ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

林修先生の講演を聴いて「職業」について考える(その1)

 先日近所に東進ハイスクール林修先生が講演に来たので参加しました。他のブログを覗くと林先生の講演の話が載っているので、私も少し書かせてもらいます。

  あくまで職業について考えるブログ本文が主で、講演の要旨は従です。

 一般向けの講演という案内だったので高校生は少なく、高校関係者(塾や予備校は嫌い?)もあまり見かけませんでした。

 観客の多くは学齢期の子どもを持つ保護者やもう少し年齢が上の方で、1000人収容可能な会場はほぼ満席。テレビの力は絶大です。

 講演のタイトルは「やりたいこととできること」、要旨は次のようでした。

  • 今やりたいことが10年後に存在する保証はない。
  • 一億総中流化」は過去の話。できる生徒とできない生徒に二極化してきた。
  • 二極化の背景は財力。財力が原因で学力格差が広がると、格差は再生産される。
  • これからは剥き出しの競争社会になる。
  • こうした時代を生き抜くには5年後、10年後を見据える。なくならない仕事は人と交渉する仕事。
  • その仕事に必要なスキルは創造性あふれる論理力とコミュニケーション力。
  • 苦労して「やりたいこと」をするよりも楽に「できること」を極める。
  • これからは何かひとつ突き抜けている人の方がやっていける可能性がある。
  • 今後苦手をあきらめることは今以上に必要になる。しかし若いうちは色々やってどれが出来るか探す。

 

 林先生は綾小路きみまろの後釜を目指しているみたいで(受験産業が衰退する10年後を見越している?)、会場が年配の方が多いと見るや、きみまろ風の「くずし」で笑いをとっていましたが、話の基本は「数字・ファクト・ロジック」です。さすがは予備校トップ講師(ご自身で言っていました)です。

 

 上に書いたことはあくまで要旨であって、講演の面白いところはそれぞれに関する具体的な例と論証です。是非チケットを買って確かめてください。

 

林先生のブログで講演会を紹介した回(ちょっと古いです)。

講演会photo|林修オフィシャルブログ「いつやるか?今でしょ日記」Powered by Ameba

 

追記 6月の日本テレビ系の林先生と東大女子との番組で講演会のネタをご自身で話していたようです。その番組の内容は他のブログに詳しく書かれている模様です。

 

 私は林先生が提唱する「創造性あふれる論理力」を働かせて(笑)講演を聴きました。以下三点、林先生の引用元を調べて思ったことをコメントします。

 

 一つ目、「10年後になくなる仕事」は、野村総研の2015年12月2日の記事からの引用です。オックスフォード大学の准教授との共同研究で、国内601種類の職業について「人工知能やロボット等で代替される確率」を試算しています。

 

日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)

 

 601種類の職業はこれを参考にしています。仕事に必要なスキルなどを数量化して職業の移動について考察したもので興味深いです。

 

労働政策研究報告書 No.146 職務構造に関する研究 ―職業の数値解析と職業移動からの検討―|労働政策研究・研修機構(JILPT)

 

 現場の意見としては、「代替可能性の高い」職種にあがっている「行政や学校の事務職員」の業務には交渉系の仕事も少なくありません。IT化で確かに事務職員数は減りました(その分教員の仕事が増えました(笑))が窓口での相談や交渉は機械に置き換えられません。

 とはいえ10年後には市役所の窓口で住民の相談に的確に応答するロボットが出現するかもしれませんが。

 機械の出現で増える仕事もあります。私の県にある医療技術系私立大学の放射線学科は全くの「売り手市場」、「マンモグラフィー」の普及で女子の放射線技師が全国で不足しているからだそうです(検査の性質上男子は好まれない)。

 その学生が入学した4年前は「放射能の人体(特に母胎)への影響」が叫ばれていましたから、この道を選んだ女子学生は先見の明があったというよりは、最近の進化論が言う「偶然」です。

 色々な情報を集めたとしても4年後を正確に言い当てることは困難で、当たりの何倍かははずれです。野村総研もいうように、職業の増減は社会的な要因もあります。

 不況の折には薬学部、看護学部が「雨後の竹の子」のように新設されました。医療系は好況不況の影響を受けづらいとはいえ、彼らが卒業する4年後、6年後は不透明です(既にドラッグストアは飽和状態)。

 私は文系の生徒には「大学で好きなことを勉強して、それを通じて自分の芯を鍛えましょう」と言います。トレンドを追うよりも、どんなトレンドにも耐えうる「社会人としての基礎力」を大学の学びの中でつけて欲しいと思っています。

 先行き不透明な社会の中では、アイデアを出したり他人と交渉したりする「社会人基礎力」が今以上に必要なのは間違いなさそうです。

 

 二つ目は「身分の固定化」についてです(続く)。