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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

今更聞けない大学入試の基礎知識(2 国公立大学と私立大学の入試科目・良さ)

進路指導

今更聞けない大学入試の基礎知識、国公立大学と私立大学について、続きです。

前半はこちら

今更他人に聞けない大学入試の基礎知識(その1 国公立大学と私立大学) - ぶんぶんの進路歳時記

 

Q5 国公立と私立って入試科目に違いがあるの? 

A5 国公立大学の多くは一次試験のセンター試験で5教科7科目、二次試験で2~4教科を課します。私立大学は3教科主流です。

 

 国公立大学センター試験で国、外+リス、数×2に加えて文系は地歴・公民から2と理科の基礎科目2、理系は地歴・公民から1と専門理科から2、を課すのがスタンダードです。

 一部大学では「アラカルト」といって、例えば「数学と理科のうち高得点を1科目点数化します」の様に、各大学のポリシーに応じて受験科目を設定しています。

 

 

 

追記

 「傾斜配点」は、センター5教科7科目を点数化する際に科目毎に「振り」をつけることです。例えば三重大学の工学部は2次試験で英語がない代わりにセンター試験の英語+リスニングは200点換算そのままで、残り教科は得点を1/2に圧縮します。

   「アラカルト方式の大学を志望する場合は5教科フル受験しなくていい?」と聞かれることがありますが、センター試験は毎年どこかの科目が難化・易化します。決め打ちは志望大学が限定されるリスクを伴います。

    ちなみに公立大学にはセンター試験文系3教科、理系3教科で受験できる大学が複数存在します。

    旺文社のパスナビは「受験科目」で大学を検索できます。

 

passnavi.evidus.com

 

 二次試験では、文系は国語と英語がベースで、経済系や難関では数学IIBが加わり、最難関では地歴が課されます。理系は数学IIIと理科1科目がベースで、英語、理科2科目、最難関では国語が追加されます。記述問題がほとんどです。

 

   一方私立大学の個別試験は文系(英・国・社or数ⅠA)、理系(英・数Ⅲ・専門理科)と3教科が主流です。

 

追記  経済学部、栄養学など文系理系どちらからでも受験できる学部は入試科目が大学で違います。パスナビで「入試科目」で検索してください。

 

   「え〜国公立大に行くのにそんなに勉強しなきゃいけないの?」当然です。国公立大学は税金を投入している研究機関です。幅広い教養を持ち、準備の量が多くてもへこたれない研究熱心な生徒を求めています。

   とはいえセンター試験はそもそも平均点が60%になるような難易度設定です。大都市圏以外の国立大学ならセンター試験70%(630点)以上あれば、二次試験は記述式とはいえ基本的な問題なので、適切な準備をすれば合格に近づきます。

 またセンター試験60%(540点)以下、二次試験も科目数が少なく2月から過去問をやりだして十分間に合う国公立大学も全国津々浦々探せば存在します。

 

    私立は楽かというと、ほぼ全入のような大学がある一方、競争の激しい私立大学の入試問題は中堅国公立大学をはるかに凌ぐ難しさです。世界史の場合、たとえマークシート方式であってもちゃんと勉強していないと解けない問題になっています。

 難関私立(関西だと「関関同立」)だと3教科「得意・得意・そこそこ」が合格の条件、センター試験の得点で合否が決まる入試の場合、私の関わった生徒で合格した人は3教科だけなら難関大学の合格者並みの得点を持っていました。

 まあ国公立大学、私立大学にしろ入試科目の負担の観点を第一条件で大学を選んでいる段階でその受験生はアウトです。

 

Q6 通える私立大学を考えていたら担任から「遠くでもいいから国公立」と勧められたのですが、国公立の良さはどこですか?

A6 国公立大学、私立大学双方に良さがあります。最終的には学生の心構えによります。

 

 私のエリアは「国立至上主義」の高校が多いです(首都圏のような有名私立大学があまり存在しない)。そうした高校の先生が国公立大学を生徒に勧める際に言うのは、だいたい次の4つです。

1 授業料が安い。

2 国から莫大な予算が下りていて研究のための設備がすごい。

参考 平成27年度科学研究費助成事業の配分 25頁

http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/16/1361986_01_1.pdf

3 教員ひとりあたりに対する学生の数が少ない。

参考 東洋経済online 上場企業への就職とか財務基盤とか先生が言わないことも多数掲載。

toyokeizai.net

 

4 センター試験→二次試験で選抜されるので、同学力層の学生が集まる。

 

 1は魅力的です。理系(特に医歯薬看)の私立は授業料が高額です。しかし国公立の学費が安いのは「将来の日本社会を背負ってもらう」ために国がお金を出しているのであって、スーパーの特売と一緒にされては困ります。

 

 2は理系の院生になるとすごい機械が使えるので恩恵はあります。文系はいくら国立でも学科によってはお金カツカツです(笑)。

 

 3は何となく大学に行って何か資格を取って就職することを目的にしている生徒にはあまり関係ありません。某私立大学は学生が頻繁に欠席すると保護者に電話連絡をするそうで、学生が多いから目が届きにくいという訳ではないようです。

 

    4は 「国公立にはハズレがない」という意味でもあります。私の個人的感想ですが私立には当たりハズレがあると思います(私の学校でも受け直す生徒が毎年います)。約600も大学があるので仕方ありません。定員割れ回避のために学生獲得を優先すれば教授は落ち着いて研究できません(教授が高校をまわる大学もあります)。それで教育の質が維持できないなら本末転倒だと思います。

 

    ただこれらをもって「私立はダメで国公立は良い」と一括りにするのは違います。また仕方なく大学に行く生徒に国立の良さを説いても猫に小判です 

 私は「研究をしたい、そのために高度な学びに触れたい」という生徒にとっては、1~4のような国立大学の最新の設備や少人数教育は大きなメリットだと思います。国公立大学を目指すならお金じゃなくて研究が第一です。そういう気持ちを育てることが先です。

 

 学校としては、生徒が国公立大学を目指すと1月まで5教科手を抜かずに勉強しますし、国公立大学の進学者数で高校の格付けをする悪しき風潮(私は数だけで判断するのはナンセンスだと思います)にも対応できます(笑)から助かるのですが、手段と目的が逆転するのは学校としてあってはならないことです。 

 先生が生徒に「勉強したい→国立を目指す→5教科7科目好き嫌いをいわずに勉強する→広い教養と我慢強さが身につく→合格して達成感を得る→さらに高い学びを目指す→社会に貢献する人材になる」という気持ちを起こさせた結果、生徒が国公立大学に多数進学するのは望ましいことです。 

 先生がそういう指導もしないで、業者の資料を見ながら生徒に合格できそうな国公立ばかり勧める(業界用語で「出願指導」)と、あらぬ疑いをかけられます(笑)。

    学校は中身が命、小手先で数を稼ぐのではなく、生徒が「行きたい大学に行けるようにする」ために汗をかくことを心がけるべきです。

 

 私立の良さは

1 こういう学生を育てたいという強いポリシーがある。

2 特定の分野ですごい教育をしていることがある。すごい先生がいて「この大学でこんな教育が受けられるの!」というお得なことがたまにある。

3 最難関、難関は各界にOBがいるのでその人脈は大きな武器になる。

4 難関不合格組から推薦、内部進学組など多様な人がいるので、いい友達を作ると知らない世界に出合える。

 

 例えば関西・東海圏には仏教、皇學館、岐阜聖徳という教員養成の老舗があり、新興の畿央大学も教員養成のためにものすごいエネルギーを使っています。

 早稲田、慶応、明治、中央などのOB人脈は多くの国公立大学を凌ぎます。

 中京大学の心理学部は心理学で有名な京都大学名古屋大学のOBが揃っています。

 また同志社大学に入学した私の生徒の体験ですが、1回生の時に授業で分からないところがあって研究室に質問にいったらものすごく歓待してもらい、勉強のヒントをいっぱいもらったそうです。私立は学生数が多いからこそ教授はやる気のある学生を大事にするのでしょう。

 

*発展 地方の国立大学にも、滋賀大学の経済学部というように特定の分野で強い人脈を持っている大学があります。国立か私立か、有名かそうでないか以外の情報をしっかり調べましょう。

 

 だから「国立がよくて私立がダメ」ではなく、まず自分がしたいことがあって、それにフィットする大学を、学力と経済力を照らし合わして選ぶことです。

 

 最後に、不本意入学した何人かが毎年「受け直す」と進路指導室を訪れることも事実です。勉強していなければ選択肢が限られます。「選べる学力」があることが自分にフィットした大学を選ぶための大前提です。

 ちなみに私は国立大学文系出身で、設備以外で国立大学の「学び」におけるありがたさを実感しているのですが、他の先生からその話を聞かないのが不思議です。

 

 

Q7 担任や塾のチューターから「国立大学は受験できる回数が少ないからチャンスは全部使った方がいい、推薦入試を考えないか」と言われたのですが、国立大学にも推薦入試があるのですか?

A7 あります。次回は入試方法について考えます。