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ぶんぶんの進路歳時記

学習方法、進路選択、世界史の話題について綴ります

受験シーズン到来、高校三年生が受験生になる、について考える(その2)

進路指導 高校三年生

 高校三年生が受験生になるための心構えややるべきことについて考えます。

 後半は志望大学の決め方、学習計画についてです。

 

3 志望大学を決める

 

 志望大学を決めないと学習計画が立てられません。難関大学になればなるほど志望校の傾向に沿った綿密な計画が必要です。河合塾のメルマガ「success mail 2015」によると、塾生に「志望校をいつ決めたのか」を聞くと、三年生の一学期までに決めている人が全体の約55%、特に二年生の三学期が目立ちます。

 この時期を「三年生ゼロ学期」と称する学校も多く、受験を意識した勉強もこの時期に約25%が始めています。ライバルはもう受験勉強をスタートさせてます。部活を引退した後に、やれ体育祭だ文化祭だと行事が気になって受験モードになかなか切り替えられないと、「三年生一学期」は「二年生四学期」になってしまいます(笑)。

 

 第一志望を絞り込む「三つの輪」は学力・興味・学費です。

 

 興味は、教科から(物理が好き→理学部、工学部)、日常から(食べ物が好き→食品化学)、職業から(検察官になる!→法学部)、地域・ブランド(やっぱり神戸!)が中心です。4年間(+α)大学に通う覚悟なら、好きなことを勉強しないともったいないです。

 たぶん二年生までにこの程度までは決まっているはずです。三年生では、工学部ならどの学科か、経済系志望なら経済学か経営学か、などさらにターゲットを絞ります。ここに自分の学力、保護者が出せる学費でさらに絞って具体的な志望校を決めます。

 

 「学力に見合う志望校」は、これまの実力テストの成績と過去の先輩のデータを参考にして割り出します。ただ二年生までの校外実力テストは現役生だけ、三年生の全統模試からは過年度生(浪人)も加わりますから、このデータが帰ってくる六月末に志望校をだいたい決定して夏休みの学習に臨みたいものです。

 

 学費は、河合塾のKei-net等によると、まず受験料が、国公立大学2校と私立大学2校というミニマムな受験でも約12万円、私立を複数校、複数日程で受験すると35000円×受験校×受験日程の費用がかかります(担任の生徒の保護者がコンビニで支払いをしているのに遭遇しましたが、札束を渡していました!)。さらに遠方の大学を受験する場合には、交通費や宿泊費も必要になってきます。

 合格すると入学金(国立は約28万円、私立は様々)に加えて国立の授業料は年額53万5,800円、私立は文系約120万、理系約160万に諸費用、実習費が加算されます。私立の医学部だと6年間で約3000万円、マンションが買えます(笑)。自宅生の1ヶ月の生活費は約58000円、下宿生は約12万円で生活家電その他も必要です。大学進学は安くはありません。学費は保護者からの「あなたの未来への投資」とわきまえ、よく情報を集めて保護者と相談しましょう。

 

くわしくはこちら。

www.keinet.ne.jp

 

 

4 志望校から逆算して学習計画を決める

 

 例えば関西圏に住む生徒で「法学部で現在模試の偏差値55~60ぐらい、関東の私立は経済的に無理」なら、国公立なら大阪市立大学を目標にして、金沢大学三重大学あたりが第二志望。私大併願先は同志社大学立命館大学が候補になります。

 この場合、第一志望のセンター試験得点率8割が目標、二次試験は国語と英語です。第二志望は二次試験科目は同じ、センターの得点率は70~75%程度です。

 第1回全統マーク模試にだいたい+100点ぐらいが本番のセンター試験の点数なので、4月のマーク模試の目標は600点越えです。配られる過去問を解いてみてどの科目ができているか、できていないかを見ましょう。

 

 一学期は、苦手な教科(特に文系の場合「8割の壁」は数学ⅡB)は授業重視、地歴は学校の復習テキストをやり込んで得点源にします。国英は授業がセンター中心の場合でも「記述で書ける」ことを意識して授業に臨み、家庭学習では学校のテキスト以外に通信添削などで記述力をつけます。

 夏休みには過去問を解き、傾向をつかんで類題をやり込みます。そのためには英国数の基礎を夏休み前に完成させます。二学期は模試を目標に演習と復習を繰り返し、11月にはオープン模試を受けて、より本番に近い問題に対応できるか、同じ志望者の中での順位はどれくらいかを見ます。その後はセンター試験に照準を絞ります。

 

 このように、志望校の入試科目と難易度、自分の得手・不得手を考えて、どの科目を授業中心か復習中心か、いつまでに完成させるかをデザインします。必ず担任と面談して志望実現のために必要なこと、今の自分に何がどの程度足らないのか、それをいつまでに、どのような方法でこなすか、について話し合って下さい。

 

 なお文系の場合は大阪市立大学神戸大学の間には「二次試験で数学がある」という壁(ただし大阪市立も経済系は数学があります)、神戸大学京都大学の間には「二次試験に地歴がある」という壁が存在します。理系の場合は理科が1科目か2科目かで負担が大きく変わります。

 つまり途中で「マーク模試の調子が良いから志望をあげようかな」と思っても、大阪市立から神戸に志望をあげると勉強のプログラムが根本から変わります。神戸を狙って数学に時間を取られ、国語や英語の力が落ちてしまうこともあります。

 得意教科をどこまで伸ばせるか、不得意をどこまでケアできるか、いわゆる「伸びしろ」を担任の先生に客観的に判断してもらい、安全に行くか、勝負をかけるか相談しましょう。

 

 

5 受験への長い道のり、どうやったらモチベーションが続く?

 

 木下晴弘さんをはじめ多くの方は「鈴木一朗さん」の計画性を話題にしますが、もうひとつ「鈴木一朗」さんの話をさせてください。彼は自宅近くのバッティングセンターにほぼ毎日通っていました。ついに最速120kmのマシンでは物足りなくなり、店に頼んで機械を調整してもらい130kmの球を打ち込んでいました。

 

空港バッティング|公認球使用・愛知県西春日井のバッティングセンター

*バネを入れ替えてスピードを上げてもらったという話は、ウィキペディアでは「要出典」となっています。「チチロー」こと父親のインタビューだったような気がしますが確証がありません。

 

 この話から、彼は単に「プロ野球の選手になるためには練習が必要」だからではなく、「より速い球を打ちたい、より多くヒットゾーンに入れたい、より遠くに飛ばしたい」という欲求に駆られてマシンに向かっていたように思えます。

 それは40歳を超え、今や「イチロー」としてMLBで名をなしてもなお貪欲にボールに向かう、野球そのものを楽しむ「鈴木一朗さん」の姿と重なります。

 

 「就職するためには大学に行っておかないと」などの消極的な動機だけでは長い受験生活を乗り切ることはできません。それだと途中で楽な道に妥協してしまいます。

 「とにかく上手になりたい」、「目の前の敵をやっつける」、「作戦を練って敵をあっと言わせる」など、「鈴木一朗」さんのように勉強そのものや受験の中に楽しみを見いだせるかどうかが、大きな喜びを得られるかの鍵だと思います。

 

 もちろんそれは私たち教職員にも当てはまります。問題が難しければ難しいほど燃え上がり、一緒になって受験に立ち向かい、最後に喜びを生徒と共有したいです。