましょう。

    東南アジアもどこ、何、特徴をすり替える問題が多いです。地図を使って、古代、大交易時代、植民地化の時代毎に記憶し、正誤判定できるようにします。

 

 

2 結果の違い

例2の1 2015年

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例2の2 2016年

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ポイント

 例2の1の場合は同盟関係や勝ち負けに関するストーリー理解、例2の2は「ギルド」や「ツンフト」な抽象的な用語の内容と経過の理解が必要です。また「GATT保護貿易を促進した。○ or ×?」のような経済の論理を問う問題もあり、言葉を知っているだけか、内容も知っているかでふるい落されます。語句だけではなく述語が正しいかも疑いましょう。

 

対策

 私の生徒は母親を捕まえて世界史のストーリーを伝わるように話していたそうです(母親は迷惑がっていたそうですが(笑))。『スピードチェック』を人に説明するつもりで復習してストーリーを理解すると同時に、抽象的な用語の理解を心がけましょう。

 最後に用語問題集で単語から文章を思い出す逆トレーニングをしましょう。用語だけ覚えずに「論理」や「説明」の部分が来たら「テストに出る!」と思いましょう。

 

3 時代の違い

例3の1 2016年

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例3の2 2015年

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ポイント

 文章そのものは間違っていなくて、設問の時期に合うものを選びます。ただし設問の時期に合っているけれども語句が入れ替わっている、例えば例3の1なら「アウラングゼーブがジズヤを廃止した」のような「早とちり」を誘発する誤文が混じっていることがあるので注意しましょう。

 

対策

 例3の1の場合は、王朝から事項が思い出せれば対応できます。ただし後学のために、ガズナ朝=10世紀、サータヴァーハナ朝=前1世紀~3世紀(ローマ帝国、パルティア、クシャーナ朝、扶南、後漢)辺りは反射的に出たいところ。

 例3の2の場合は、重要年号の記憶がマストです。特に中国史の王朝の成立と滅亡の年号、転機となる事件の年号は重要です。例えば黄巾の乱184年を知っていれば④が2世紀とすぐ出ます(上級者なら党錮の禁と④が同じ166年と覚えています)。①も玄奘→太宗の頃→7世紀と推理できます。前回の年号編を参照してください。

 

4 順番の違い

例4 2016年

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ポイント

 前回述べた「整序問題」(正しい順番に並び替えたり、ある事項は年表の中のどの間に入るかを問う)が最近増えていますが、bの文がそれに当たります。単文の中の「○○の前、最中、後」という順番を疑います。「南北戦争中にホームステッド法が出された」は定番です。

対策

 例2と同じく『スピードマスター』等でストーリーを頭に入れましょう。特に近現代史は細かい年号よりも順番がややこしいものが多いので(アメリカ独立革命南北戦争フランス革命とナポレオン、アヘン戦争日中戦争、二つの世界大戦と戦間期、冷戦、中華人民共和国)他人に話せるぐらいになりましょう。

 

*発展:2015年の「授時暦」の問題、文章が曖昧で解答の訂正がありましたが、予備校各社はセンター試験の問題が妙だと「質問状」を出してきます。そのせいなのか、センター試験では近年文句の出にくい?年号や整序の問題が増えた気がします。だから年号問題と整序問題はしっかり対策しましょう。

 

*発展:整序問題は関西の私大ではポピュラーで、関西学院大学では「A→B→C→D」のように事項が順番通りに並んでいる選択肢を選ぶ問題が必ず出題されます(私は「関学スペシャル」と呼んでいます)。

 

 

まとめ

 

 4つの間違いパターンをしっかり疑うためには、人名や事項を時系列に並べ替えられるというトレーニングと、語句から「いつ、ドコ」が、逆に「いつ、ドコ」から語句がでるというシャッフルトレーニングが必要です。

 ただ漫然と教科書を読んでサブノートに穴埋めをするのではなく、色々な方向から思い出すトレーニングをしましょう。

 

 最後に余談ですが、私は水谷豊の『相棒』が好きで再放送も含めてよく視聴するのですが、私よりも上手の相棒ファンは、シーズン何はどんな話か順番に言えるだけでなく、「冷凍イカ」といった瞬間にシーズン何の第何話とか、平岩紙はシーズン何のスペシャルにも出演してたなど、トリック、役者、果ては細かい台詞まで瞬時にシーズン何のどの回かが出てきます。

 どの方向からでも記憶を取り出すトレーニングは日常からどれだけ頭を働かせているかと、勉強を「好き」かどうかにかかっていると思います。